大手ベビーシッター仲介サイト「キッズライン」を通じて、保育を請け負った女児の下半身を触ったとして、強制わいせつの罪に問われた荒井健被告人に対し、東京地裁(三浦隆昭裁判官)は10月30日、懲役3年・執行猶予5年の有罪判決を言い渡した(求刑3年)。

判決によると、荒井被告人は今年5月、東京都目黒区内のトイレや女児の自宅で、女児が13歳未満であることを知りながら、わいせつな行為をした。

量刑の理由として、三浦裁判官は「犯行態様は、卑劣かつ巧妙で、被害児童の保護者の信頼を裏切り、シッター業全般の信頼性をも揺るがしかねない悪質なものである」と指摘。被害に遭った女児が、荒井被告人に現在も嫌悪感を明らかにしていることから、「今後成長するに伴ってさらなる悪影響がないか懸念される」とした。

一方で、示談金250万円を支払ったことや、荒井被告人が事実を認めて反省し、保釈中に性障害について専門医療機関のアセスメントを受け、今後も専門医療機関で治療を受けることを約束していることなどから、酌むべき事情も認められるとした。

●国はわいせつシッターのデータベース共有を検討

判決によると、荒井被告人は「シッター業務を始めて、1対1の関係になったことなどから、女児に対し性的な興味を抱くようになり、犯行に及んだ」といい、今後は子どもに関わる仕事はしないと述べているという。

荒井被告人の事件や、2019年11月に「キッズライン」が仲介した保育中、男児に対してわいせつな行為をしたとして男性が逮捕・起訴された事件など、ベビーシッターによって繰り返される子どもへのわいせつ事件により、再犯防止策が急務となっている。

その一つとして、国は現在、シッター犯罪歴の情報を共有する仕組みづくりを検討している。刑事処分や行政処分の履歴をデータベース化し、自治体間で共有するというもので、8月から厚労省の専門家会議などで議論されている。

女児にわいせつの元ベビーシッターに有罪判決 「もう子どもに関わる仕事はしない」