お笑い芸人のはなわさん。ベース漫才やモノマネネタで人気を集め、故郷への愛を自虐的に表現したCD「佐賀県」(2003年)が大ヒットし、その年のNHK紅白歌合戦にも出場しました。 そんなはなわさんは、最近では、テレビ番組で紹介される柔道に打ち込む3人の息子さんたちの姿や、YouTubeで開設した「はなわチャンネル」で公開している家族の食事動画でも人気を集めています。 はなわさんに、YouTubeチャンネルを始めてから起きた変化や、ステイホームの時間で絆が深まったという家族への想いなどを伺いました。

-ーまず、2019年12月に「はなわチャンネル」を開設したキッカケから教えてください。

はなわ:嫁さんと息子たちがみんな、YouTubeが大好きで、2年前くらいから、「YouTube、やればいいじゃん」と言われていました。ただ、僕は「YouTubeはよく分かんないし、やらなくていいかな」と思っていました。それが、去年の夏くらいに元々TVのアシスタント・ディレクターをやっていて、その後、放送作家になった友人から、「YouTube、やりませんか?」と勧められたんです。17、8年くらいの付き合いになる人で、プライベートでも食事に行ったりと仲良くさせて頂いているので、「1回くらい、話を聞いてみようかな」と。そんな経緯で、「はなわチャンネル」を開設することになりました。

-ー開設当初は、ベースを使ったネタや、「伝説の男を探せ!」などの企画に精力的に取り組まれていましたね。   はなわ:そうなんです。最初は、家族をYouTubeに出すつもりはまったくなくて、伝説のYouTuberの方の歌を作る企画からやっていくことにしました。でも、再生回数がぜんぜん伸びなかったんですね。「あれっ? おかしいな?」と(笑)「家族に協力してもらうのも申し訳ないな」とは思っていたのですが、YouTuberを始めた以上は、色んなものを撮っていかないといけないと思ったので、家族にお願いして、柔道をやっている息子たちが豪快に食べる食事の動画をアップしました。そうしたら、ケタ違いの反応が返ってきて「なんじゃこれ?」と(笑) 嫁さんや子どもたちもあまり嫌がらなかったので、それから、「家族の食事」の動画を上げるようになりました。   うちの家族は、以前、「さんまのSUPERからくりTV」(TBS系)で密着取材をしてもらったことがあります。それが家族が最初にテレビに出た番組なのですが、子どもたちがキャラクター的に面白かったのか、その後も「有吉ゼミ」(日本テレビ系)で取り上げていただいています。それがあって、お茶の間の皆様もうちの家族のことをある程度、知ってくれていたと思ったので、家族で食事をしている動画でもあげようかなと。

-ー「はなわチャンネル」の登録者数は31万人(注:インタビュー時)を超え、「【空腹時閲覧注意】柔道3兄弟が焼肉を食いまくる!【飯テロ】」の動画の再生回数は230万回(同)を超えています。当初は、これだけの反応を予想していましたか?

はなわ:まったくしていませんでした(笑) 登録者数を増やそうと思ったこともなく、そもそも増やそうと思ってもどうすればいいのか分からないのですが、いつの間にか増えていた感じですね。

-ー家族の食卓を撮影した動画が200万回再生を超えたときの心境も気になります。   「誰がこんなに見てくれているのか?」と不思議でした。焼き肉を食べる様子を定点カメラで撮っただけですからね。自分でも不思議で、YouTubeは分からないです(笑)

その中で、「はなわチャンネル」を始めたタイミングは、よかったのかなと思います。今、同じことを始めてもここまでの反応はないと思うんですよね。そういう意味では、誘ってくれた友人にも、協力してくれている嫁さんと息子たちにも、感謝の気持ちでいっぱいです。   ただ、食事の量以外は、うちはまったく普通の家族なので、なんでこんなに観てもらえるのか、本当に不思議なんですよね(笑)   -ー動画を拝見すると、本当に豪快な食べっぷりですよね。   はなわ:(現在は東京の大学に通う)長男が佐賀にいて一緒に暮らしていたときは、お米を朝に1升炊いて、夜に8合炊いていました。柔道の練習が厳しいので、食べなければどんどん痩せていってしまうんですね。その頃は、佐賀のコメ農家の方が玄関の前にお米を置いていってくれたりもしたのですが、食費だけで月に20万円近くまで行っちゃったことがあって、それから少し節約をするようになりました。

-ー「はなわチャンネル」をご覧になっているのは、どんな方が多いですか?   はなわ:同世代の方が多いので、ファミリー層や子育て層が観てくれているのだと思います。だた、20代の女性の方も見てくださっているので、意外と幅広いのかなと思います。僕も料理番組は好きだし、嫁さんも子どもたちも“食テロ”みたいなYouTube動画が好きでよく観ているのですが、そういった方々も観てくれているのかなと。

-ーこれだけ話題になっていると、はなわさんの元には色々な声が届いていそうですね。   はなわ:「観てます!」は、めちゃくちゃ言って頂きます。あとは、「おいしそうだからマネしました」とか。弟(漫才コンビ・ナイツの塙宣之さん)と一緒に実家に帰ったときの動画も載せているのですが、「私も久しぶりに帰りたくなって、親孝行をしてきました」とか。そういうコメントって、ホントに嬉しいですね。   「妊娠して体調が悪かったときも、息子さんたちの『うまい』の言葉に励まされ、ごはんを食べられるようになりました」などのコメントもあります。「最近は家族で一緒にごはんを食べることも減ったけど、はなわチャンネルを見て、家族で一緒にごはんを食べるようになりました」などとコメントを送ってくださる方もいます。本当に、嬉しいですね。

今はこういう時期で、生活していくこと自体が大変だと思いますが、「どうせなら、ため息をつくのではなく、家族みんなで笑いながら、笑顔で過ごそうぜ」と意識しながら、撮影しているところもあります。家族みんなでモノ作りをするって楽しいですし、うちもYouTubeを始めてから家族がより仲良くなりました。昔は忙しかったこともあり、今ほど会話がなかった気がします。   -ーステイホームの期間中、家族の時間が増えた方は多かったですよね。   はなわ:僕も、家族と過ごして、「やっぱり笑い声があふれる家庭じゃないと嬉しくないんじゃないかな」と、動画を撮影していて思いました。家族みんなの笑い声にあふれていることが結局は一番、幸せなんじゃないですかね。嫁さんに対するリスペクトも今回、再認識しましたし、「子どもたちを幸せにする」という目標に夫婦で力を合わせることを生きがいにしていますが、それによって笑顔があふれる家になってくれていることが大切なんだなと。

YouTubeを始めたことで、僕自身も成長することができましたし、家族の絆もより深まっていると思います。ステイホームの時間は、色々なことを再認識できましたし、プラス思考で考えて、とてもよかったなと思っています。   -ーご家族の仲が良いことも“はなわ家”の魅力ですね。   はなわ:そうですね。“the 芸能人”みたいなこともなく、“ごく自然”といいますか、普通に家で家族みんなでごはんを食べて……という、みなさんの家と変わらないところがいいのではないかなという気もしています。

-ー動画からはそんな“はなわ家”の魅力があふれ出ていますが、家族単位で支持を得ていることで、“お笑い芸人としてのはなわさんに対する支持の形”というものも変わってきているのではないかと思います。ご自身はどう感じているのでしょう?   はなわ:昔は変にプライドがあって、「ネタで勝負したい」と思っていたので、家族をテレビに出したくなかった時期もありました。実は、最初にテレビの家族密着のお話を頂いたときは、断っていたんですね。でも、お世話になっているスタッフさんだし、1回だけということで家族でテレビに出させて頂きました。

そうしたら、息子たちのキャラが強かったのか、どんどん話が広がって行って、コーナーまで持たせて頂きました。あんな有名な番組で自分の家族のコーナーを作ってもらえると、感謝しかなくなってきました。

あとは、家族を養わなきゃいけないし、子どもたちを食わせていかないといけないので、「プライドとか言っている場合じゃない」と感じるようになったといいますか。夫婦の夢が「夢が子どもたちを幸せにする」という一点になったあとは、周りから何を言われようが、気にならなくなりました。   -ーはなわさんの中でも、色々な変化があったのですね。YouTubeチャンネルを開設してからは、どんな変化がありましたか?   はなわ:YouTubeというものがスケジュールの中に入ってきたことで、仕事に対する脳みそが変わったとでもいいますか。新しい生活様式の模索は続いていますが、今後、業界自体も変わっていくのかもしれませんね。

でも、僕には「テレビに出たい」という思いがあります。そのために東京に出てきました。なので、テレビの仕事を削ってまで「はなわチャンネル」の動画を作るという気持ちはありません。今後も変わらずに、テレビのお仕事だっり、お笑いや音楽のライブだったりを軸にしながら、やっていきたいです。歌もネタも作りつつ、幅広くやれればいいですね。   -ーテレビやライブに加え、「はなわチャンネル」でのご活躍も楽しみにしている方は多いと思います。

はなわ:「はなわチャンネル」は、こうしたいとか、ああしたい、ということはまったく考えていないのですよね。子どもたちも思春期を迎えて、動画に出るのは嫌だよと言うかもしれません。そうしたら嫁さんと2人で撮ろうと思っていますし、嫁さんが嫌だと言ったら一人で撮ろうと思っています。やれる範囲で、無理なく続けていこうかなと。

動画は変に意識してしまうとダメなところもあるので、無理をせずにゆるく更新していこうと思っています。

-ー視聴者の方にはどんなふうに観てもらいたいですか?

はなわ:観てくださる方の中には、テレビ番組の密着のときから僕の家族のことを知ってくれている人も多いのですが、うちの家族を、“自分の遠い親戚”みたいな感じで見て頂ければ嬉しいですね。

あとは、うちの家族はみんな、佐賀県への想いが強くて、僕自身も「佐賀県」の歌で今があります。年齢的にも、佐賀のよさをPRしていかないといけないと本気で思っているので、YouTubeで佐賀の美味しいお店などをもっと紹介していけたらと思います。

子どもたちも進路次第で、将来どこに住むようになるかわかりませんが、それでも佐賀ヘの想いは変わらないと思います。家族みんなで、一生をかけて、佐賀に恩返しをしていけたら嬉しいです。

-ー貴重なお話をありがとうございました。最後に、はなわさんの益々のご活躍を楽しみにしている方たちへメッセージをお願いします。

はなわ:普通だったら、まったく関係ない家族の食事の様子なんて観ないと思いますが、「はなわチャンネル」は、無理なくゆるく続けて行こうと思っています。子どもたちの成長する姿を見て元気になってくださったら嬉しいですし、豪快に食べる様子を見て自分もお腹いっぱいになってほしいです。

みなさんが僕の家族の動画を観てくださることで、息子たちも柔道を頑張ることができている面もあるのかなと感じています。本当に、感謝しかありません。

これからも、無理なく、時間があるときにでもゆるく見て頂き、「みんなで一緒に頑張って、今の状況を乗り越えましょう」という気持ちを伝えられたらと思います。

――本日はありがとうございました!

“家族の食卓”がYouTubeでも大人気のはなわが家族や故郷・佐賀県に持つ感謝の気持ちを語る