コロナ禍の底値から一時的にV字上昇したガソリン価格が、このところ少しずつ下がっています。「Go Toトラベル」も本格化し、需要は回復していますが、今後はどうなるのでしょうか。

週末は大渋滞なのに、ガソリン価格なぜ下がっている?

新型コロナウイルスの影響下で下落し、経済活動の再開とともに、いったんはV字上昇したガソリン価格。しかし、このところは微妙な値下がり傾向が続いています。

資源エネルギー庁が2020年10月28日(水)に発表した石油製品価格調査結果によると、10月26日(月)時点におけるレギュラーガソリンの店頭現金小売価格の平均は、1リットルあたり133.9円。値下がりは6週連続ですが、前の週からは0.1円、その前の週からも0.1円と、「小幅な値下がり」が続いています。

直近の最高値は1月20日時点の151.6円、そこから新型コロナの影響が顕在化するとともに値を下げ、5月11日に124.8円の底値を記録、それ以降は経済活動の再開とともに値を上げ、9月14日135.8円を記録しました。しかし、そこからは再びジワリ、ジワリと値を下げます。6週間の値下がり幅は1.9円です。

特に10月以降は「Go toトラベル」に東京都も追加され、首都圏高速道路では週末に30kmを超えるような激しい渋滞も頻発するほどですから、ガソリン需要はそれなりに回復していると考えられます。なぜ値を下げているのでしょうか。

資源エネルギー庁の価格調査を受託している石油情報センターによると、原油価格の下落が影響しているとのこと。むしろ、もっと下がってもいいような状況で、「原油価格や卸値が下がった分が、末端のガソリン価格にいきわたっていない」と話します。

卸値は大きくダウン しかし販売価格は…

原油価格が下落した背景には、世界における新型コロナの感染再拡大があります。

石油情報センターによると、原油価格は9月半ばに1リットルあたり3円から4円ほど下がり、日本の石油元売り各社も、9月を通じて卸値をトータルで4円下げているとのこと。にもかかわらず、末端であるガソリンスタンドでの販売価格の下げ幅は6週間で1.9円です。

「地域によってガソリン価格が上がったり下がったりしており、弱含みといった印象です。今週(10月26日~)も12県では価格が上がっています」(石油情報センター)

3月から5月にかけて新型コロナの影響でガソリン価格が大きく下落していた頃は、特に北海道や東北などの下落幅が大きく、地域による価格差も拡大しました。下がったところほど、その後は価格の上昇幅も大きい傾向があったものの、現在は地域差が縮まってきているといいます。

「地域のガソリン価格はそれぞれの市場環境に左右され、安売り店があれば下がりますが、一方で卸値の下げに追随しない動きも見られます」(石油情報センター)

今後はどうなるのでしょうか。石油情報センターによると、欧米などでの感染再拡大により、世界市場では需要の先細りが予測されているといいます。また株価が暴落したことを受け、10月28日(水)には、日本の石油元売り各社もガソリンの卸値を一気に1円下げたとのこと。

ただ来週(11月2日調査)のガソリン販売価格はやはり、「小幅な値下がり」が予測されるとのことです。

ガソリン価格表示板のイメージ(乗りものニュース編集部撮影)。