あなたの周りに働かないおじさん(おばさん)はいませんかーー。弁護士ドットコムニュース編集部では、「会社で1日中、新聞を読んでいる人」や「パソコンでいつもソリティアをやっている人」など、いわゆる「働かない人」の目撃談を募集しました。

すると、堰を切ったかのように、働かない人の報告が、積年のうらみつらみとともに吐き出されてきました。すべてを取り上げられないのが残念ですが、一部を紹介します。

年功序列の大手企業は「楽園」

【女性・20代】

契約社員として働く女性からは、ある上場企業のグループ会社が「働かない人たちの楽園」になっていると報告が寄せられた。そこにいるのは、こんな人たちだ。

「いつ見てもパズ●ラ(スマホゲーム)をしているおじさん」、「ネイルケアをしている女性たち」、「天下りみたいな感じのおじさん。仕事はあるらしいが、毎日5〜6紙の新聞を読んで帰っていく」

ネイルの女性らは「休憩中にマツエクに行ったりしているそうですが、お局なのでなにも言えません」とのこと。また、ゲームおじさんも、新聞おじさんも、エレベーターで偶然一緒にでもならない限り、挨拶をせず、完全に「空気」として扱っている。

ただし、「もし私自身の仕事に影響があった場合は、即コンプライアンス部署か上司に通報します」と女性は考えている。

そんな「楽園」にもかげりが…。

年功序列で給料やボーナスが上がってきた人たちが多いですが、去年くらいからは40代半ばの働かない方が昇格試験(ラストチャンス)に次々と落ちる等、会社も時代にあわせてようやく腰をあげたようには感じます。新しい生活様式に対応しきれない人は厳しそうです」

●一族経営あるあるでしょうか

【女性・40代】

「さもありなん」と思ってしまうのは、創業家が力を持つある上場企業の話だ。

「職場にいます、50代手前の働かないおじさん。管理職になっていますが、上司から言われたことをそのまま下に丸投げ。下の子から出て来たものをそのまま上に提出。席にはほとんどいなくて、1日の大半を喫煙所で過ごし、携帯ゲームをしているそうです」

そんな状況を周囲は放置し、波風をたてないことが暗黙の了解となっている。なぜかというと「創業者の愛人の子なんです」。

ただ、このおじさんなりに「苦労」もあるようだ。

上長が帰るまでは絶対に帰らず、勤務時間でアピールしているという。また、休日出勤のときも、「これみよがしにあちこちにメールを送り、自分出勤してますアピールをする」と涙ぐましい。

「最近も、在宅勤務なのに出勤を繰り返して、さすがに注意されてました。家に居場所もないんでしょうね」

なお、女性によれば、創業者一族の元愛人も社内にいるそうだ。「実力と、ポジションが合っていない人は、大抵創業者一族の何かです」

●楽園を追われた働かない人

【女性・30代】

実績も能力もないまま「経営陣と仲良し」というだけで「働かないポジション」を得た人の悲惨な行く末も報告された。

報告者によると、「営業部のリーダー」は、資料作成などの仕事をせず、部下へのダメだし 、ネットサーフィンタバコ休憩(1回30分)、昼休憩(2時間)という日々を過ごしていた。

「相手にしても意味がないと判断し、私を含む周りもよっぽどのことが無ければ話しかけませんでした」

そんな人物が、なぜある程度の立場を与えられているかといえば、「うちの部署を立ち上げた人だったんですが、社長と知り合って、気に入られて部署設立に漕ぎ着けたみたいで。バイトもしたことない大学生あがりが急に責任者になったんですね」。

しかし、そんな「おいしい立場」はずっと続かなかった。周囲からの報告を受けた経営陣がついに見限った。社長や役員から指導が入り、結局自ら辞めることを選んだという。

「コロナで上のポストに使えないやつを置いてこれ以上トラブルや混乱を招くのも良くないという判断もあると思います」

●「職場のぬし」として君臨するおばさん

【女性、30代】

50代後半の正社員女性が強権を握っている。年功序列型の企業(10人)で、社長よりも勤続年数が長く、経営陣も彼女には強く言えないのだという。

・簡単な仕事のみすぐ手をあげる。 ・重要な会議などに顔を出さないことで「知らなかった」「関係ない」「聞いていないので引き受けられない」を押し通す。 ・隙あらば年齢が下の人に「教えてあげる」「引継ぎ」という形で仕事をまわす。

このように、自分が楽をできる環境を作り上げているのだ。「他の仕事で忙しい」という姿勢を見せることで、「重要な会議」に出席されなくてもよい空気を作り出しているという。

「ほとんどが年下、あるいはその方と一緒に長くやってる社員の方も居るので、悪い意味での馴れ合いが起きている側面もあるかと思います」

●簡単な仕事しかしない、情報を独占する

【男性・30代】

あまり働かなくても高い給料がもらえるというポジションを確保するため、姑息な手段に出る人もいるようだ。

「上長が共有すべき情報を独占しています」

欠けると仕事がまわらないから、それなりのポジションを与えられる。しかし、能力の高さで地位を得たわけではないから、いざというとき対処できない。

「抱え込んで、大火事になってから周りに共有するから大変です」。中途半端に働かないのであれば、いっそ分かりやすくサボってくれた方がマシと男性は言う。

●すさまじい職場

【女性・40代】

社員の3分の1が働かないおじさんとおばさんで構成されている中小企業の現状を、最後に報告してもらおう。

「パーテーションのある机で、人が来るとゲームを机の下に隠す課長。中学生か!」

「問題が起きたことを報告するとキレる部長。皆、電話をかけたがらないが、仕方なくかけるとテレビの音。出社さえしてないのか!」

「ずっとネットショッピングしてるお局様。お局様が二日酔いで欠勤すると、その日は後から有給になっている」

「仕事を下の人に押し付けて、出張帰りの愛人のお出迎えに社用車で向かう課長」

「飲み会の日は所長と部長はホテルをとって風俗の女性を呼ぶ。全部経費!」

●「女性からの報告多数」が示すもの

こうしてみると、働かないおじさん(おばさん)たちにも、さまざまな類型があることが分かる。

年功序列で肩書きも収入もあるけれど、重要な仕事を任されていないという大企業タイプがいれば、経営者との関係性であったり、仕事の属人化や社歴によって権力を誇るというタイプなどもいる。

今回は、女性からの情報提供が占める割合が高かった。非正規雇用であることが多く、会社を客観的に見ることができたり、待遇差に不公平さを感じやすいということがあるのかもしれない。働かないおじさんに比して、働かないおばさんの報告事例が少なかったのも、こうした男女格差の一端を示しているのだろう。

目撃! 私の職場の働かない人たち、「1回30分のタバコ休憩」「人が来ると慌ててゲームを隠す」