「4人目を殺害後、失神した女性でなければ、快感を得られなくなった」

 2017年10月に発覚した神奈川県座間市アパートで男女9人を殺害した事件の裁判員裁判が、10月27日、東京地裁立川支部(矢野直邦裁判長)で行われた。この日は、5人目に殺害したEさん(当時26、女性)に関する被告人質問が行われた。

Eさんの悩みは、「家族から愛されたい」

 白石隆浩被告(30)は、4人目のDさん(当時19、女性)を2017年9月16日に殺害した後、殺害していない女性と同意の上で性行為をしたが、「快感が足りなかった」と証言した。失神した状態で強制性交をすることが目的化していくことを明らかにした。

 冒頭陳述等によると、Eさんは当時無職。弁護側が明らかにしたEさんの悩みは、「家族から愛されたい」というものだった。19歳で夫と結婚。長女を出産する。しかし、家事や育児がうまくできないことから、夫の両親とはうまくいかず、夫と長女と3人で暮らすようになる。その後、Eさんの両親が中古の戸建てを購入。3人はその住宅で暮らすようになった。

 しかし、夫には十分な収入がなく、お金のことで喧嘩になることもあった。そのため、1回目の離婚をする。ただし、3人の生活は続き、復縁する。Eさんは長女を保育園に預けて働こうと思っていたものの、長女に発達障害傾向があり、保育園がなかなか決まらなかった。そのため仕事を始められず、実母から責められることになる。育児疲れから、自殺未遂をしたこともあるが、常に夫が止めていた。

〈いつごろがいいですか? 早く死にたいです〉

 2017年8月30日、夫と2度目の離婚をする。そして、元夫は長女を連れて、自分の実家に住むことになる。自宅はEさんの両親が3人の生活のために購入したものであり、実母は「家から出ていくように」と言ってきた。Eさんは頼る先がなくなった。

 9月23日午前3時8分、EさんはTwitterで、一緒に自殺をする相手を募集するツイートをする。それをきっかけに、白石被告のアカウント「@_」とやりとりが始まる。

@_ フォローありがとうございます。まだ探していますか? 一緒に死にましょう。

Eさん 探しています。よろしければ、ご一緒に死にましょう。

@_ いつごろがいいですか? 早く死にたいです。

Eさん 奇遇ですね。私も今すぐ死にたいです。

@_ 方法は?

Eさん 確実に死ねるなら何でもいいです。

@_ 首吊りはどうでしょうか?

Eさん 問題は場所ですね。失敗したら苦しいので(経験済)

 このやりとりについて、白石被告は「会うことが目的でした。会ったのちに、お金を引っ張るか、もしくはレイプして殺害するか」と検察官に答えている。

「同じ年齢のほうが信用されやすいと思った」

@_ 成功させましょう。森や公園は、整備されたところだと警備は厳しい。整備されていないところだと、樹海のようでとても入りにくい。Eさんの部屋か私の部屋でどうでしょうか?

Eさん 自分の部屋は失敗しています。

@_ 自分の部屋ではどうでしょうか?

Eさん 今日会えればいいのですが。性別や年齢を教えてください。

@_ 大丈夫です。何時ごろがいいですか。26歳男性です。

 このときのやりとりは、白石被告の自宅へ誘い込むための誘導だった。そして、これまで「24歳」と言っていた白石被告だが、今回は本当の年齢を告げた。なぜか。その理由について「Eさんのプロフィールに26歳とあったため、同じ年齢のほうが信用されやすいと思った」と話した。

 ただ、Eさんは日にちをずらす返信をする。

Eさん 1日だけ待ってもらっていいですか? 会いたい人がいます。

@_ まだ幸せになれそうなんですね。

Eさん なれないです。救ってくれるといいんですが。

@_ 元気出せそうなら、死ぬのは中止にしましょう。

Eさん 本当は死ぬ気がなかったんです。でも、2日前から連絡がなくて。

@_ 心の大部分を占めていたものがなくなれば、苦しいですよね。

Eさん 最近、人の感情がわからないんです。

@_ いろいろあって人を信用できないんです。父とTwitterで会った人くらいです。

Eさん お父さんがいればいいじゃないですか。

@_ でも、6年会っていません。両親は離婚しましたし。

Eさん 同じ境遇ですね。自分は話を聞くことはできます。

@_ 死ぬしかできません。

Eさん 一緒に死にましょう。

 こうしたやりとりについて、白石被告は「いい人だと思わせるため」と述べた。

同意に基づく性行為では……

 実は、失神した女性をレイプするという白石被告の“こだわり”が強まるのは、4人目のDさん殺害後だ。

 1人目のAさん殺害より前、お互いの同意に基づいて性行為をしたXさんがいたという。筆者が拘置所で白石被告と面会したときに殺害しなかった4人の存在をあげ、そのうちの1人とは「交際していた」と言っていたが、このXさんのことだろうか。Xさんとは、Dさん殺害後にもう一度会って、同意に基づく性行為をした。その時のことについて、法廷でこう述べた。

「事件前に知り合ったXさんと同意の上で性行為しました。4人を殺害後にも、再びXさんと同意の上でセックスをしたのですが、射精ができませんでした。興奮が足りなかったのです。レイプされることがわかっていない状態で襲うことに興奮しました。いきなり女性に襲いかかることが楽しみになりました。普通の性行為よりもスリルを感じたのです」

 また、弁護側の質問にほとんど黙秘していた白石被告だが、こうも答えている。

「今、冷静に考えれば、いきなり女性を襲うことも楽しみだったと推察します」

女性を無理やり襲うこと自体も、事件の動機だった?

 ただ、弁護側としては初耳だったようで、「そのことはこの公判で初めて言いましたよね?」と問いただした。白石被告は「取り調べでは話したかもしれない」と述べた。弁護側は「それは動機に関わる重要なこと。楽しみと話していたら、必ず調書に書かれているはずだが、書かれていない」と再度問いただす。

 それに対して、白石被告は「失神後の女性との性行為については話したが、そもそも、女性を襲うこと自体について、捜査段階で深掘りがされなかったのだろう。初めて言ったのかどうかは思い出せません」と答えた。つまり、失神後にするレイプだけでなく、抵抗している女性を無理やり襲うこと自体も、事件の動機だったことになる。これが当時の感情なのか、今の感情なのか、現段階では判断できない。

座間9人殺害 凄惨な犯行現場「ノコギリで首を切り落とし、ぴちゃんぴちゃんと血が一滴ずつ落ちて…」 へ続く

(渋井 哲也)

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