「天上天下唯我独尊」の刺しゅうを背負ったヤンキーが、行き詰まったお寺の住職を救う!? 異色な組み合わせのバディもの漫画「寺の危機」が面白くてためになります。それもそのはず、作者は浄土真宗の僧侶、近藤丸さん。仏教の教えを分かりやすく描いています。

【漫画を読む:ヤンキーと住職】

 主人公は、急死した前住職の跡を継ぎ、1人で寺を切り盛りすることとなった、若輩者のお坊さん。人付き合いが苦手で何事もうまくいかず、近年の“寺離れ”もあって困り果てていました。

 そんな折に出会ったのが、全身を特攻服で固めたヤンキー。「天上天下唯我独尊」の意味を、本当に分かって背中に入れているのか? と気になり、恐る恐る声をかけます。

 すると、彼の口から出てきたのは字面通りの「自分が一番偉い」ではなく、「天上天下にただ1人の、誰とも代わることのできねぇ人間」という一歩踏み込んだ解釈。彼は手塚治虫の『ブッダ』を愛読し、意味を考えたうえで仏教の言葉を背負っていたのでした。

 住職は人を見た目で判断した自分を恥じてヤンキーと語らううちに、その悲しい過去を知ることに。彼は高校時代の友人をバイクで失った経験から人生のはかなさに目覚め、「諸行無常」の刺しゅうも袖に入れていたのです。このヤンキー、思った以上に深い……!

 寺を気に入ったヤンキーは、やがて住職が始めた「お経を読む会」へ顔を出すように。暴走族ゆえの独特な物言いが受けて、檀家の人たちともなじんでいきます。

 そんなある日、住職はスクーターの運転を誤って転倒し、ケガを負ってしまいます。檀家のおばあさんの、連れ合いの命日だというのに、お参りに行けません。

 そこへたまたま遊びに来たヤンキーが、代わりにお経を唱えると宣言。「お経を待ってる人がいるならそれを届けんだよ」「昔の俺みたいに、その1回のお経で救われる人もいるかもしれねぇ」という力強い言葉に心打たれ、住職は全てを託すのでした。ヤンキーをそこまで突き動かす過去の出来事とは……?

 真面目で悩みがちな僧侶と、荒っぽくもまっすぐ仏に向き合うヤンキーの交流を通じて、仏教の教えが説かれるこの漫画。全容はあらためて漫画をご覧ください。

 2人の物語は短編「ヤンキーと住職」シリーズとして、作者のTwitterでも展開。10月25日には電子書籍版も発売されています。

作品提供:近藤丸さん

漫画「寺の危機」

「天上天下唯我独尊」と勢いで入れた刺しゅうかと思ったら……?