ろう者の友人が、耳が聞こえないことを理由に心療内科の受診を断られてしまった――。手話に関して情報発信をしているぽにょ子さんが、友人の体験したショッキングなできごとについて漫画にしています。

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●心療内科で、まさかの受診拒否

 心療内科とは、精神的な理由からくる身体症状を診てくれるところです。ぽにょ子さんの友人は、「耳がきこえないので筆談でお願いします」というメモを持ち、心療内科へやってきました。すると受付の段階で、「手話通訳がいないと受診は難しいですね」と、受診を断られてしまったのです。

 困った友人が、手話通訳はいなくても、筆談や音声認識トーク(音声を文字起こししてくれるアプリ)でも意思疎通ができることを伝えても、なんと受付では「時間がかかるので、他のお客様に迷惑をかける」という理由で断られたのだそうです。

 ぽにょ子さんの友人は、普段は通院時に手話通訳を頼んでいますが、今回の心療内科受診では精神的に疲れ切っており、手話通訳を自分で頼むエネルギーがありませんでした。やっとの思いでたどりついた病院で、このような断られ方をするのはとても苦しい経験です。

 また、心療内科や精神科の場合、自分の悩みなどのセンシティブな内容について医師に語らねばならないため、通訳という第三者を挟むのがつらい人もいるでしょう。この対応では、ろう者がじゅうぶんな医療を受けることができません。

●2軒目の病院でも……

 気を取り直し、どうにか2軒めの心療内科にやってきた友人は、再び筆談を希望する旨を伝えました。しかし、そこでも受診を断られてしまったのです。精神的にも体力的にも限界を迎えながら、ぽにょ子さんは「電話リレーサービス」というオペレーターを介してろう者と聴者が電話で切るサービスを利用し、各地の病院に「筆談で受診できるか」を確認して回らねばなりませんでした。

 結果は芳しくありませんでした。「音声のみでの受診なので難しいですね」「耳が不自由ですか…… 難しいですね」と言われてしまったり、中には「2軒も断られた? でしょうね」などと、心ないことを言われる場合もあったといいます。結局、ぽにょ子さんの友人が筆談で受診できる心療内科を見つけたのは、5軒めでのことでした。

 精神が弱っているときは、人によってはそもそも家の外に出ることや他人とコミュニケーションをとることも大きなストレスとなってしまいます。「最後の砦」のような気持ちで心療内科へやってきて、そこで受診を断られてしまった場合、心療内科がかえって患者の精神状態に「とどめを刺す」ことにもなりかねません。ぽにょ子さんは「ろう者、聴者関係なくすべての人に開かれた病院であってほしい」とマンガを結んでいます。

 コメント欄では、大学病院や人間ドック、産婦人科など、さまざまな医療機関で受診を断られたろう者の方からの共感が集まりました。病院の受診にあたり、ろう者ばかりが聴者より負担を強いられる構造には、大いに問題があります。必要な人に必要な医療が行き届く医療体制の実現を、強く要望していく必要があります。

画像提供:ぽにょ子さん

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耳が不自由であるせいで、病院の受診を断られてしまった人の体験談をマンガで紹介