昭和を代表する作曲家・古関裕而氏を題材に、音楽を愛する主人公・古山裕一(窪田正孝)・音(二階堂ふみ)夫妻の人生を描く連続テレビ小説「エール」(毎週月~土曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか)。10月26日に放送された第96回では、音の姉・吟(松井玲奈)とその夫・智彦(奥野瑛太)の新たな生活が描かれた。人々が未来に向かって歩き出す過程が描かれる第20週「栄冠は君に輝く」(10月26日[月]~10月30日[金])。その初日に描かれたとある夫婦の物語に感動の声が上がった。(以下、ネタバレがあります)

【写真を見る】ラーメン屋台でケン(浅川大治)にネギの切り方を教わる智彦(奥野瑛太)。心温まるワンシーン

■ 「人のために命を燃やせるのがあなたの誇り」

街にはまだ、行き場をなくした失業者や戦災孤児がいた昭和23年頃。戦争が終わったからといって、誰もがすぐに明るい新生活に踏み出せるわけではなかった。

智彦も、“元軍人”のプライドが邪魔をしてなかなか仕事が見つからず、闇市のラーメン店で働き始めていた。だが、厳しい店主・天野(山中崇)の指導を受けながらラーメン作りに打ち込み、戦災孤児・ケン(浅川大治)とも交流する中で、本当に自分が大事にしたいものにうっすらと気づき始めていった。

同期・松川(木原勝利)の誘いでいったんは貿易会社に就職した智彦。だが、松川の職業に対する考え方を見るうち、今の生き方に違和感を覚えるように…。吟の「人のために命を燃やせるのがあなたの誇り」「その生き方ができる選択をしてほしい」の言葉をきっかけに貿易会社を辞め、天野に頭を下げて再びラーメン店に復帰した。

吟、そして“友達”のケンとともに屋台に立つ智彦の顔には、戦時中とは別人のように穏やかな笑顔が浮かぶ。しっかりと“心の復興”を遂げて未来に向け歩き出した智彦に、視聴者からも感動の声が続々。

「今日もエールで泣いた…」「智彦さん、本当に良かった。ケンのことも引き取ってくれてありがとう」「吟姉ちゃんと智彦さんとケンちゃんのラーメン屋さん奮闘記をぜひスピンオフでお願いします!」といった声が上がり、吟と智彦が打ち解けて話す様子にも「グッときた」「吟ねえちゃん、よかったね!」の声が。Twitterやyahoo!検索ランキングでは「智彦」がトレンドワード入りする注目を集めた。

10月27日(火)は第97回を放送する。

「長崎の鐘」を書き上げ、音楽への情熱を取り戻した裕一は、戦時中に出会った新聞記者の大倉(片桐 仁)からの依頼で「全国高等学校野球選手権大会」の曲作りに取り組むことに。そんなある日、裕一と鉄男(中村蒼)は藤丸(井上希美)に案内されて、久志(山崎育三郎)と再会する。

久志もまた、戦争で負った心の傷から立ち直ることができていない様子。第96回のラストでは、自暴自棄の生活を続ける久志の様子が映し出されていた。

第18週「戦場の歌」、第19週「鐘よ響け」で、すべてを奪っていった戦争と、そこから立ち直るための最初の一筋の光を描いた「エール」。第20週「栄冠は君に輝く」では、その一筋の光が傷ついた人々ひとりひとりの心を溶かしていく様子を描く。今も親しまれる名曲「栄冠は君に輝く」にまつわるエピソードも取り上げられる。(ザテレビジョン

「エール」第96回場面写真 (C)NHK