最近はSNSの発達もあり、学校を卒業後も就職してバラバラになった友人の近況などを手軽に知ることができるようになりました。ただ、気軽に現状がわかるというのはいつまでも仲良くいられる一方、自分と他人の生活を簡単に比較することもできるという諸刃の剣となることも。

みなさんは友人の生活を覗きながら「あっちの人生がよかったな」なんて思うことはありませんか?

若いほど「羨ましい」が強く加齢とともに達観するもの?

リスクモンスター株式会社では、2018年に続き「隣の芝生(企業)は青い」の第2回目の調査を2019年9月におこないました。

調査は20歳~69歳の男女1000人を対象に実施。「友人・知人の仕事を羨ましいと感じたことはありますか」という質問に対し、41.9%の方が「羨ましいと感じたとこがある」と回答しました。調査を年代別にみてみると、20代は48.5%の人が「羨ましいと感じる」のに対し、60代では33.0%にまで減少。年齢とともに羨ましいと感じることが減ってきているようです。それは社会にでて仕事をしていくうちにだんだんと人を羨むことより自分の仕事に目を向けることができるようになっている表れなのかもしれません。

ただ、「羨ましいと感じるポイントは」という質問に対し、「給料が高い」「福利厚生が充実している」といった点は20代の方が羨ましいと感じている割合が多かったのに対し、「会社に安定性がある」ことへの羨望感は20代より50代・60代の方が高い結果に。定年を間近に控えたシニアに近い世代にとってはお給料や福利厚生といったことよりも、最後まで安心して働けることへの羨ましさというのは重要視されているのかもしれません。

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給料の高い会社は憧れ。しかし、そこで働きたいかは別の話

仕事をするにあたり、多くの人が重要視する「給料の高さ」。働く対価として気になるのは当然といえます。友人や知人がたくさんのお給料をもらっているのが垣間見えたら、正直羨ましいと考えるのは不思議なことではないように思います。

調査では羨ましいと感じた人に対して「当該企業に転職したいか」を質問。その結果「転職したい(50.8%)、「転職したくない(49.2%)という、ほぼ互角の結果になりました。それでは「羨ましいけれど転職したいかというとそうは思わない」理由とはいったいどんなものなのでしょうか。

「転職したくない」と回答した人が今の会社にとどまりたいと思った理由として「残業が少ない(27.2%)」「自宅から近い(24.8%)」「転勤がない(19.4%)」が上位に。友人・知人が対象であるため、夜遅くまで働いている姿や長い通勤時間、全国やはたまた世界中に転勤している姿などを目にしていると「それだけのことをやっての高収入」だということもわかってしまうため、自分はそちら側にはなりたくないと考えているのかもしれませんね。

「羨ましいと感じない」人の増加。原因は多様性と自分の幸福を感じる力?

友人・知人を「羨ましい」と感じる一方で「だからといって自分もそこで働きたいと感じるわけではない」というどこか冷静な人がいる一方、そもそも「羨ましいと感じたことがない」という人が58.1%いることも注目すべきポイントではないでしょうか。

2018年におこなった際には、羨ましいと感じない人は52.3%でした。今回、5.8%もこちらの割合がアップした理由は自社への満足感なのか、世の中が多様化してく中で「人は人」と割り切れる人が増えた結果なのか。「隣の芝生を冷静に観察している」人たちの増加は、自分の幸福を感じ取れる力が増した現れの可能性を考えると、今後も見守っていきたい点ではないでしょうか。

自分の生活スタイルにあった会社が一番という人たち

映える日常を送っている人を見ると羨ましいと思う反面、豊かな生活ができるほどたくさん稼ぐためには努力が必要なことなども最近は特に皆さん理解してきている様子。今回の調査は「友人・知人」といった比較的苦労面も目につきやすい相手を対象にしたものだったからこそ、冷静な回答が多かったのかもしれません。

また、「町のねずみと田舎のねずみ」のように、単純に一方の生活が優れているわけではなく、どちらの生活も一長一短であることを理解したうえで、自分はこちらの生活がいいと満足することこそが、日々の暮らしを楽しく感じさせるための第一歩となるのではないでしょうか。

お金だけでは測りきれない隣の芝生。みなさんは何を重視していますか?

【参照】
リスクモンスター株式会社「隣の芝生(企業)は青い