スーパーマリオブラザーズ』35周年特別タイトルとしてリリースされた『SUPER MARIO BROS. 35スーパーマリオブラザーズ 35)』。2021年3月31日(水)までの期間限定で、Nintendo Switch(TM) Onlineに加入していれば無料でプレイできるタイトルです。オンラインでマッチングした最大35人のプレイヤーが最後のひとりになるまでプレイを競い続けるというシンプルなゲーム内容ですが、実際にプレイをしてみると非常に奥深く、ハマる要素しかありませんでした!「これが無料で遊べてしまっていいのだろうか……」と思ってしまうくらい完成度の高い本作の魅力を語ります。まずは紹介ムービーで懐かしい画面を見てから読み進めてください。



文 / 内藤ハサミ

◆最大35人の賑やかなバトルロイヤル

小学生のころ、夢中になって遊んだ『スーパーマリオブラザーズ』。何百回、何千回と遊びまくって、親に「もういい加減にやめなさい!」と怒られたくらいハマりまくった作品です。ひとりで黙々とプレイするのももちろん楽しかったけれど、友だちの家に何人も集まって、テレビを囲んで順番にプレイするのも嬉しかった。自分が操作している時間が多いわけではないのに、食い入るように画面を見ていたな……と懐かしく思い出します。ファミリーコンピュータを代表するソフトのひとつであり、ゲーマーたちの血肉となっている『スーパーマリオブラザーズ』に、驚きのアレンジが加えられたものが本作なのです。

用意されているコースは全て1作目の『スーパーマリオブラザーズ』と同じものですが、マッチングしたプレイヤー全員が一斉にコースの攻略を始め、ライバルに敵を送り込みながら戦います。敵を送る対象はある程度絞ることができます。最後まで残っていたプレイヤーが優勝です。これらのルールが本作独自のものとなります。

マッチングまえの画面で、35人のプレイヤーそれぞれがひとつだけ希望のコースを決めます。初めに自分で選べるのは1-1のみですが、ライバルが選んだコースをクリアすることで次回から新しいコースを選択できるようになります。クリアすることが必須条件なので、攻略途中で脱落してしまったコースは解禁されません。自分が未プレイのコースであってもライバルが選んだコースであれば攻略できますから、プレイを始めたばかりでも気兼ねなく参加できるでしょう。

選ばれたコースを皆が順番に攻略していきます。簡単でミスしにくい1-1と1-2が選ばれがちな傾向ですが、自分がプレイできるなかであえて難しめのコースを選んで、ライバルの脱落を狙うというのも戦略のひとつです。ただし自分もミスをしてしまう可能性があるので、策に溺れないためには相応の実力が必要となります。

最後まで生存していれば勝ちということなら、戦略に頼らずともミスをしないよう敵を避け、慎重かつ着実に攻略し続ければよいのでは……? と思うかもしれません。しかし本作は攻めの戦略が非常に重要で、そここそが基本の『スーパーマリオブラザーズ』にプラスアルファ以上の病みつきになる面白さを加えているのです。慎重すぎるプレイができにくい理由、それはシビアな時間制限があるからです。初めに割り当てられているタイムは35カウントで、オリジナルと同様にタイムオーバーでもミスとなります。短い設定のタイムですが、敵を倒す、一部アイテムを取得する、コースクリアなどで少しずつ増えるため、敵を倒さずにバトルし続けることはまったく現実的ではないのです。

倒した敵はライバルの画面に送られます。通常よりも薄い色で表示されている敵キャラが、ライバルから送られた敵です。基本的には全員同じ順番で攻略を行うのですが、攻略速度はプレイヤーによって違います。ライバルがひと足先に攻略しているコースから、ハンマーブロスクッパが送り込まれるということもあります。これがかなりいやらしい妨害になるのです。ライバルを指名して敵を送ることができるわけではないのですが、残り時間が少ないライバルを狙う“ピンチねらい”、コインを多く持っているライバルを狙う“コインねらい”、無作為に敵を送り込む“ランダム”、自分を狙っているライバルを狙う“カウンター”の4つの作戦をRスティックで臨機応変に変更し、効果的にライバルを沈めていきましょう。自分の送り込んだ敵でライバルがK.O.される爽快感をぜひ味わってみてください。

コース内で集めたコイン20枚でアイテムルーレットを1回まわすことができます。ルーレットの絵柄にはスーパーキノコファイアフラワー、スターなどがあり、ルーレットが止まった絵柄と同じアイテムの効果がマリオに付与されます。特にライバルの人数が減ってきて敵が大量投入され続けるとき、ピンチ回避のため多用することになります。コインはできる限り取っておきたいですね。しかし、それは“コインねらい”作戦を選択しているライバルから狙われてしまうことにもなります。プレイのしかたによって押し引きの加減をするというのも新鮮な面白さがありますね。基本的にコインルーレットはケチらず、ファイアフラワーでパワーアップしたファイアマリオの状態でいることが安定したプレイに繋がるでしょう。ファイア攻撃は強力ですし、本作ではファイアマリオの状態で敵に当たるとスーパーキノコを食べた状態の大きいマリオ、もう一度当たるとちびマリオになるのでミスをするまでに2回の猶予があるからです。さまざまな要素が絡み合い、攻略の方向性でライバルを脱落に誘うというシステムは良くできています。最初はメイン画面の両サイドにあるライバルのプレイ画面を見る余裕はありませんでしたが、慣れてくればライバルの動きが見えてきて対策を講じたプレイができるようになりました。ここからが面白さの真骨頂です。ついつい何戦もしてしまう中毒性にハマります。

◆ほかにも楽しみの数々が!

慣れてきたらぜひチャレンジしたいのが、数日単位の期間限定で開催されるスペシャルバトル。基本ルールは通常の35人バトルと同じですが、最初から100枚のコインを持った状態でスタートするなど、運営が指定した条件下で戦う期間限定のモードです。スペシャルバトルは定期的に開催されており、数日の開催期間で最大獲得コインランキングを競うことができます。通常の35人バトルにも最大獲得コインランキングはあるのですが、スペシャルバトルとは別集計です。

特定条件下で勝つには、通常とは違った攻略が必要になってくるでしょう。初めからコインを持っているのであれば、開始直後からガンガン使ってさらなるコインと残りタイムを稼ぐのか、それともライバルの出かたを伺いつつピンチに備えてしっかりコインを温存しておくのか。有効な使いかたはプレイヤーの考えによって変わります。「こうしなければ勝てない」という鉄板の戦略はなく、得意なことを活かせるバランスになっているので自由度が高くて嬉しいですね。これから先はプレイヤーたちの腕前が全体的に上がってきて、どんどん洗練された勝負になってくるでしょう。戦略の傾向が変化してくるかもしれません。その変わっていく流れを感じるのも楽しいと思います。

最後に観戦モードの面白さを紹介します。バトルから脱落してしまったあとで+ボタンを押すと、ライバルの視点を選んでからバトルの行方を見守ることができるのです。自分がプレイに参加しているときは攻略に精一杯でライバルのプレイを細かく見る余裕はほとんどありませんが、観戦モードであれば自分とは違ったスタイルのプレイをじっくりと眺めることができます。

さきほどまで対戦していたライバルながら、上位に残ったプレイヤーを観戦していると「がんばれ!」と応援したくなる親近感が湧いてきます。特にラストふたりになったときの戦いは手に汗握る展開になることが多く、見ごたえ充分。子供の頃、友だちのプレイを後ろから観戦して盛り上がっていたときのような懐かしい楽しさです。
スーパーマリオブラザーズ』の内容を基本に据えながらも、他の『マリオ』シリーズなどから面白さのヒントを得て成熟したシステムに仕上げた本作。“35人でプレイを競い合い、最後まで生き残る”というゲーム内容はシンプルに聞こえますが、実際にプレイをしてみるとまさに絶妙と言えるゲームバランスと飽きの来ない楽しさが満載でした。期間限定というのはもったいないほどの素晴らしい出来なので、末永く配信されることを願っています。

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マリオのなかのマリオを目指せ!『SUPER MARIO BROS. 35おくりあいバトルの楽しさに迫るは、WHAT's IN? tokyoへ。
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掲載:M-ON! Press