大規模自然災害と気候変動の関係性を国連が報告

大規模自然災害と気候変動の関係性を国連が報告 WikiImages/pixabay

 10月12日、国連は過去20年間で大規模な自然災害が急増し、世界各地で甚大な経済的および人的被害が生じていること、その原因は気候変動が大きいことを報告書で述べ、今後このレベルが続けば世界はより住みにくい場所になると警告した。

 報告によると、2000~2019年までの20年間で特に災害が多かった上位10か国のうち、アジア諸国は8か国を占めていたようだ。『New Atlas』などが伝えている。

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過去20年の自然災害の頻度は前の20年のほぼ2倍

 今回、国連が発表した報告書『災害の人的コスト2000~2019年』では、過去20年の自然災害の頻度は気候変動がその原因の大部分を占め、1980~1999年の期間のほぼ2倍で大規模な災害が発生しているという。


 この「大規模な災害」とは、少なくとも10人以上が死亡し、100人以上が影響を受け、非常事態宣言または国際支援の要請が発生したと定義されているものだ。

 1980~1999年の20年間は、世界的に4212件の自然災害が発生し、119万人の命が奪われ32.5億人に影響を与え、世界全体で1兆6300億ドル(約171兆6100億円)の経済損失をもたらした。

 しかし、2000~2019年の20年間で発生した自然災害は、7348件。123万人が亡くなり、約42億人が影響を受け、世界経済の損失は2兆9700億ドル(約312兆8600億円)にも上った。

大洪水が20年間で急増


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PublicDomainPictures/pixabay

 報告書では、特に大洪水被害が2000年からの20年間で3254回を記録したと述べている。

 続いて、ハリケーンなどの嵐、干ばつ、山火事、極端な気温の変化などが急増しているが、この劇的な異常気象の理由については、専門家らは2019年の世界平均気温が産業革命の期間よりも1.1℃硬くなっていることを指摘し、気候変動が自然災害の急増を引き起こしていると述べている。

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geralt/pixabay

 国連事務総長特別代表を務める水鳥真美氏は、次のように話す。

災害で多くの人命が救われれば救われるほど、その分拡大する気候変動により緊急事態の影響を受ける人が増えています。

災害リスクは、体系的になりつつあります。ある出来事が重なり合って別の出来事に影響を及ぼしているのです。まるで、次々と発生する大規模な自然災害が私たちの回復力を限界までテストしているようにも見受けられます。

防災や気候変動への適応、災害リスクの軽減に投資するための科学や早期の警告に基づいて迅速に行動を起こさなければ、この先、より対応が困難になっていくことでしょう。


災害が多かった上位の8か国はアジア諸国


 国連の調査によると、2000~2019年の期間で、特に災害が多かった上位国は、中国(577件)と米国(467件)が最も多く、インド321件)、フィリピン304件)、インドネシア278件)と続き、上位10か国のうち8か国がアジア諸国だったという。

 報告書を作成した1人、ベルギーのルーヴェン大学災害疫学研究所の教授は、今後10年も温室ガスによる気温上昇が続き、熱波と干ばつが最大の脅威になることが予測されると述べ、事態が思っていたよりも深刻であることを明かしている。

このレベルの異常気象が今後20年続くとなると、人類の未来は非常に暗いものになると言えるでしょう。

私たちは、今後も長期にわたり既存のレベルの気候変動の影響に耐えなければならないことは明白です。

特に、資源が不足している低中所得国での災害損失の負担を軽減するために、多くの対策を講じる必要があります。今、私たちは貧困を根絶し、健康や教育を含む質の高い社会サービスを提供するための努力が損なわれる規模の、経済的損失に直面しているのです。


 尚、国連の報告書の詳細なレポートはこちらのPDFファイルでみることができる。
written by Scarlet / edited by parumo 全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52295617.html
 

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