イギリスで過去の全ての記憶を失った女性が、なおも彼女を愛し続ける恋人と再び恋に落ちるという映画『50回目のファースト・キス』のようなカップルの話題が届いた。女性は今、「交際したての新鮮な気持ちで彼を愛している」という。『Metro』『Mirror』などが伝えている。

サリー在住のソフィー・クレイトンさん(Sophie Clayton、27)と恋人のジョナサンウィルソンさん(Jonathan Wilson、27)は、2017年11月に知り合って交際を開始した。しかし昨年11月、2人の間に危機が訪れた。

当時、緊急コールセンターの仕事をしていたソフィーさんは、夜勤に向かうため自宅で身支度をしていた。ところが突然鼻血が出始め、出血が止まらずにいると今度は左目からも出血した。ソフィーさんの母親は娘が脳卒中を起こしたと思い、急いで救急車を呼んだ。

ロンドンのセント・ジョージズ病院に搬送されたソフィーさんは、脳と神経をつなぐ信号が遮られた状態となる「機能性神経障害(FND)」と診断され、10日間入院することとなった。

米ミネソタ州に本部を置く「メイヨー・クリニック(Mayo Clinic)」によると、FNDを発症する原因は不明な点が多く、一説によると神経障害、ストレス、精神的または肉体的外傷によって引き起こされる可能性があり、症状としては飲食、視力、聴力、そして歩行などが困難になる場合があるという。

ソフィーさんの場合は、脳に何らかの圧力がかかっていた状態に鼻血が出たことで一気に脳に張力が働き、FNDを誘発したのではないかと言われている。これによりソフィーさんは歩行などが困難になったうえ記憶障害となり、自分の名前はもちろんのこと両親や恋人のジョナサンさんのことも記憶から一切消えてしまった。

ソフィーさんの入院後、すぐにジョナサンさんが見舞いに来たものの母親に「この男性は誰なの?」と訊いてしまったという。しかしジョナサンさんはソフィーさんを諦めることなく、彼女に寄り添い続けた。彼は2人の思い出の場所であるバース・クリスマスマーケットやロンドンキューガーデンにソフィーさんを連れて行き、常に愛を伝えた。

そんなジョナサンさんにソフィーさんが再び恋に落ちるまで時間はかからなかった。ソフィーさんはジョナサンさんについて次のように語っている。

「記憶を失った当初は、何だか人目が気になって落ち着かない感じがしました。そんな中でジョナサンは常に『君は美しい』『君を愛している』と語りかけてくれました。」

「私達の思い出を失ったことが本当に辛かったのですが、彼がそれを再現してくれることに幸せを感じました。そして私は、また彼に恋していることに気づいたんです。」

ソフィーさんはジョナサンさんに対して出会った当時の新鮮な気持ちで向き合うことができ、その感覚が幸せな気持ちにさせてくれるのだという。

それからというものソフィーさんは記憶を取り戻せないという事実を受け止めて、過去にとらわれることなく前に進むことだけ考えるようになったそうだ。2人は現在、来年から一緒に暮らすための新居を探している最中とのことだ。

画像は『Mirror 2020年10月22日付「Woman, 27, back in ‘honeymoon phase’ with boyfriend after losing her memory」(Image: Sophie Clayton / SWNS)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)

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