「私の家政夫ナギサさん」(TBS系)に主演した多部未華子が、2020年4~9月放送のドラマを対象にした「第105回ザテレビジョン ドラマアカデミー賞」で主演女優賞を受賞した。多部が演じたのは、仕事はデキるのに家事が苦手なアラサー女性・相原メイ。まっすぐなキャラクターが愛され、多くの支持を集めた。多部がドラマアカデミー賞主演女優賞を受賞するのは、2011年放送の「デカワンコ」(日本テレビ系)以来2度目。

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■印象深いのは「トライアル結婚生活の答えを聞くシーン」

――ドラマアカデミー賞で、審査員・TV記者・読者全てからの圧倒的支持により、2度目の最優秀主演女優賞に選出されました。多くの支持を集めたことへのお気持ちをお聞かせください。

とてもうれしいです! 放送中から本当にたくさんの反響を頂いて、多くの人に楽しんでもらえているんだなと感じてはいたのですが、まさかこうして賞まで頂けるなんて思ってもみませんでした。

――投票理由には、「くるくる変わる表情、ダダ漏れの心の声、ナギサさんへの態度、全てがかわいくて感情移入できた」「女子が文句なく応援できる女子」といった声が多く集まりました。アラサー女性の家事、仕事、恋という必須3要素を描く本作で、共感を得るために特に意識されたことは何でしょうか?

特別にはないのですが…。私がなにか努力したり、意識したというよりも、本当に脚本が良かったのだと思います。ポップで明るい作品になればいいなと思っていたので、あくまで自然なお芝居の中に少しわかりやすい表情を入れてみたりしましたが、それがすんなりと出来る脚本だったので苦労はしませんでした。

――ナギサさんとの癒やし場面や、仕事での辛い場面など視聴者に様々な気持ちを味わわせてくれた本作。多部さんにとって特に印象深いシーンはありますか?

最終回で、メイがナギサさんからトライアル結婚生活の答えを聞く橋のシーンですね。あの日はとても暑くて、途中で雷や雨に見舞われながら日が暮れるギリギリまで撮影をしていました。でも、すごくハッピーなシーンでしたし、大森さんとももう打ち解けていた…と私は思っているので(笑)、とても楽しかったことを覚えています。天保山製薬の皆さんとのシーンも他のシーンも、全部楽しかったです!

■“ナギサさん”大森とは「現場でぼそぼそこっそり話していました(笑)」

――投票には「家事は苦手だけど、仕事は一生懸命。家事ができないことに悲観的になり過ぎず、明るくていいなと思った」といった声があり、女性は家事から解放されてもいいのだと思える描き方に救われたという視聴者も多くいました。多部さんは、今回メイという役を演じてみて“女性”と“家事”についてどのように感じましたか?

そうですね…私も家事に関しては決して得意とは言えないので…。とはいえ、メイちゃんみたいにひどくはありませんが(笑)。私自身も “得意なところはたくさん伸ばして、苦手なところは出来る人に任せる”精神の持ち主なので、メイちゃんの生き方はとてもいいと思っています。自分が一番楽だと思える環境に身を置くことも大切です!

――ナギサさんを演じた大森南朋さんも、あたたかく魅力的なキャラクターを演じていらっしゃいました。大森さんとのご共演で印象深かったことや、大森さんと共演して学んだことはありますか。

大森さんは、どちらかといえば少し怖いイメージを持つ方が多いのかなと思っているのですが、とても話しやすい方で、いつも現場でぼそぼそこっそり話していました(笑)。とても優しく和やかに接してくださったので、私も演じやすかったですし、大森さんに本当に感謝しています。

――最終回後には特別編の放送を発表し、通常より短い話数となるところ、ファンを喜ばせる展開もありました。特別編があると聞いたときの率直な感想をお聞かせください。また、特別編の撮影で印象深かったことはありますか?

とてもいい意味で、気楽に撮りました(笑)。撮影自体もかなり終盤だったので、ラストスパートに向けてのテンションも高くて、そのテンションのまま撮影をした感じです。メアリーさん(高橋メアリージュン)と岡部(大)さんが演じた薫と堀江さんのシーンをはじめ、他のキャラクターの行く末がとても興味深く、私もオンエアを楽しく観ました。

■再開時は「もうメイちゃん忘れてないかな?」と不安も

――コロナ禍において、どのドラマも撮影が中断を余儀なくされるなど、いつもとは違う状況での撮影となりました。改めて、大変だったことや苦労したことはありますか?

撮影が一時中断となってしまった時は、まさかこんなことになるとは思わなかったですし、再開する時も「もうメイちゃん忘れてないかな?」「お芝居がつながるかな?」「もしもまた撮影が止まったらどうしよう…」とさまざまな不安がありました。ですが、いざ再開してみると、逆にもっと頑張ろうと思えたり、自分の中でパワーチャージが思った以上にできていたり、更にはスタッフ皆さんとの士気があがったりと、中断したことによって良い効果も生まれたような気がします。

――このような状況でドラマが放送されたことへの意義について、多部さんご自身はどのように感じられたましたか?

今回の作品は悪役のようなキャラクターが存在しない物語で、誰かが不幸になるネガティブなお話ではなかったですし、衣装も色鮮やかで。お家でひとりででも、家族や友人とでも、誰もが楽しんで観られるドラマになっていたと思います。このような状況下で、こうした“あたたかい”作品に携われてよかったなと、心から思っています。

――最後に、読者の方へ向けてメッセージをお願いいたします。

ドラマを応援してくださった皆様、この度はこのような賞に選んでいただき、本当に本当にありがとうございました。

とてもとても素敵なスタッフの皆さん・キャストに囲まれて、私も毎日の撮影を楽しんでいましたので、皆様も同じように楽しい時間を過ごしていただけたこと、心から嬉しく思います。ありがとうございました!

多部未華子が第105回ドラマアカデミー賞で主演女優賞を受賞/撮影=富田一也