10日の鳥栖戦で後半アディショナルタイムに決勝点を記録

 移籍加入から1年半以上が経っての初ゴールは、値千金の決勝弾としてチームの連敗を3で止めた。浦和レッズのMF汰木康也は、途中出場した10日のリーグ第21節サガン鳥栖戦で、後半アディショナルタイムに1-0の勝利を導く得点を奪った。

 浦和はGK西川周作がPKをストップするなどピンチもしのいで敵地での試合を0-0で進めると後半アディショナルタイム、敵陣に浮いたロングボールをFW杉本健勇が受ける形に。そこでオーバーラップしたMFマルティノスにパスが通ると、そのまま右サイドからゴール前まで進出。左足アウトサイドのラストパスに逆サイドから走り込んできた汰木が体ごと押し込むようにゴールした。

 汰木は昨季にJ2モンテディオ山形から浦和へ移籍した。当時の強化責任者だった中村修三氏が、オズワルド・オリヴェイラ監督と将来性も込みで「ぜひ、獲得しよう」となったことを話していた。その後、オリヴェイラ監督は「思ったよりも早く成長している」と評価してAFCチャンピオンズリーグ(ACL)などで起用。リーグ戦でも途中出場のジョーカー的な立場になり、その後に大槻毅監督への交代となっていた。

 オリヴェイラ監督時代にもヘッドコーチとして汰木の成長を見てきた大槻監督は、試合後に「なにより、汰木がようやく点を取ってとってくれて、あのときの選手の喜び、ベンチも含めて、僕もそうだけど、非常に大きな感情につながった。努力をずっと見てきたので、それは嬉しいところ」と話した。

 汰木は試合後に「何試合もチャンスを外してしまって、試合を難しくしていた。自分で早く取らないといけないという焦りもあって、ゴール前がうまくいかない試合が続いていたので、得意な仕掛け、崩しからではないけど、一つ取れたのは自分にとって大きかった。みんなが『初ゴールおめでとう』と言ってくれて。みんなも早く決めてほしいというか、いつも外すのがすごい頭にあったと思うので、素直に嬉しい。そういう言葉をかけてもらって嬉しかった」と喜びを語った。

4バック移行により得意なポジションでのチャンスが生まれる

 昨季は3バックでプレーしていた浦和だが、今季は4バックに変更。汰木が最も得意とする4バックでサイドを2人で構成する形で左サイドアタッカーとしてプレーするチャンスがあり、キャンプから意欲的だった。開幕からスタメン出場が続いたが、自身も話したようにチャンスを生かせないゲームが続いて最近は途中出場が続いている。

 それだけに「最近は、なかなかスタートから出ることが少なくて、自分としても試合の流れを変える役割が増えていて、すごくやりづらさも感じながら試合していることが多かった。結果はなかなか出なかったけど、一つ、またこういう試合を勝てたことでチームも乗ってくると思うし、途中からだけど、ああいう形で一つ取れたことで、途中からどういう勢いをもたらすかとか、攻撃のパターン、ランニング、いろいろ選択肢を増やせればと思う」と、今は自分の役割を果たしつつレギュラー奪還を狙う。

 3試合連続無得点だったチームの4試合目、それもアディショナルタイムのゴールだけに、浦和にとって喉から手が出るほどに欲しいゴールだった。それが浦和への移籍初、そしてJ1初ゴールという節目であり、チームの連敗をストップするものになった汰木のゴールは大きな喜びを与えるものになった。(Football ZONE web編集部)

浦和レッズMF汰木康也【写真:佐藤彰洋】