人生の中で大きな買い物である「マイホーム」には住宅ローンがつきもの。一般的に家計に占める割合が大きく、その返済が暮らしの中心になるケースも多いのではないでしょうか。

一方、ローン返済中でも住宅の維持費や諸費用は当然発生してきます。マイホームを購入した多くの人が利用する住宅ローンの注意点や、住宅の維持費用について考えてみましょう。

住宅ローン返済は何十年も続く

住宅ローンの返済は何十年も続きます。借りた当初は返済できる予定でも、その後状況が変わることもあるでしょう。共働きが難しくなったり、給与が想定ほど上がらなかったり…。また子供の成長とともに教育費の負担が大きくなるなど、家族の環境も変化していきます。

住まいには銀行の抵当権が設定されています。返済が遅れると督促やローンの一括請求、信用情報への記録などが行われるため、遅れることなく確実に返済していくことが必要です。

もし給与の大幅な減少など、収入に大きな変化が起きた場合は、金融機関にできるだけ早く相談するようにしましょう。返済計画の見直しや支払い猶予などの対応が可能な場合があります。

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【住宅ローン】支払い利息の大きさ

超低金利の現在、住宅ローン金利は非常に低いように見えますが、借入額が大きく、返済期間も数十年と長期にわたるため、低金利であっても、支払利息は大きな金額となります。フラット35「元利均等返済と元金均等返済の比較(参考)」(※1)をもとに支払利息について考えてみましょう。

《仮定》
借入額:2000万円
借入期間:30年
借入金利:年1.5%(固定金利)

元利均等返済の場合

毎月返済額:約7万円→総返済額:約2484万8000円
支払い利息:約485万円

「元利均等返済」は、返済額(元金+利息)が一定の返済方法です。

元金均等返済の場合

毎月返済額:約8万円~約6万円→総返済額:約2451万2000円
支払い利息:約451万円

「元金均等返済」の場合、一定の返済元金に利息を追加する形で返済額が定まります。そのため返済当初は返済額が大きく、返済が進むにつれて次第に下がっていきます。上記の元利均等返済が一般的ですが、元金均等返済の方が総返済額は少なくなります。

現在は低金利が続いていますが、元利均等・元金均等どちらのケースでも400万円を超える利払いになります。今後、適用金利が上昇していく可能性もありますので、変動金利を利用中の場合は注意が必要です。

住宅ローン返済中も発生する「維持費」

住宅は年数の経過に伴い、壁や水回りなど修理を要する箇所も出てきます。とくに一戸建ての屋根や外壁の塗装は約10年周期ともいわれています。

リフォームする場合はまとまった費用が必要ですし、自然災害もいつ起きるか分かりません。被災して住宅保険の支払い対象となる場合でも、保険で賄える金額には上限があります。

総務省統計局の「家計消費状況調査年報」(※2)によると、1世帯当たり1か月間の支出(二人以上の世帯)の住宅維持関連費の推移は増加傾向にあることが分かります。各項目の平均金額をみていきましょう。     

家屋に関する設備費・工事費・修理費

2017年…6,611円
2018年…7,496円
2019年…7,953円

給排水関係工事費

2017年…2,278
2018年…2,270円
2019年…2,162円

庭・植木の手入れ代

2017年…532円
2018年…497円
2019年…521円

返済と並行して修繕やリフォーム用の資金を積み立てていくことも重要な備えとなりそうですね。

【参照】
(※1)フラット35「元利均等返済と元金均等返済の比較(参考)」 住宅金融支援機構
(※2)「家計消費状況調査年報」 総務省統計局

マンションの資産価値と維持費

住み替えもしやすいマンションは、立地の良さやセキュリティ面での安心感、地震などへの耐災害性も高く、価格の面でも選択しやすい住まい方だといえます。

株式会社東京カンテイの調査『都道府県・主要都市のマンションストック戸数&マンション化率 2019』(※3)によると、全国の世帯数に占める分譲マンション戸数の割合を示す「マンション化率」は2018年から0.11ポイント拡大して12.64%という結果が出ています。

首都圏全体では21.95%、近畿圏全体では16.39%という内容でした。立地の良いマンションやブランドイメージの良い物件であれば中古でも人気があるため、将来的に資産となってくれるでしょう。ただし、マンションの場合は毎月、管理費・修繕積立金等の支出があります。必須の経費ですので、将来まで見据えて維持費を想定しておきましょう。

管理費

管理費にはマンション全体の保守管理、消火器、水道や共有部分の電気代、エレベーターや駐車場の定期的なメンテナンスなど、住民全員が使用する設備の維持費になります。管理人等の人件費も含まれます。

修繕積立金

修繕積立金は外壁の補修・塗装や配管修理など、マンションの大規模な修理費として積み立てられます。

設備が充実しているマンションほど修繕積立金は高く、年数が経過するとコストが上昇して値上げされることもあります。中古マンションを購入する場合は、マンションの大規模改修予定や一時負担金の有無などについて確認をしておきましょう。

駐車場代

駐車場代はマンションや賃貸物件ならではの出費となります。特に機械式の駐車場にはメンテナンスが必須ですので、点検費用等が管理費に反映されています。

「自宅の敷地内に駐車スペースを確保する」ことが多少難しいのがマンションの難点だともいわれています。

固定資産税

マンション・一戸建て住宅の所有者には固定資産税や都市計画税が課税され、固定資産税は土地・建物の不動産評価額から算出されます。マンションの場合、土地に関しては敷地面積を戸数で割った数値となります。建物に関しては耐用年数を含めて評価されます。

耐用年数については、木造一戸建てで22年、鉄筋コンクリート造のマンションで47年として固定資産税の評価が行われるため、マンションは長期にわたり高く評価される傾向にあります。その分だけ固定資産税も高い状態が長く続くことになるのです。

【参照】
(※3)『都道府県・主要都市のマンションストック戸数&マンション化率 2019』Kantei eye 102(マンション化率/マンション・一戸建て住宅データ白書)株式会社東京カンテ

計画的な返済プランを

購入時にはベストだと思っていた物件、返済の方法も、長い人生の中で見直しが必要となることもあるでしょう。修繕費や固定資産税など、維持費用も必須ですので、返済と費用の準備を並行していくことになります。

家族が幸せに暮らすために、ローンの負担や教育費、老後の資金などライフプランを立てて設計していくことが重要となりそうです。

【参考】
(※1)フラット35「元利均等返済と元金均等返済の比較(参考)」
 住宅金融支援機構
(※2)「家計消費状況調査年報総務省統計局
(※3)『都道府県・主要都市のマンションストック戸数&マンション化率 2019』Kantei eye 102(マンション化率/マンション・一戸建て住宅データ白書)株式会社東京カンテ