―[貧困東大生・布施川天馬]―


 現役東大生の布施川天馬と申します。学生生活の傍ら、ライターとして受験に関する情報発信などをしています。

 みなさんは「テレビゲーム」と聞くと、どのような印象を持つでしょうか? 最近では「ゲーム脳」という言葉もよく聞きますが、ゲームをやりすぎると頭が悪くなるというように考えている方は多いと思います。

 しかし、これは違います! 頭を使うゲームも最近は増えてきましたが、「やればやるほど頭がよくなるゲーム」だってあるのです!

 僕たち東大生の中にも実は多くのゲーム好きがいます。休みの日などは、一日中ゲームをして過ごしているような人だっているのです。

 今日はゲーム好きの東大生を代表させてもらい、「頭がよくなるゲーム」を3つ紹介させていただこうと思います!

◆◆シティーズ:スカイライン

 繰り返しになりますが、東大生は意外にも世間で思われている以上にゲームをします。「ドラゴンクエスト」や「ポケットモンスター」などの王道RPGも人気ですが、それ以上にいま東大で一大ブームが巻き起こっているのがシミュレーションゲームです。自身の手で国や街を発展させたり、部隊を指揮して勝利を目指すといった戦略性の高いゲームが大変な人気を集めています。

 このゲームは「自分が市長になって、自由に街づくりができるゲーム」です。「え? それだけ? なんかありきたりだな」と思われたそこのあなた! このゲームの奥の深さは緻密なシミュレーションによって住民一人ひとりの行動が描写されるということにあります。

 自分の作った町が果たして本当に住みよい街なのかがゲームキャラクターである住人たちのリアクションを通して、リアルに感じられるのです!

 たとえば、あなたが街を建設する際、病院を市街地から遠く離れた交通の便が悪いところに設置したとしましょう。この病院に行くには長い片道一車線の道路を通るしかありません。

 これだけでもう僕はその街に住みたくありませんが、その街で大規模なパンデミックが起きるとどうなると思いますか?

 病院からは多くの救急車スクランブル発進しますが、その病院へ通じる道が一本しかないせいで、大渋滞が発生するでしょう。さらには市街地から遠いせいで住民たちは歩いていくことも難しい。結果的に街の住民の死亡率急上昇してしまうというわけです。

 これを避けるためには、なるべく交通の便のいいところに病院を設置するだとか、一つの病院にすべてを任せるのではなく、各地域区画に一つは病院を設置するだとか、そのような対策が挙げられますね。

◆都市運営がリアルシミュレーションできる

 このようにしてリアルな都市運営のシミュレーションができるのが、このゲーム面白いところなのです。

「どうして駅の近くには大きい道路があるのだろう?」「どうしてここにもあそこにも病院があるのだろう?」「どうして全部の発電所を水力や風力などのエコ発電に変えないのだろう?」などといった疑問を、ノーリスクシミュレーションすることができるわけですね。

 当然ですが、実際の都市運営ではこのようなミスは許されません。だからこそ僕たちの目にはなかなか失敗例が入りにくいわけですが、このゲームを遊べばほんのちょっとしたことでその都市の住み心地がガラッと変わってしまうということが強く実感できると思います。

 大人向けのシミュレーションゲームのように思われますが、むしろ小さな子供にこそ、好き勝手に都市を作ってはその失敗と成功の原因を考えるというように遊んでほしい一作です。

◆◆デトロイト ビカム ヒューマン

 こちらは打って変わってアドベンチャーゲームリアルで予想のつかない人間ドラマを得意とするアトランティック社の作品です。

 ところで、みなさんは「AI」と聞くとどういうものを思い浮かべるでしょうか? 身近なところではペッパーくんやSiriなどを連想する方も多いかもしれません。AIというのは人工知能のことを指しますが、実は定義は一定ではないのです。

 東大のAI研究者である松尾豊先生は「AIとは人工的に作られた人間のような知能、ないしはそれを作る技術である」と言っています。なるほど、「人工的に人間のような知能」と聞くと、なんとなく人工知能というネーミングにも納得がいきますね。

 それでは「人工的に作られた人間のような知能」が究極的に発展して、いつしか自我を持つようになり、人間と見分けがつかなくなったらどうなるのでしょうか? ご紹介するゲーム「デトロイト ビカム ヒューマン」はその疑問に一つの答えを提示してくれます。

 このゲームの舞台は2038年アメリカのデトロイト。高度に発達したロボット産業のもとで、人間と見分けがつかないほど精巧なアンドロイドたちが働く近未来の話になります。

 アンドロイドは安価な労働力として社会で受け入れられるのですが、その一方で“AIに仕事を奪われた”とする人々はアンドロイドを迫害します。さらにはアンドロイドを「人間に使われる下等な立場である」として差別する人間も現れます。

 物語は「変異体」と呼ばれる自我を手にしたアンドロイドたちの出現によって動き始めます。差別に反発し、権利を要求するアンドロイドと、それを抑圧する人間という争いが巻き起こり、プレイヤーはあるアンドロイドとしてその事件を追体験することとなります。

 このゲーム素晴らしいところは「AI対人間」という形で差別構造を示しながら、プレイヤーが差別される側に置かれるということです。

◆近未来SFではなく、ヒューマンドラマ

 プレイヤーはとにかく人間からいじめられます。何もしていないのに悪態をつかれ、いわれのない暴力をふるわれます。「どうして?」と感じる暇さえなく、それが常識なのであるという扱いを受け続けます。

 自我の芽生えたアンドロイドは、その見た目(ゲーム画面を見ればわかりますが、ほぼ人間と見分けがつきません)から話し方、感情の表し方まで人間と変わりません。しかし、「いったいどうして差別されなければいけないのか?」という問いに対して、人間は「お前がアンドロイドだからだ」と返します。

 そうすることによって、差別の不条理さを描いているわけです。一見すると、近未来SFのように見えますが、これは「差別は不毛である」という強いメッセージの下に作られたヒューマンドラマといえます。

 物語自体に非常に多くのストーリー分岐があるおかげで、何度やっても違う結末に辿り着くストーリー構成は見事というほかありません。

 ゲーム好きの東大生は数多くいますが、「おすすめのアドベンチャーゲームは?」と聞くと、まず間違いなくこのゲームランクインします。ド定番ではありますが、だからこそ誰にでも一定以上のクオリティで楽しみを提供してくれる良作です。

 最近は特に学校現場での「いじめ問題」が深刻化していますが、中高生くらいの青少年にこそ、やってほしいゲームだと僕は思います。

◆◆Baba Is You

「頭がよくなるゲーム」3本目はパズルゲームです! このゲームは東大の情報学科に通う友人から教えてもらったのですが、初めてプレイしたときは目から鱗が落ちるような思いでした。

Baba Is You」のルールは単純。プレイヤーBabaという四足歩行のかわいい生き物になって、ステージクリアを目指します。正確には[win]の条件を満たすことが目標です。

倉庫番」という有名なゲームがあります。物体を押したり引いたりしながらゴールを目指すというタイプパズルゲームですが、「Baba Is You」も「倉庫番」のように物体を押し引きしてゴールを目指します。

 このゲームの一番ユニークなところは、ステージ中にルールが「押せるオブジェクト」として登場するところにあります。このルールブロックを押せば、ルールさえも変更できるのです。

 たとえば、[Baba][Is][You]と[Key][Is][Win]という3個のブロックで定義されたルール文が2つあったとします。

 このときのステージクリア条件はBabaを操作してKeyに触れることとなります。それではBabaを操作して、[Baba][Is][You]を[Key][Is][Win]になるようにブロックを差し替えるとどうなるでしょうか?

 正解は操作キャラクターBabaからKeyに変更されます。もしもこのときに[Key][Is][Win]の文章が同時に成立していた場合には、操作キャラクターが移った瞬間にステージクリアとなります。

◆「プログラミング的発想」がゲームを通じて伸びる

 このゲームパズルゲームなので閃きが必要となりますが、それ以上にプログラミング的な発想が役に立ちます。どのような命令文があり、それがどのように作用しているのかを冷静に分析することがクリアへの近道となるからです。

 IT化が進む中で最近はプログラミング教育の大切さが強調されています。今年度から小学校ではプログラミング教育が必修となりましたし、N高など一部の高校ではプログラミング専科の立ち上げもなされました。

 IT技術の重要度が上昇し続けていますし、これからはプログラミングなどの専門技術についてもある程度の知識が必要となってくる時代となるかもしれません。本格的にプログラミングを我が子に習わせる前にそのような考え方を身につかせる上で、このゲーム救世主となるでしょう。

 できる限りこのゲームルールや魅力を僕なりにお伝えしましたが、それでもおそらく今回のこの説明を読んでも多くの人が「わかったような、わからないようなという感じ」だと思います。これは体験してみてナンボのゲームですから、ぜひプレイしてみてください。

 Nintendo Switchでの配信も始まっていますから、いつでもどこでもすぐにゲームアクセスできるのも強みです!

「たかがゲーム」なんて考えるのは実はとってももったいないことです。意外とゲームって侮れないなと感じた方もいらっしゃったら、ぜひ一度、チャレンジしてみてください。

 これからはゲームを賢く使って楽しく勉強する時代になります。やりすぎには注意して、楽しく学びを深めましょうね!

【布施川天馬】
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』が発売中

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