【なぐもんGO・67】 イオンリテールは2020年3月から、新しい買い物体験として「レジゴー」をスーパーマーケットイオン」で本格的に展開している。レンタルスマホを使った利用者自身による商品登録サービスで、子どもからの人気も高いという。筆者も体験したところ楽しく快適な買い物になったが、メリットはそれだけではない。実は売り上げにもプラスに作用しているという。

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 イオンリテール執行役員の山本実システム企画本部長は、「買い物の最後に並んで待つ時間がお客様の満足度を下げている。せっかく来店していただいたのに待ちきれなくなって帰ってしまうケースも珍しくない。改善することが、経営課題の一つにもなっている」と、レジゴーの導入を進める背景について語る。

 同社はセルフレジをいち早く導入するなど、以前から買い物体験の向上に力を注いでいる。なかでもレジゴーの効果は大きく、導入してからレジ待ちの行列が圧倒的に減った店舗もあるという。レジに並ぶ必要がなくなると、店舗での在庫回転率が上がり機会損失を防ぎやすくなるため、売り上げへの好影響が期待できる。単純にレジを増やすより、人手や手間もかからず効率的だ。


●商品リストがスマートな買い物を実現



 イオンリテール 経営企画本部広報部の中田真由子氏は、店舗によって状況は異なるとしながらも、「レジゴーを導入している店舗では、顧客単価が約15~20%上がっている」と説明する。その要因の一つとなっているのが、ユーザー自身が選んだ商品をリアルタイムで一覧できる、というレジゴーならではの独自機能だ。

 中田広報担当は「商品の買い忘れが少なくなっているため」と分析する。商品リストを確認しながら買い物できる仕組みのおかげで、買い忘れた商品を取りに戻って再びレジに並びなおすといったムダな行動が減ったのだ。実際に、忘れがちな「調味料カテゴリーの売り上げが伸びているそうだ。


●ロス率も平均値以下に



 利用者自らが商品を読み取るとなると、誤って会計をせずに持ち出してしまう可能性も考えられる。しかし、意外なことにレジゴー導入店舗の棚卸をしてみても、売り上げと商品個数の差(ロス率)は平均値以下に収まっているとのこと。利用者が酒類を購入する際も、レジゴー専用精算機の前にいるアテンキャストというスタッフが確認しているため、20歳以下の客が購入する心配もない。

 監視カメラの設置台数なども、レジゴーを導入していない同規模の店舗と同じくらいだという。「レジゴーはあくまでお客様に楽しく買い物をしていただくためのサービスなので、防犯のために“がんじがらめ”にしては元も子もない」(山本本部長)として、利用者の買い物体験の向上を重視している点を強調する。


●「レジ待ち時間との闘い」



 山本本部長は、スーパーマーケットの歴史を「レジ待ち時間との闘い」と表現しながら、セルフレジをいち早く導入してきた経緯を振り返る。ただ、今後は全てのレジをレジゴーに置き換えて、レジ待ち時間をゼロに近づけていくのかというと「それは違う」と答える。

 中田広報担当は「お客様ご自身で完結したい少額の決済はセルフレジ、高齢な方やスタッフの手を必要とする人には有人レジ、楽しく買い物をしたい人にはレジゴーといった形で、お客様それぞれのニーズに合わせたチェックアウト方法を選択できるように整えている」と説明する。

 顧客ニーズに合わせて会計手段を多様化することは、一つのレジに集中させない分散化にもつながっており、最終的にはレジ待ち時間も軽減できるはずだ。レジゴーについても、現在はレンタルスマホだが、将来的には利用者自身のスマホでも利用できるようにする予定。「まずはレンタルスマホで認知していただく」(山本本部長)。いつかスーパーのレジ待ち時間が苦にならない日常がやってくるまで、イオンの闘いは続きそうだ。(BCN・南雲 亮平)
スマートな買い物体験を実現するイオンの「レジゴー」