映画監督“齊藤工”としても活動する俳優・斎藤工を400日にわたり追いかけた「ノンフィクションW 齊藤工 DEAR FILMS…」が、10月25日(日)WOWOWプライムにて放送。また、“齊藤工”が監督などを務めたユニークな作品の数々を同日一挙に放送する。

【写真を見る】斎藤工が日本の映画産業についての危惧を語る!

今やオファーの絶えない人気俳優となった斎藤工だが、彼が幼少期から憧れ、思い描いた“創造の現場”には、俳優のみならずプロデューサーや監督として生きる自⾝の姿があった。

2018年公開された斎藤の長編初監督作『blank13』は、失踪した⽗親に13年ぶりに再会した主人公の心の機微を追った内容が国内外から高い評価を獲得。世界中の映画祭に招かれ、公開オファーも殺到した。

2012年以来多くの映像作品を世に送り出してきた斎藤だが、そのすべてに通底するのが“優しさ”だ。ホラー作品でさえ、虐げられたであろう人々への“優しいまなざし”が感じられる。

そして、静かにゆっくりと人の営みに寄り添う食をテーマにした世界公開作品「フードロア︓Life in a box」には、そんな“⿑藤工”の映画観が詰め込まれている。

本番組は、⿑藤とは高校時代からの盟友でもある映像ディレクターが、⿑藤を400日にわたり密着取材。至近距離から捉えた異⾊のドキュメンタリーとなっている。

2019年7月の「フードロア︓Life in a box」のクランクインから、 劇場のない町に映画体験を届ける移動映画館「シネマバード」の取り組み、⽵中直人山田孝之との共同監督映画『ゾッキ』の撮影現場など、の“創造の現場”も多数登場。

また、出演俳優や現場スタッフのコメントを交えながら、 彼の特異な生い立ちと⻘春期も振り返っていく。そこから見えてくる⿑藤工の“優しさ”の源流とは何なのか。ぜひ番組で確かめてみよう。

■ 監督“⿑藤工”の真髄をまとめて! 過去作6本が一挙に放送

さらに、「ノンフィクションW 齊藤工 DEAR FILMS…」放送を記念して、“齊藤工”がプロデューサーや監督などを務めた、独特の個性とセンスが詰まった作品を特集として一挙に放送。

今回放送されるのは、齊藤の監督第1作『サクライロ』、齊藤が芸人・永野と共同で企画・プロデュースしたブラックコメディー『MANRIKI』、度を超えて加速し続ける“自主規制”にメスを入れた話題作『COMPLY+-ANCE コンプライアンス』など全6作品。これを見ると“ノンフィクションW”がさらに楽しめること必至だ。

本特集の放送を前に、“齊藤工”へのロングインタビューを実施。今回放送される6作品それぞれについて、製作の経緯、撮影中の出来事、そこにこめられたメッセージなどを語ってもらった。さらに今回、新型コロナウイルスに対する自身の考えや、本特集への思いをコメントとして寄せてもらった。

■ 映画、サブスク、Youtube…動画戦国時代の今は「いい状況」?

――コロナ禍での映画と、 日本の映画産業について

コロナ禍を経て映画における概念で一番変わったのは時間だと思っていて、僕もサブスクやYouTubeをザッピングしたりして、短く濃くというか、エスプレッソみたいに選択して、「これ薄味だからいいや」とか「長いからいいや」とか、「なんかこれよりもっと必要なものがあるんじゃないか」っていう、激戦区になってきている気がするんですよ。

クリストファー・ノーランの新作と学生映画では、(映画を見るのに)投じる時間は一緒じゃないですか。その価値をどう捉えるかっていうこととか、自分の人生の時間と映像を体験するっていう時間の折り合いのつけ方が変化している気がします。

全ての映像作品が、より厳しい中でしのぎを削る時代に突入している気がして、これは僕はいいことだと思っていて、その分クリエイティブの感覚・価値観は上がらざるをえないですよね。

映画祭に行って思いましたけど、フランスとか韓国とか、観客のIQがすごく高いんですよね。文句言いながら映画観る人がいたりとか。そういう観客の意識を、企画段階でフィルムメーカーの製作陣がより強く意識するっていうことがすごく大事で。

自分自身にも言えるんですけど、日本で映画を作る人達は企画段階で、クリエイティブファーストというよりは、特にキャスティングとかで、「この人のファンの人たちが見るだろう」という産業的な発想で、損しないプロジェクトにしている映画が多いと思っているんですね。厳しい観客を設定して始まるものでなければ、日本の映画業界の進化はないのかなと思っています。

■ 「作品単体を厳しくジャッジしてほしい」

――今回の特集について

10月25日(日)のWOWOWの特集は、自分の時系列のようなラインナップですよね。よくWOWOWの特集を見るんですけど、 タテ軸で見る時に結構“胃もたれ”してしまうことが多くて。同じ役者さんを見続けるということがもちろん面白い見方でもあるんですけど、それにほぼ半日費やせるかという所は正直疑問に思っているところもあったので。

ただ、今回の特集は僕を見続けるものではなくて、一つ一つ“クリエイティブファースト”で作ったという自負のある作品ですし、当然僕が出ていないものもあるので、製作のプロセスを超えて、その作品単体がどれだけ見た方に対してエネルギーを持っているかを、厳しくジャッジして欲しいです。

モノの捉え方というのは、時代がざらつくとともに目線が厳しくなるので、僕の今回のラインナップはどう映るかわからないんですけど、僕の中では抽出したものではあるので。むしろ僕のことなんて興味のない人達とかに作品を見てもらって、 ディスっていただくのも大いに構わないですし。

ただ作品に関わってくれた役者さんたち、スタッフさんたち、配給や宣伝の方たちに対して、申し訳ないという気持ちはどうしてもあるので、僕が自分の作品を卑下するのはよくないですし、「1個1個自信作です」というのは胸を張って言えます。

これは僕の才能でもなんでもなくて、チーム編成のおかげです。映画を作るということは、自分なりの「アベンジャーズ」を作ることなんですよね。

時として誰かのアベンジャーズの一人になれる可能性を持っているのであれば、僕は協力させてもらうということなので。作品を見て何かを感じてもらうってことが本当にご褒美になりますので、 ご覧いただけたらうれしいです。(ザテレビジョン

10月25日(日)、WOWOWプライムにて放送される「ノンフィクションW 齊藤工 DEAR FILMS…」