首都高C2中央環状線の北側にある「飛鳥山トンネル」。前後区間は高架にも関わらず、ここだけトンネルになるうえ、内部には起伏も存在します。実は首都高の「峠」ともいえる場所でした。
鉄道も道路も、急な地形の変化を克服している
首都高C2中央環状線のトンネルといえば、西側区間にあたる山手トンネル(全長18.2km)が有名ですが、もうひとつ、高架が主体の北側区間にもトンネルが存在します。板橋JCTと江北JCTのあいだ、飛鳥山公園の下をくぐる飛鳥山トンネル(東京都北区)です。
道路トンネルとして日本最長の山手トンネルに負けず劣らず、このトンネルもかなり特徴的です。
板橋JCTからC2は、内回りが上、外回りが下に重なる2層の高架区間となります。江北JCTへ向かう外回りは、やがて下り坂となり、「急勾配6%」の看板を過ぎ飛鳥山トンネルへと吸い込まれていきます。
トンネルを下がっていくと、今度は少しだけ上り坂に。さらに少し下ったのち、急な上り坂になり地上へ出ます。先ほどまで内回り・外回りで2層だったはずが、トンネルを出ると横並びになり、その先で再び2層の高架になって江北JCTへと向かいます。
なぜトンネル内に起伏があるのでしょうか。
このトンネルは東北新幹線や京浜東北線など約10本の鉄道をパスするほか、さらに飛鳥山公園の地下で、東京メトロ南北線のトンネルをまたいでいます。トンネル内で少しだけ「上って下った」箇所は、地下鉄のトンネルを避けているのです。
また、飛鳥山トンネルは内回りが480mに対し、外回りは740mです。江北側ではトンネルが横並びですが、板橋側では上下2層のため、下層にあたる外回りのほうが長くなっています。
飛鳥山は東京の台地、いわゆる「山の手」と、東側へ広がる低地との境界にあたります。山を高架で乗り越すこともできたかもしれませんが、江戸時代からの由緒ある桜の名所、飛鳥山の景観を守るためにトンネル構造が採用されました。急激な地形の変化をトンネルで体感するという、ある意味で東京らしい「峠」といえるかもしれません。
ちなみに、この地形に沿うように飛鳥山を回り込む都電荒川線は、山の上と下で2回にわたり飛鳥山トンネルと立体交差しています。
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