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はじめに A4がマイナーチェンジ

text:Wataru Shimizudani(清水谷 渉)

10月7日アウディ日本法人は、プレミアム・ミッドサイズセダン/ワゴンのアウディA4シリーズの改良新型を発表した。

セダン、アバント、オールロード・クワトロに加えて、S4セダン、S4アバントが、同日発売されている。

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改良新型A4セダン(日本仕様)

アウディ ジャパンでは今回の変更で「新型」という表現を使っているが「フル・モデルチェンジに匹敵する」ともアナウンスしているので、改良型は、いわゆる「ビッグ・マイナーチェンジ」にあたるだろう。

さて、アウディA4はアウディ80をルーツとする、Dセグメントに属するセダン&ワゴンだ。

アウディ80は初代が1972年に誕生し、4代続いた。1995年にA4と名称も一新されたが、プレミアム・ミッドサイズセダン&ワゴンというフィロソフィは引き継がれた。

現行型は2015年に発表された5代目(80から数えれば9代目)で、日本では2016年から販売されている。

アウディ80の時代から、日本でも欧米でも、M・ベンツCクラスやBMW 3シリーズという強力なライバルと鎬を削り合っているアウディA4。大きく変わった改良型の概略を紹介していこう。

改良新型アウディA4 外観

改良新型A4のボディサイズは、全長4760×全幅1845×全高1410mm、ホイールベースは2825mm。従来型よりも全長は10mm長く、全幅は5mm広くなったが、ホイールベースと全高は変わらない。

ボディパネルは、ほとんどすべてが新しくなっている。よりスポーティなデザインとなり、ダイナミックなスタイルへと進化を遂げた。

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改良新型A4セダン(日本仕様)

フロントまわりでは、シングルフレームグリルがよりフラットでワイドなデザインとなり、彫刻的な造形のクロスバーを設置。

ヘッドライトでは、従来型にあった下端のエッジ部分がなくなり、その下には内側に向かってシャープな角度を描く五角形の大型エアインテークが配置されている。

サイドビューはアウディの上位モデルのデザインを継承した。フェンダー上部の筋肉質な造形と、前後フェンダー間の低い位置に走る印象的なショルダーラインが特徴的だ。

こうした要素が相まって、力強い造形がホイール上に生み出され、このクルマがアウディのDNAともいえる「クワトロ」の遺伝子を受け継いでいることを暗示している。

リアまわりでは、左右のテールライトはクロームトリップで繋げられ、A4の幅広さを強調。Cd値は、A4セダンで0.25、A4アバントで0.27を達成している。

改良新型アウディA4 内装

インテリアは広々としたスペース、軽快なデザイン、そしてハイテク機能を特徴としている。

幅広い左右対称のセンターコンソールでは、かつてMMIコントロールターミナルと右側のボリューム用ロータリースイッチがあった場所には、新たに収納スペースを設置した。

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改良新型A4セダン(日本仕様)の内装

また、インストゥルメント・パネル上端とドアトリムには、乗員に閉塞感を与えることなく、フロントシートを取り囲むような「ラップアラウンド」と呼ばれるデザインエレメントが採用されている。

水平基調デザインのインテリアは、幅広いエアベントとインストゥルメント・パネルの大型装飾パネルが特徴的。その中心部には、新しい操作システムの中心的な役割を果たす、スリムなMMIタッチディスプレイが標準装備され、その奥行きはわずか13mmしかない。

フロントシートは人間工学に基づいた形状を採用し、標準シート、ヘッドレスト一体型で菱形パターンなどを備えたスポーツシート、およびSスポーツシートを設定。

ベースモデル以外はヒーター内蔵で電動調整機能付きだ。

セダンのトランク容量は460L。ワゴンのアバントは5名乗車時でも495Lを確保しているが、リアシートを折りたためば1495Lにまで拡大することができる。またオートマティック・テールゲートも標準装備している。

改良新型アウディA4 パワートレイン

改良新型A4セダンとA4アバントは、パワースペックの異なる2種類の2L直列4気筒の直噴ターボ、「2.0 TFSI」を搭載している(S4に関しては後述する)。

35系に搭載されるものは、最高出力150ps/最大トルク27.5kg-mを発生する。

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改良新型A4アバント(日本仕様)

そして45系とオールロード・クワトロに搭載されるものは、最高出力249psと最大トルク37.7kg-mを発生。

そのどちらにも、ベルト駆動式オルタネーター・スターター(BAS)と12Vのリチウムイオンバッテリーを用いたマイルドハイブリッド・ドライブシステムを採用する。

これにより、エネルギー回生機能を高めたり、コースティング(惰力走行)時にエンジンを完全停止するなどして、さらに効率的で快適なドライビングを可能としている。

組み合わされるトランスミッションは、より効率を高めた7速Sトロニック(DCT)で、マニュアル操作用のパドルシフトも装備。駆動方式は35系はFWD、45系とオールロードクワトロクワトロ4WDを採用している。

なお、ディーゼルエンジン搭載モデルも、2021年初頭の導入が計画されている。

改良新型アウディA4 シャシー

今回のビッグ・マイナーチェンジ以前の従来型から、A4は進化したモジュラープラットフォームである「MLBエボ」を採用している。

サスペンション形式は、前後とも5リンク式サスペンションを装備し、前後方向の力と左右方向の力を個別に処理。リンケージとサブフレームの大半は、アルミニウム製だ。

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改良新型A4アバントのトランク

また、日本仕様のA4はスポーツサスペンションを標準装備し、さらに45系ではダンピングコントロール付きスポーツサスがオプション設定されている。この減衰力制御は、エレクトロニック・シャシープラットフォームを介して行われる。

標準装備のホイールは17インチのアロイ(合金)で、Sラインを選択すると18インチが標準となる。さらにオプションで最大19インチまで選択することができる。

ブレーキは、35系はフロントに16インチのフローティングキャリパーを備えたものを標準装備。45系とオールロード・クワトロではきわめて軽量な17インチアルミニウム製固定キャリパーを採用し、最大338mm径のベンチレーテッドディスクを装着する。

オプションでレッドのブレーキキャリパーも選択可能だ。

改良新型アウディA4 装備/ADAS

新しいMMIシステムを採用して、高度なコネクテッド機能を備えたA4は、スマートフォンと同様の直感的なユーザー体験を提供する。

音響フィードバック付きのMMIタッチディスプレイは、従来型のセンターコンソールに設置されていたロータリー/プッシュボタンの機能を引き継ぐもの。

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改良新型A4アバント(日本仕様)

解像度TFTディスプレイのサイズは10.1インチで、ディスプレイは余分な装飾が排除されて非常にクリーンなグラフィックを提供する。フラットなメニュー構造は、ユーザーの好みに合わせてカスタマイズすることが可能だ。アウディコネクトの「アウディコネクト・セーフティ&サービス」機能も標準装備されている。

インストゥルメント・クラスターは、フルデジタルのアウディ・バーチャル・コックピット・プラスを標準装備(ベースモデルではオプション)。

ドライバーは、多機能ステアリングホイールを操作して、12.3インチディスプレイ上に、3種類あるビューモードのうち好みの1つを表示できる。ヘッドアップ・ディスプレイもオプション設定され、走行に関する重要な情報はドライバーの直接の視野範囲に投影される。

また、数多くの先進のドライバーアシスタンス・システムを標準搭載。

歩行者検知機能付きアウディ・プレセンスシティ、アダプティブ・クルーズコントロール、アクティブレーンアシストサイドアシスト、プレセンスリア、リアビューカメラ、マルチコリジョンブレーキアシストなどが、すべて標準装備されている。

改良新型S4セダン/S4アバント

アウディA4のトップグレード(というよりは別格モデルといったほうが正しいだろうが)であるS4セダン、S4アバントも、今回同時にビッグ・マイナーチェンジされた。

エクステリアは一新され、ボンネット先端部に細いスリットを設置して、アウディブランドのアイコンモデルである初代クワトロを連想させる。

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改良新型S4セダン/S4アバント

ハニカムグリルを備えた大型エアインレットには、シルバーのフレームが装着され、マトリクスLEDヘッドライトも標準装備。

セダンではトランクにリアスポイラーが組み込まれ、アバントはルーフエンドにロングスポイラーが装着される。エグゾースト・エンドは4本出しだ。

インテリアはブラック基調で、菱形パターンのヘッドレスト一体型Sスポーツシートを標準装備。ペダルキャップとフットレストはステンレススチール製である。

パワーユニットは3L V6ターボで、354ps、51.0kg-mというパワースペックは従来型と変わらない。トランスミッションは8速のティプトロニックATと組み合わされ、駆動方式はもちろんクワトロ4WD。専用のスポーツサスペンションも装備する。

S4セダンは0-100km/h加速が4.7秒(S4アバントは4.9秒)、最高速度はリミッターが作動する250km/hというパフォーマンスを発揮する。

改良新型アウディA4 価格

改良新型A4セダン/アバントの日本仕様は、ベース/アドバンスド/Sラインの3グレードを設定する。

45系は、アドバンスドとSラインのみになる。

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改良新型A4オールロード・クワトロ

消費税込みの価格は、セダンは、A4 35 TFSIの455万円~S4の895万円。アバントは、A4アバント35 TFSIの484万円~S4アバントの924万円。

最低地上高を50mm高め、前後トレッドを15mm拡大、オフロード・モードも装備する「A4オールロード・クワトロ」は、634万円となっている。

なお、ハンドル位置はS4/S4アバントのみ左右とも選べるが、他は右のみの設定となる。


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