善光寺の見どころからグルメ・イベントまで、おでかけの前に知っておくと便利な情報を徹底レポート!(※記事内で紹介している展示、イベント、施設等は、休止・中止または内容が変更になっている場合があります。ご注意ください)

【写真】凜とした静けさが本堂を包む雪景色の冬もおすすめ

■無宗派の善光寺ってどんなところ?7年に1度の御開帳に約700万人!

牛に引かれて善光寺参り」や「遠くとも一度は参れ善光寺」という言葉があるように、創建以来約1400年もの間、人々から厚い信仰を集めてきた定額山(じょうがくさん)善光寺。本尊の阿弥陀如来像は日本に初めて伝来した仏像であったことから、身分も男女の区別もなく宗派もなく、等しく極楽往生に導いてくれるありがたい仏様だと崇められ、多くの信仰を集めてきた。今でも全国から宗派に関係なく、大勢の人々が参拝に訪れている。参拝後は門前に並ぶ宿坊をはじめ、周辺のグルメ店でランチを楽しんだり、温泉に入ったりと観光も楽しめる。

■【基本情報・歴史】すべての人の極楽往生の願いを聞いてくれるという善光寺

善光寺の始まりは捨てられた仏からと伝承されている。その謎を解いてみよう。現在の本尊(秘仏)である阿弥陀如来像はインドで作られ、552年(欽明13年)に朝鮮の百済の王から日本に献納されたといわれる。ところが、阿弥陀如来像を預かった蘇我氏が物部氏との争いから物部氏の手に渡り、廃仏派の物部氏によって難波堀江に捨てられたそうだ。その後、信濃から都を訪れた本田善光が川の中から救い上げ、自宅(現在の地)に安置。644年(皇極3年)、皇極天皇の勅命によって伽藍を建造。本田善光の名が寺名の由来となった。

この霊験あらたかな本尊は、戦国時代武田信玄上杉謙信の争いに巻き込まれ、その後は織田信長豊臣秀吉徳川家康により、全国各地を転々としたが、1598年(慶長3年)に善光寺に戻された。以来、宗派を超えてさまざまな人が参拝に訪れている。現在、寺を守るのは天台宗の本坊と浄土宗の本坊、ほかに39の宿坊があり、歴史に翻弄されてもなお人々を癒やし慈しむ、慈悲深い阿弥陀如来像を守り続けている。

■【見どころ】国宝建築物の本堂は東日本最大級の大きさを誇る

本尊の阿弥陀如来像が鎮座する本堂は、木造の本堂としては東日本最大級といわれる壮大さを誇り、国宝に指定されている。本堂内部には参拝者がお参りをする約150畳もの広々とした内陣の間があり、ここでご本尊にお参りを。ただ、本尊は誰も見たことがないそうで、数え年で7年に1度公開されるのは本尊の身代わり仏、前立本尊のみ。それでも、ひと目あやかろうと、御開帳の日には多くの参拝客が訪れる。

本堂には、自分の身体の悪い部分と同じ場所をなでると病気が治るという「おびんずる尊者」をはじめ、弥勒菩薩地蔵菩薩などが安置されているので、心静かにお参りをしよう。また、本堂の床下にある真っ暗な回廊で、極楽の錠前を探り当てる「お戒壇巡り」も有名だ。

■【回り方】見どころを効率よく1時間半ほどで回るならこんなコース

約5万9000平方メートルもの広大な敷地がある境内には、本堂のほか山門や仁王門をはじめ大勧進や大本願、39の宿坊などがある。その回り方の一例を紹介する。

バス停善光寺大門から善光寺交差点を渡り、石畳の参道へ。その先に仁王門が見え、手前左には大本願がある。こちらは浄土宗の本坊だ。そのまま進み、両脇に仁王像が立つ仁王門をくぐり抜けると仲見世通り。ここも真っ直ぐ進み、重要文化財の山門(三門)に到着。ここで共通券を購入。山門(三門)の2階へ上がると今歩いてきた参道が見渡せる。山門(三門)の左側には大勧進がありこちらは天台宗の本坊。

山門(三門)から次は本堂に向かい、内部でお参りとお戒壇巡りへ。暗闇の回廊を手探りで進む「お戒壇巡り」はスリル満点で、来世の極楽往生が約束されるという錠前に触れることができたらラッキーだ。次に、本堂の裏手にある日本忠霊殿(善光寺史料館)へ。ここでは仁王像の原型が必見。道を戻り、本堂手前左の経蔵(重要文化財)に。1759年(宝暦9)年の建立で、中には輪蔵(回転式の書架)があり、仏教の経典を網羅した「一切経」が納められている。次に長野オリンピックの開会式にも使われたという鐘楼・梵鐘や6つの迷いの世界から人々を救う六地蔵などを巡りたい。

■【イベント】毎朝5時のお朝事(おあさじ)は一見の価値あり

7年に1度行われる善光寺御開帳が有名だが、ほかにも善光寺には年間を通して多数の行事がある。そのひとつが、毎日恒例のお朝事(おあさじ)だ。日の出と共に全僧侶(天台宗浄土宗が1日交代で務める)が本堂に集まり、厳かな読経が響きわたる。こちらは一般参拝者も参列が可能で、内陣券を購入すればOK。昔から「早起きは三文の徳」という言葉もあるので、ぜひ参加を。お朝事の前後に行われていたお数珠頂戴は現在休止中。また、毎年恒例の行事についても、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、開催の有無についてはその都度決めており、電話で確認してほしいとのこと。

また、善光寺の冬のイルミネーションは見逃せない一大イベントで、こちらは実施予定。11月上旬から3月中旬には、長野駅から善光寺までの1.8キロメートルが41万球のLEDで装飾され、まるで極楽浄土へ導かれるように神秘的。さらに12月上旬から中旬にかけては善光寺の本堂や内陣、山門などがイルミネーションで彩られ幻想的な雰囲気に。冬の夜が美しくきらめくイベントは必見だ。

■【グルメ・お土産善光寺の仲見世通り、表参道でグルメ&ショッピング

善光寺の境内は広く、参道から仲見世通りも範囲内。およそ200メートルの通りの両側には、居並ぶ仏具店をはじめ、信州名物のおやきやそば、八幡屋礒五郎の七味唐辛子、スイーツなどのショップが所狭しと並ぶ。そばのおすすめは参道入口、善光寺交差点角にある「かどの大丸」で、のどごしのよい「さらしなそば」が自慢。

店頭では職人がそばを手打ちする姿が見られる。カフェは参道入口手前、半地下にある「TEA ROOM藤屋」が評判で、スイーツの「カラメルスノウ・パイ」は必食。

また参道に入れば、大本願の向い側に宿坊が肩を寄せ合うように並び、写経や坐禅の体験ほか、精進料理も楽しめる宿坊も。そのひとつ「兄部坊(このこんぼう)」では、季節の食材をふんだん使った本格的な精進料理を味わえる。

■【アクセス・混雑状況】善光寺へは路線バスが便利。参拝客が少ないのは冬

善光寺へは、JR長野駅からバスがおすすめ。バスが停まる善光寺大門バス停は、参道の目の前。ここから歩いて参道を抜け、仲見世を通り、本堂まで約5分だ。時間に余裕のある人は徒歩がおすすめ。駅前の末広町交差点から善光寺まではほぼ真っ直ぐで約2キロ、約25分。

ローカル電車を楽しみたい場合は、JR長野駅から長野電鉄に乗り換え約5分、善光寺下駅下車、善光寺交差点まで真っ直ぐ約5分、右折すればすぐ仁王門に到着。

車の場合は関越道上信越道で長野ICまたは須坂長野東IC、どちらからも約40分。駐車場は本堂の裏手(北方面)あたりに集中。第1から第5まで5つの駐車場が用意されている。乗用車は2時間まで500円。1時間ごとに200円加算。

職員によると混雑状況については、「今はコロナ禍で参拝者も少ないですから、いつが混雑とは言えません。私のおすすめは、お朝事です。朝早いのですが、僧侶が揃う読経は見応え聞き応えがありますよ」とのこと。例年なら正月と夏期が込み合うそうで、冬期は節分を除けば比較的少ないようだ。

■【新型コロナウイルス感染拡大予防対策】

・住職、職員共にマスクを着用しています。

・境内各所にアルコール消毒液を設置するほか、手の触れる箇所は都度拭き上げています。

・参拝の際は自宅にて検温し、37.5度以上の熱や咳などの症状がある場合は参拝を見合わせるよう協力ください。

・参拝の際はマスク着用をお願いします。幼児または着用が難しい理由のある場合は除きます。

・参拝やお戒壇巡りなどは、密にならないようにソーシャルディスタンスを守って対応しています。

取材・文=AVANCER

<施設情報>

・住所:長野県長野市元善町491-イ

・アクセス:【電車】JR長野駅から長野電鉄に乗り換え約5分、JR長野駅からアルピコ交通バスで8分、善光寺大門下車、徒歩5分【車】関越道上信越道長野ICもしくは須坂長野東ICから約20分

・営業時間:4:30(変更あり)~16:30、冬期は6:00(変更あり)~16:00

定休日:なし

・駐車場:400台(乗用車2時間まで500円、以降1時間ごとに200円)

・料金:参拝自由。内陣券(本堂内陣・お戒壇巡り・善光寺史料館 共通)一般500円、高校生200円、小中学生50円。共通券(内陣券・山門・経蔵拝観 共通)一般1000円、高校生400円、小中学生100円

新型コロナウイルス(COVID-19)感染症拡大防止にご配慮のうえおでかけください。マスク着用、3密(密閉、密集、密接)回避、ソーシャルディスタンスの確保、咳エチケットの遵守を心がけましょう。

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※2020年8月時点の情報です。

1707年(宝永4年)に再建された本堂は高さが約29メートル/写真提供:善光寺