10月26日、『ロックマン』シリーズの最新スマホタイトル『ロックマンX DiVE』日本版が正式サービス開始となった。

(参考:『ロックマン11 運命の歯車!!』レビュー:8年越しの再起動を果たしたシリーズの新たなる一歩

 アジア圏では、今年3月より先行して提供されていた同タイトル。ようやくの国内版リリースに、日本のシリーズファンからは喜びの声が上がっている。

 本稿では、『ロックマンX DiVE』のプレイを通じて感じた楽しさの源泉と、スマホタイトルならではの課題に迫っていく。

・『ロックマンX』シリーズに登場したキャラたちが躍動
 『ロックマンX DiVE』は、『ロックマンX』の世界を舞台にしたシリーズ初のスマートフォン向けタイトルだ。開発・運営元であるカプコン台湾によって、3月24日にアジア版がリリースされ、この度ようやく国内でもサービス開始となった。ゲーム中には、シリーズの歴史を彩ったキャラクターたちが数多く登場し、そのすべてをプレイアブルとして扱える。シングルプレイ専用のコンテンツに加え、PvPや協力プレイなど、幅広いモードを実装。家庭用プラットフォーム向けのシリーズ作品とはまた違った楽しみ方ができる、意欲的な2DアクションRPGタイトルとなっている。

・気持ちよく遊べる設計と、魅力的な対人・協力プレイの存在
 『ロックマンX DiVE』の楽しさを語る上で外せない要素となるのが、「爽快感・達成感を得やすいデザイン」と「マルチプレイ」の存在だ。同タイトルは、シリーズの持つアクションの面白さに新しい成分を取り入れることで、オリジナルの楽しさをプレイヤーに提案している。

 たとえばデザインの部分では、ダメージを数値化し、視覚的にキャラの性能がわかる設計を採用した。これによりプレイヤーは、能力面でのレベルアップを把握しやすくなったほか、インフレしていく数値に爽快感・達成感を得られるようになっている。気持ちのいいプレイ体験は、ゲームの楽しさに直結する大切な要素である。爽快感・達成感をもたらすこのシステム設計が、『ロックマンX DiVE』独自の楽しさへとつながっているはずだ。

 また、マルチプレイにおいては、近年トレンドのPvPのみならず、協力によるPvEも実装した。この両コンテンツの存在が、同タイトルの楽しさの根幹だと言えるだろう。特に完全同期の協力プレイについては、スマホ向けアクションタイトルへの実装自体珍しい。同モードは、『ロックマンX DiVE』のオリジナリティとなっていくのではないだろうか。もちろんPvPにおける楽しさは言わずもがなである。「ロックマン×対人・協力プレイ」が示す可能性はあまりにも大きい。

・「“Pay to Win”の構造」と「操作性の悪さ」をどう捉えるか
 その一方で、スマホタイトルならではの課題もある。「“Pay to Win”の構造」と「操作性の悪さ」についてだ。

 “Pay to Win”とは、基本無料(一部課金あり)のゲームにおいて、課金したユーザーが大幅に有利になる特性のこと。『ロックマンX DiVE』では、特にPvPの面で一部キャラが別格に強いとされており、それらを持たないプレイヤーはランキング上位にあがることが困難な状況となっている。

 もちろん基本プレイ無料のゲームだからこそ、課金したユーザーにメリットがあって然るべきではあるが、課金によって必ず欲しいキャラが手に入れられるわけではないことも知っておかなければならない。“Pay to Win”の加速は、課金者さえ不幸にしかねない問題なのだ。

 上述の課題のうち、操作性の悪さに関しては、外部コントローラをスマホに接続することで解決が可能だが、“Pay to Win”の構造に関しては、スマホゲーム全体に共通する根深い問題だといえる。この欠点をいかに緩和できるかが、『ロックマンX DiVE』が支持を広げられるかの分岐点となるだろう。

 とはいえ、近年稀に見る当たりタイトルだと噂される『ロックマンX DiVE』。シリーズファン界隈だけの人気でとどめておくには、もったいないタイトルであるのは間違いない。気になる人も、そうでない人も、この機会に一度プレイしてみてはいかがだろうか。今後、スマホ向けアクションタイトルは、『ロックマンX DiVE』を基準に語られていくかもしれない。

(結木千尋)

『ロックマンX DiVE』