日本人の海外旅行先の代表であるハワイ・オアフ島に、鉄道が建設中です。将来的に空港とワイキキビーチが結ばれ、渋滞対策にもなる予定です。

ハワイ初の都市鉄道、いよいよ誕生

ハワイを訪れる日本人は年間約150万人に達し、2017年の統計ではハワイの全観光客の17%を占め、国別割合ではアメリカ本国を除くと1位になっています。

そのハワイには現在、日常生活で利用できる鉄道がありません。観光用として、オアフ島の南西に、1971年廃止の路線を受け継いだ保存鉄道が残るのみです。

しかし現在、オアフ島では新たな公共交通機関としての鉄道の建設が進められています。「ホノルル・レール・トランジット」と名付けられたこの鉄道は、総延長32km、全線が高架で、オアフ島南端部の東西を結びます。

車両は日立グループ製のコンパクトなタイプ。バンコクスカイトレインBTS)や釜山の金海軽電鉄と同様の、いわゆる中量軌道システムにあたります。

ホノルル市は朝夕のラッシュ時を中心に深刻な交通渋滞に悩まされており、2019年の調査では、全米でワースト6位の渋滞都市となっているため、その解消の一手になることも期待されています。

どんなルートに?いつできる?

全体計画では南西部のイースト・カポレイ駅から、真珠湾やアリゾナ記念館への玄関口であるアロハ・スタジアムやダニエル・K・イノウエ国際空港を経由し、ホノルル中心市街地を通り、ワイキキビーチへの入口であるアラ・モアナ駅に向かうルートになっています。

このうち、イースト・カポレイ駅~アロハ・スタジアム駅間が2021年3月以降に先行開業、その後2023年に空港を含むミドル・ストリート駅までの区間が延伸され、全線開業は2025年と見込まれています(2020年10月時点)。

各駅の駅施設のデザインにあたり、それぞれワークショップが開かれ、地域の歴史や特色が取り入れられます。運賃の支払いは現金のほか、現地のバスや提携店舗で利用可能な「HOLOカード」と呼ばれるICカードにも対応します。また、車内への自転車の持ち込みが可能です。

先行開業区間にある9つの駅の建設工事は2020年10月現在進捗率が93%~98%で、2020年秋には全て完成予定とのことです。

日立製のホノルル・レール・トランジットの車両(画像:HART)。