24時間働けますか?」というCMが流れていた時代から世相は大きく変化し、現代の若者は激務高収入よりも安定した収入さえあれば自分の時間が確保されるほうが優先度が高いのかもしれません。今回は手取り15万だけど、日々楽しく生活する男性に話を聞きました。

ブラック企業
画像はイメージです(以下、同じ)

毎日会社をやめたいと思っていた

 都内のOA機器メーカーで総務部に勤務する安東邦夫さん(仮名・25歳)。入社直後は営業部に配属されたものの、その後、適性を見て異動になったそうです。

「営業の頃はまったく売れなくて、毎日会社をやめたいと思っていました。成績が悪いのに早く帰るのも周囲の視線が痛いので、無駄に会社に残っていたりもしました。毎日ひどいストレスでしたね」

 なので入社1年目から、営業以外の部署への異動希望をずっと出していました。自分が営業に向いていない事は明らかでしたから。入社3年目に入る春の人事異動で希望が通って異動になったんです」

毎月2~3万円手取りが減ったけど…

手取り10万台

 なかなか異動の希望が通らない企業が多いなかで、比較的早い段階で希望が通った安東さん。部署が変わったことで生活に大きな変化が。

「まず定時上がりになったので、体はとても楽になりましたね。異動先の総務の仕事も性に合っていたようで、日々のストレスはほぼなくなりました。残念なのは、外勤手当がなくなって給料が下がったことでしょうか」

 ストレスから解放されたことは素晴らしいですが、給料が下がったことは生活にも直結します。しかし、彼にとってさほど重要なことではないようです。

月2万~3万円手取りが下がって今は15万円弱です。他の企業に就職した大学の友人に話すと少ないって驚かれるんですが、実は自分自身はあまり困ってはいません」

賃貸は安いに越したことがない

 給料は減ってしまいましたが、日々の固定費自体がもともと安いこともあって、意外にも快適に過ごしているようです。

「都内には一人暮らし専門の激狭物件が多数あるんです。家賃は3万円くらい。もともと狭い場所が落ち着く僕にとって最高の物件です。建物が古いことも特に気になりません。僕からすれば、見栄のために人気のある街でアパートを借りている同僚が理解できないです。毎月7万~8万の家賃を払っているらしく、僕らが勤めているような零細企業の身の丈に合っていないと思います。

 何を重視するかは人によりますが、賃貸はいくらお金を払っても自分のモノにはならないし、遠方でも通勤にかかる交通費は支給されるので不便なく住めればいいかなと思いますね」

給料よりもストレスからの解放

古いアパート

 一時期は節約のために埼玉にある実家に帰ることも考えたそうですが、やはり一人で過ごす時間だけは確保したかったそうです。

「給料は確かに下がりましたが、それよりも営業職のストレスから解放された方が自分にとっては大きいです。物欲も強いほうではないので不便もなく、もらった給料内でいかに快適に過ごすかを毎月楽しんでいますよ

 自宅に戻るとひたすらネットゲームを楽しんでおり、なるべくコストが発生しない趣味を選んでいるんだとか。

「普段自炊で節約していればたまに外食で贅沢もできますしね。女っ気がまったくなくそこだけは残念ですが、男の一人暮らしを満喫しています」

 ワークライフバランスが声高に叫ばれる昨今ですが、収入だけが幸福ではないという価値観が若者に根付いてきたように思います。心身ともに健康に過ごす安東さんの考え方をちょっと見習いたくなりました、

<取材・文/ホンマカズヤ イラストパウロタスク(@paultaskart)>

【ホンマカズヤ】

フリーライター/心理カウンセラー。男女関係、失敗談、心理学などアタマとココロに関する記事を主に執筆。朝と雨とウイスキーが好き