7月下旬から始まったGO TOキャンペーンですが、当初は東京が対象外だったことも影響し、利用者はそれほど多くありませんでした。そんななか旅行に出かけた人に会うと、「飲食店に『地元の方以外入店お断り』という貼り紙があって食事ができなかった」という話を複数の人から聞きます。

ドライブ
画像はイメージです(以下同じ)

“ヨソ者利用NG”の食堂だった

 8月上旬に彼女と北海道旅行に出かけた大学生の南田俊平さん(仮名・21歳)も、昼食を取ろうと立ち寄った食堂が、不運にもヨソ者NGのお店だったといいます。

「前日泊まっていた温泉地から次の目的地に向かう途中だったんですけど、食事できるような場所がなかなか見当たらず、ようやく見つけた一軒の食堂でご飯を食べようとしたんです。

 そしたらお店の方に『すみません……』と申し訳なさそうな感じで謝られ、『地元の方以外入店をお断りしている』と言われてしまって。まあ、店内感染でも起こしたら一大事ですし、自衛策として敏感になってしまうのは仕方のないことです。それでお店の駐車場に停めてあったレンタカーに戻ろうとしたんです」

 すると、ちょうどそのタイミングで、南田さんよりは少し年上だと思われる3人組の少しガラの悪そうな男性たちがお店に入ってきます。ですが、彼らも地元客ではなかったのでお店の人は食事をお断りしている旨を説明します。

段々と不穏な雰囲気に…

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 そのことについては男性客たちも理解を示してしましたが、「近くに代わりに食事ができる店はありませんか?」と尋ねたそうです。

 これに対して店員は「この辺のお店は地元の方以外お断りになっていると思いますが……」と回答。しかし、男性グループの1人は納得いかない表情で「だから、食事できないところではなく、ご飯が食べられる店はどこかですかと聞いているんです」と言いました。

「それでも店員は『ちょっとわかりません……』の一点張りで、男性たちは明らかイライラしている様子でした。それでも丁寧な口調で『入店お断りはお店の方針だから仕方ないとしても他のお店の情報を教えてくれたっていいじゃないですか』と抗議していました。ですが、店員もイラついていたのか彼らを無視するような態度を取ったんです

他の客が「ネットに晒す」と息巻くが…

 すると、店員と話をしていた人物と別の男性グループメンバーが、お店の入口に貼ってあった「地元客以外入店お断り」の貼り紙を撮影。そのうえで「アンタの態度のこと含めて、この店のことを実名でネット上に晒してやる」と宣言したのです。

「法律のことは全然詳しくないですが、本当に実名で誹謗中傷の書き込みをしたら、事実だったとしても営業妨害になるじゃないですか。さすがにそれはマズいだろうとは思いましたし、お店の人にそんなことを言うなんて脅しですよね。

 ここで警察を呼ばれて巻き込まれても面倒ですし、隣にいた彼女が『もう行こう』と言ったので僕らは駐車場に向かったんです。けど、彼らもすぐ後に店を出てきて、ネットアップとかアレはマズいだろうって話していましたが、『そんなことするわけねーだろ。ムカついたから言っただけで、勝手にビビっていればいいんだよ』って。

 すると、いきなり僕らのほうを見て、『兄ちゃんもそう思うだろ!』って話を振られたので、咄嗟にうなずいちゃいましたけどね(笑)

コロナのせいでギスギスしていた

田舎道

 なお、再び車を走らせて食事のできる店がないか探したところ、数キロ先にあった道の駅で無事食事を取ることができたそうです。

「田舎にとって数キロって近所みたいなものですし、道の駅で食事できるならそのことを言ってくれればよかったのにとは思いましたね。仮に知らなかったとしても、断るなら、そのあたりの情報を調べて教えてくれてもいいじゃないですか。

 立地的に観光客やドライブ中の人が立ち寄るような店だったし、文句を言った男性客たちではないですがほかの飲食店情報を教えてくれなかったことは僕も不親切とは思いました。まあ、そう考えてしまう時点で自分もコロナのせいでギスギスしてるのかなって後になって反省しましたけどね(苦笑)」

 田舎の飲食店でコロナ感染者を出したらそれこそ死活問題。営業を続けていくのは難しいでしょう。

 現在では再び観光客が増え、地元客以外入店お断りの貼り紙を出す飲食店も減っているようですが、不特定多数の客が出入りすることで感染リスクは高くなっているともいえます。そういう意味では店側も厳しい判断を迫られているのかもしれません。

<取材・文/トシタカマサ イラスト/田山佳澄>

【トシタカマサ】

ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中