控えめながら贅沢な仕上がり
今回のテーマは新型のロールス・ロイス・ゴーストだ。エントリーモデルとはいえ全長5.5m、車重2.5トンの大柄なサルーンで、ファントムには及ばないものの非常に贅沢なクルマになっている。
内装については「ポスト贅沢」の理念のもと、比較的シンプルに仕立てられている。車両本体価格20万8000ポンド(2860万円)のサルーンにしてはやや控えめかもしれない。とはいえ前席も後席も驚くほどの快適性が確保されている。
ご存知の通りロールス・ロイスはBMWの傘下であり、ところどころにその影が感じられる。しかし全体を見ればロールス・ロイスらしい仕上がりといえるだろう。
2009年に登場した初代ゴーストはBMWのアーキテクチャを使用していた。しかし今回はロールス・ロイス専用に開発されたアーキテクチャをカリナンやファントムと共有する。
今回試乗した個体にはオプションが満載され、車両とオプションの総額は30万8000ポンド(4220万円)と非常に高価になっている。オプションリストにはこの価格帯であれば標準装備でも良いのではと思えるものも含まれているのがやや気になるところだ。
別次元の快適性と静粛性
さてクルマの構造に話を移そう。このクルマはフロントに6.75LのV12ターボを搭載、ATを介して四輪を駆動するというカリナンと同じドライブトレインが採用されている。最高出力は571psに達し、2.5トンの車重があるとはいえ十分なパワーだ。
大人しく走っている分にはギアの存在感は皆無であり、踏み込むとようやく回転数の上昇ととともにシフトの動作を感じられる。過剰に迫力あるものではないが、静かで高級感のあるサウンドだ。
サスペンションについて言えば、四輪にエアスプリングが装備され、さらに専用の電子制御ダンパーが組み合わされている。リアに装備されるアクティブ・アンチロールバーは12Vのシステムを採用し、フロントに搭載された2基のカメラが前方の路面状況を認識し、ボディロールを抑制している。
前後のサスペンションシステムの違いからくるノイズやシミーをごくまれに感じるものの、静粛性や快適性、それにボディコントロールについて言えばまさに別次元だ。もちろんファントムに及ばない部分はあるものの、先代の欠点を見事に改善しロールス・ロイスに求められるものを非常にうまく表現したクルマだと言える。
詳細は動画にてお楽しみいただける。
■動画の記事
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