読売旅行は10月22日10月中旬に実施した3泊4日の北海道ツアーにおいて、参加者・乗務員計41人のうち12人について、新型コロナウイルス感染が確認されたと発表した。いずれも軽症・無症状だという。

同社は新型コロナ対策として、体温などを確認する「健康チェックシート」を参加者から提出してもらっているが、参加者のうち1人が、「咳、のどの痛み、息苦しさ、胸の痛み等の呼吸器症状や味覚障害はございますか?」という項目に、「はい」のチェックをつけていたにもかかわらず、これを添乗員が見落としたという。

のちに、この参加者はPCR検査で陽性となった。保健当局から集団感染に当たるかどうかの判断は示されていないが、同社は「ツアーの期間中にまとまった感染があったと考えざるを得ない」としている。

GoToトラベルを使って旅行する人は増えている。今後、このようなツアーに参加して新型コロナに感染した人は、体調に不安があるとの申告を見逃してしまった旅行会社に損害賠償請求ができるのだろうか。齋藤裕弁護士に聞いた。

「損害賠償責任を負う可能性が高い」

ーー参加者がツアーで感染した場合、旅行会社に損害賠償請求できますか。

今回のケースで、読売旅行のサイトでは、「安全・安心の旅をお届けする当社国内ツア-のお約束」の一つとして、「ご旅行当日、添乗員がチェックシートを回収させていただき、健康状態に問題がある場合はご参加をお断りさせていただくことがございます。旅行開始後でも同様の対応を取らせていただくことがございます。」としています。

現在、多くの人が新型コロナウイルスに感染しないように努力しています。ツアー参加者はこのような記載がある読売旅行に対して、「新型コロナの症状がある人はツアーに参加させないという対応をとっている」という期待を持つでしょうし、そのような期待は合理的と思われます。

したがって、新型コロナの徴候とされる症状についてのリストの記載を見落とし、症状のある人をツアーに参加させていたとすれば、このツアーに参加して感染した人に対し損害賠償責任を負う可能性が高いと考えます。

「入院・通院日数に応じた慰謝料、休業損害」などが対象に

――損賠賠償を請求するにあたって、条件はありますか。

個々の参加者が損害賠償請求するためには、その参加者がツアーで感染したかどうかが問題となりえます。ツアーで多くの感染者が発生したこと、参加者の居住地や交通手段、従来の症状の有無、発症とツアーとの時間的関係等からツアーで感染したかどうかが判断されるでしょう。

――損害賠償の対象にはどのようなものが含まれますか。

損害賠償が認められる場合には入院・通院日数に応じた慰謝料、休業損害等が賠償の対象となり得ます。

――感染しなかったツアー参加者も、念のため、医療機関等にかかることはありそうです。

感染していない人が検査をするために要した費用についても、他の人に感染させるリスクを減らすための必要不可欠な費用と考えられますので、賠償の対象となる可能性があります。

【取材協力弁護士
齋藤 裕(さいとうゆたか弁護士
刑事、民事、家事を幅広く取り扱う。サラ金・クレジット個人情報保護・情報公開に強く、武富士役員損害賠償訴訟、トンネルじん肺根絶訴訟、ほくほく線訴訟などを担当。共著に『個人情報トラブル相談ハンドブック』(新日本法規)など。
事務所名:さいとうゆたか法律事務所
事務所URLhttps://www.saitoyutaka.com/

「体調不良の申告見落とした」ツアーで12人新型コロナ感染 主催社の法的責任は?