屏風の虎を退治する一休さんのとんち話や、鶴の恩返しといった誰もが知るおなじみの昔話が、シュール予想外な展開になったら…? そんな昔話モチーフ4コマSNSで話題になっている作家たちに、作品がバズった要因、作画のこだわり、SNSとの付き合い方について聞いた。

【漫画】「屏風に描かれた虎を退治しろ」“一休さん”の名シーンパロディのオチとは?

SNSの反応は次の作品作りの糧 目指すのは「全年齢が笑えるギャグ漫画」

 日本昔話の「一休さん」のエピソードの中でも有名な”屏風絵に描かれた虎退治”をテーマにしたイワンタさんの4コマ作品がSNSでたくさんの「いいね」を集めた。「屏風に描かれた虎を退治せよ」という難題に対し、一休さんがとんちで切り返す内容だが、4コマでは予想外な展開に……。

 「みんなが知っている話のパロディなので、わかりやすいのが良かったのかなと思います。女の子二次元(屏風)から三次元に引っ張り出すという流れも、インターネット上のあるあるネタ的な感じなので、それもウケた要因なのかも」とイワンタさんは分析する。

 イワンタさんの素顔は大学生小学生から漫画を描き始め、中学生のときにはすでに身近な存在だったTwitterに漫画を発表するのは、ごく自然な流れだったと話す。作画のこだわりは、画力を補うために丁寧に仕上げること。文字をなるべく大きくして、読みやすくしているそうだ。「読み手を不快にさせないよう、全年齢みんなが笑えるようなギャグ漫画を目指しています」

 SNSのいいねの数は気になる方で、評価がいいものはなぜウケたのかを分析し、反応がイマイチのものはその原因を考える努力家だ。「フォロワーからの評価は、プラス評価もマイナス評価も、僕にとっては同じくらい勉強になるし、作品を作る上での大きな糧になります」と、SNSとは上手く付き合っている様子だ。

 ツイッターコメントをもらったことがきっかけで、語り合える友人もできた。「漫画を描いて反応をもらえると、次の作品作りのモチベーションになります。ペースが遅いのは悩みですが、これからもたくさんの4コマ漫画を描いていきたいです」

■「誰かが考えていそう」と感じた時点でボツ ストイックな漫画家のこだわりは“オチ最優先”

 昔話「鶴の恩返し」をパロディにした4コマ作品が、ツイッターで3.3万のいいねを集めている留々家(るるいえ)さん。恩返しにやってきた鶴の正体が、知る人ぞ知るマニアックアニメネタだったことで、「これってあのネタじゃんwww」という引用RTが続出している。

 「元ネタを知らなければあまりおもしろさがわからない、それだけに、元ネタを知っていておもしろさが分かった人は、そのことをアピールしたくなる。クイズなぞなぞの答えが分かった人が、そのことをアピールしたくなるのと同じ心理が働いているのではないでしょうか」と留々家さんは冷静に分析する。

 自らの作品の強みは「オチを最優先にしている」ところ。そのため、オチのスムーズな理解を妨げるような無関係な小ネタや固定のキャラは一切設けない。そのキャラクター性がオチのためには蛇足になるからだ。ネタ作りでは「すでに誰かがやっているだろう」と感じた時点で、ボツにするストイックさを見せる。「1本1本の4コマが完全に独立していて、それぞれの4コマがブレなく一個のオチを表現している。それが私の作品の強みです」

 そんな留々家さんが大きく影響を受けたのは、小学生の頃に読んだSF作家の星新一氏のショートショートだ。短い物語が一つのオチに向かってまとまっていくストイックな作風にしびれまくり、以来ずっとオチのある短い話に執着し続けている。

 「ストーリー漫画や長めのギャグマンガを描こうとしていた時期もありましたが、結局はひとつも描ききることができませんでした。1話完結の4コマ漫画なら“このオチを成立させるために描く”、“このオチを読み手に理解させるために描く”というようにゴールが明快です。自分の性格上最後まで描き切れるのが4コマ漫画だけなので、そこに落ち着いたという感じです」

 「オチとは何か」という4コマ漫画の研究にも興味があり、今後はそちらの方でも何かができないか模索しているところだと話してくれた。

画像提供:イワンタさん(左)、留々家さん(右)