Arm(本社:英国ケンブリッジ、日本法人:神奈川県横浜市、以下Arm)は、米国時間2020年10月6日~8日、オンラインで開催された開発者向けカンファレンス「Arm DevSummit 2020」において、Armの開発ツールに関する最新アップデートを公開するとともに、Microsoft社との組み込み、IoT、機械学習(ML)分野における開発者支援に向けた協業について発表しました。

組み込みコンピューティングの分野は、極めて短期間のうちに非常に大きな成長を示しています。この10年ほどの間に、「Arm Cortex-M」プロセッサーの出荷個数は約700億個に到達しており、Armの開発ツールはIoTデバイス開発における基本要素となりました。一方、組み込み分野が大規模な変化を経験する中、私たち自身も転換期を迎えています。こうした変化の背景には、IoT、ML、データサイエンスといった新規分野と、組み込み開発との重複箇所が拡大している現状があります。

クラウド、半導体デバイス、OS、ミドルウェア・コンポーネントのベストな組み合わせを特定し、所定のワークロードを実行するため、現行の開発プロセスでは時間を要する複数のステップを経なければなりません。イノベーションの実現という、本当に大切な業務に開発者がいち早く専念できるよう、これらの作業は例外なく、速やかに終わらせる必要があります。

組み込み、ML、クラウドの開発者は、エンドポイントの設計に対して、それぞれ異なる分野からアプローチするため、こうした決定は必ずしも容易ではありません。Armの開発ツールには、あらゆる層への対応が求められます。すなわち、人々があまり馴染みのない分野においても、誰もがより簡単にアイデアを形にし、市場投入できる環境です。ML、デジタル信号処理(DSP)、リアルタイム・コンピューティングの新たな組み合わせを取り扱う場合も、ユーザーがソフトウェアの複雑性の問題を克服できるよう、新しい開発ワークフローによるサポートが必要です。さらに、デバイスやOSの選択に関わらず、開発ツールには、あらゆるクラウドサービスプロバイダーとエンドポイントをシームレスに連携・連動させる機能が求められます。

Armツールには、どのようなツールやデバイスを選択するかに関わらず開発者がインスピレーションを得て、プロトタイプの作成から生産段階へと迅速に進められるようサポートする機能が求められます。すなわち、設計時の選択肢によって開発が複雑化する心配も、基本コンポーネントのバリエーションや変更、アップデートへの対応に時間を取られる心配もなくなることで、開発者は差別化のための新たな機能に専念し、市場で優位性を確立できます。

ツールやエコシステムが容易に利用できなかったとしたら、最近のIoT/ML向け設計の需要の妨げとなるため、このような新たなツールの必要性は、これまで以上に差し迫っています。2035年には1兆個のデバイス需要が生まれると予測される将来に対応するためには、シームレスな拡張性と飛躍的な生産能力が必要になります。Armが推進する取り組みにより、データサイエンティストからIoT開発者まで、あらゆる開発者に対して、未来のAI/IoTデバイスをともに開発する上で必要なツールを提供していきます。

ArmMicrosoftのパートナーシップ
IoTのエンドポイントデバイスにおけるAIのイノベーションを加速するため、Armはこのたび、Microsoft(*1)社との協業を発表しました。Azure Cloud環境でのMLモデルのトレーニングやチューニングから、Armベースのエンドポイントデバイス全体を対象とした、こうしたモデルの最適化、導入、運用に至るまで、AIワークロードの開発ライフサイクル全体を最適化・迅速化することを目標に、両社は今後、コラボレーションを共同推進していきます。
*1) https://azure.microsoft.com/

Microsoftとの協業を通じて、組み込み、IoT、MLの開発者コミュニティにおいて、より効果的な開発体験の実現を目指します。開発者を最優先に掲げることで、イノベーターとしての開発者は今後、よりよいソリューション、そしてよりよい未来のユーザー体験を、すべての人々により簡単に提供できるようになります。

今回の協業に関する詳細については、Microsoft Azureブログ(英文)をご参照ください。
https://techcommunity.microsoft.com/t5/internet-of-things/microsoft-and-arm-partner-to-deliver-an-end-to-end-intelligent/ba-p/1751373

2つの分野のベストが融合:より強化されたArmの開発ツール
Armの次世代開発ソリューションは、最新のWebテクノロジーの持つ最高の要素に加えて、マイクロコントローラ開発キットとして定評あるArm Keil MDK(*2)や、最も包括的なC/C++組み込みツールスイートArm Development Studio(*3)が有する成熟した開発機能とデバッグ機能を兼ね備えています。その結果、幅広いマイクロコントローラと開発基盤を対象に、より迅速かつ直感的な方法で製品の開発プロセスを遂行できるようになります。Mbed(*4)のプラグ・アンド・プレイ体験と、Keil MDKや強力なMicrosoft Monacoエディタープロフェッショナル・サポートの組み合わせも現実のものとなります。低消費電力デバイスに対応した、このような極めてアジャイルで最新・堅牢なツールチェーンによって、開発者はプロトタイプの作成から生産、大規模展開までスケールアップできます。
*2) https://www.keil.com/
*3) https://www.arm.com/products/development-tools/embedded-and-software/arm-development-studio
*4) https://os.mbed.com/

Armの次世代ツールチェーンに関する詳細は、こちら(*5)をご覧ください。
*5) https://www.arm.com/products/development-tools/iot-software-development-microcontrollers

クリエイティビティ・ファースト
Armツールチェーンでの取り組みと、今回のMicrosoftとの最新の協業に代表される広範なイニシアチブを通じて、今後はあらゆる開発者に対し、拡張的かつリアルタイムのデータ処理の需要に応える上で必要な基盤を提供できるようになります。開発者はこれらのツールを活用することで、自動化機能を追加し、アプリケーションの設計、コーディング、カスタマイズをシンプルに行い、生産性を高めてより迅速に作業を完了できます。データサイエンティスト、MLエンジニア、IoT開発者は、より優れたツールで共同作業を行うことで、新たな市場機会により迅速に対応できます。

こうした新たな開発スタイルに対するArmのコミットメントは、クリエイティビティと柔軟性を目指した長期的な取り組みを反映したものです。ソフトウェア開発とは、今日のテクノロジー分野でも群を抜いて複雑な課題ですが、こうした作業を可能な限り簡単にするツールを提供することで、Armは、開発者が自らのアイデアを迅速かつ効率的に現実化できる世界の実現に貢献していきます。

Armについて
Armテクノロジーは、コンピューティングとデータによる革命の中心として、人々の暮らしや企業経営のあり方に変革を及ぼしています。そのエネルギー効率に優れた高度なプロセッサ設計は、1,800億個以上のチップを通してインテリジェントなコンピューティングを実現してきました。Armテクノロジーは各種センサーからスマートフォン、スーパーコンピュータまで、さまざまな製品をセキュアにサポートしており、世界人口の70%以上に使用されています。さらに、このテクノロジーにIoTソフトウェアやデバイス管理プラットフォームを組み合わせ、顧客がコネクテッドデバイスからビジネス価値を生み出すことを可能にしています。Armは現在1,000社以上のテクノロジーパートナーとともに、チップからクラウドまで、演算が行われるあらゆる分野における設計、セキュリティ、管理を支える技術の最先端を担っています。

全ての情報は現状のまま提供されており、内容について表明および保証を行うものではありません。本資料は、内容を改変せず、出典を明記した上で自由に共有いただけます。ArmArm Limited(またはその子会社)の登録商標です。その他のブランドあるいは製品名は全て、それぞれのホールダーの所有物です。(C) 1995-2020 Arm Group.

配信元企業:アーム株式会社

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