あてもなく、気ままに諸国を旅する少女・イレイナ。行く先々でさまざまな文化や慣習に触れ、幾多の人と出会いを果たしますが、旅人である彼女は決して一か所に留まることはなく、再び旅の途へと戻っていきます。これはまだ若き魔女の、出会いと別れの物語――。

「灰色のサーガ」は10月28日に発売

大好評放送中の「魔女の旅々(魔女旅) 」は、原作・白石定規さん、イラスト・あずーるさんによる同名の連作短編式ファンタジーノベルを原作としたTVアニメです。WebNewtypeではそんな本作の魅力を掘り下げるべく、スタッフやキャスト陣へのリレーインタビューをお届けしています。連載第8回は、10月28日にシングルがリリースされたエンディングテーマ「灰色のサーガ」を歌うアーティスト・ChouChoさんにお話をうかがいました。

――「魔女の旅々」という作品に触れての印象はいかがでしたか?

ChouCho イラストを拝見したらイレイナがかわいらしい女の子だったので、最初はかわいい魔女の女の子ががんばっていくお話なのかな…と思っていたのですが、いざアニメの脚本を拝見したらシリアスでハードなお話もあって、当初の印象からガラッと変わりつつも作品に惹き込まれました。思わず、マネージャーさんにも「この作品、おもしろいから読んでみて!」とオススメしてしまいました(笑)。

――「灰色のサーガ」では作詞・作曲も担当されておられます。曲を作るにあたりどのようにアプローチされましたか?

ChouCho イレイナが旅や出会いを通して成長していく物語だったので、出会いは楽しいことばかりでなく辛さをともなうこともある、そして、それを乗り越えていくことで彼女が強くなっていく姿を楽曲で表現できればと思いました。

そのために、明るいだけの曲にはせず、ファンタジーらしい不思議な雰囲気を込めつつ、明るいとも暗いとも取れないメロディを目指しました。一方で、Dメロの「追い風も 向かい風も 味方にして進もう」という部分は意図的に前向きなメロディや音運びにしており、曲全体とDメロの対比を意識して歌いました。

――DメロはTVサイズでは聴けませんので、シングルを買って聴き込みたいポイントのひとつですね。ファンタジー作品の曲ということで、音作りで意識された面はありますか?

ChouCho アニメのコンセプトアートの背景美術がとても美しくて感動したので、その魅力を楽曲にも盛り込めればと、シタールやマンドリンの音色を使って異国情緒を演出しました。ポップスにはない雰囲気がうまく出せたのではないかと思います。

――「灰色のサーガ」にかぎらず、アニソンを手がけられる際に心がけていることはありますか?

ChouCho 作曲をするにしても、歌うにしても、私自身の色を出すことより、いかに作品に寄せるか、いかに作品の世界観を表現するか気を付けています。私自身の中から出るものは、オリジナル曲で表現すればいいですから。ですので、アニソンを手がけさせていただくときは、オリジナル曲とは作り方が根本から違いますね。

――アニメ放送開始前、PVの第2弾で「灰色のサーガ」が初解禁となりましたが、作品のファンやChouChoさんご自身のファンからの反応はいかがでしたか?

ChouCho 作品ファンの方たちからはもちろん、原作の白石定規先生からも「イメージにピッタリです!」と言っていただけて、本当にうれしかったです。アニソンを歌うときは、その作品のファンのみなさんにそう言っていただけることが何よりの喜びです。

また、ファンタジー作品の曲ならではの雰囲気を出すために変拍子にしたのですが、まだ変拍子の曲を書いたことがなかったので、私を応援してくださっているみなさんにも私の新たな一面をお見せできたのではないかと思います。

――カップリング曲「hide and seek」についてもお聞かせください。こちらはどのようなアプローチをされたのでしょうか。

ChouCho 「灰色のサーガ」とのバランスを考えて、明るい感じの曲ではない方がいいだろうというところからスタートして、こちらも私がこれまでにあまり歌ったことがない、大人っぽくてクールな曲に仕上がりました。

「灰色のサーガ」は、さまざまな楽器を盛り込んだボリューム感のあるサウンドが特徴のひとつですが、「hide and seek」は対称的に音数が少なく、シンプルな曲に仕上がっています。その代わりに、声の素材を重ねに重ねて楽器のように使ってるので、聴くたびに「こんなところにも、こんな声を使っているんだ」と、この曲ならではのサウンドを楽しんでいただけるのではと思います。

「灰色のサーガ」と「hide and seek」はそれぞれまったく異なるアプローチによる曲ですが、どちらにもチャレンジがあって、シングルという意味でも自信作になりました。

――シングルのみならず、今後、ライブなどで聴ける日も楽しみです! 7月にはアーティスト活動9周年を記念してインスタライブを行われましたが、配信してみての感想はいかがですか。

ChouCho みなさんがたくさんコメントをしてくださるので実際に会話をしているかのような気持ちになれて、久しぶりにみなさんとコミュニケーションを取れたと感じました。それと、私は1人でしゃべるのがあまり得意ではないので、トークでは緊張してしまって。もうちょっと、うまく話せるようになれたら……いえ、むしろこれからのライブのMCでは笑いを取りにいきたいですね。私も関西人ですし! とはいえ、具体的な案があるわけではないのですが(笑)。

――シングルのみならず、今後、ライブなどで聴ける日も楽しみです! 7月にはアーティスト活動9周年を記念してInstagramでインスタライブを行われましたが、開催配信してみての感想はいかがですか。

ChouCho みなさんがたくさんコメントをしてくださるので実際に会話をしているかのような気持ちになれて、久しぶりにみなさんとコミュニケーションを取れたと感じました。それと、私は1人でしゃべるのがあまり得意ではないので、トークでは緊張してしまって。もうちょっと、うまく話せるようになれたら……いえ、むしろこれからのライブのMCでは笑いを取りにいきたいですね。私も関西人ですし! とはいえ、具体的な案があるわけではないのですが(笑)。

――今後のライブでは、MCにも一層注目ですね。話題を「魔女旅」に戻させていただきますが、イレイナのように旅をするとしたら、行きたい国や地域はありますか?

ChouCho 背景が美しいこの作品に触れたこともあるかもしれませんが、圧倒的な自然の美に触れたいですね! ツアーなどに参加しても見られないこともあると聞きますが、いつかオーロラを見てみたいです。

――ChouChoさんはアーティスト活動として海外に行かれることも多いかと思いますが、その際に必ずされていることなどはありますか?

ChouCho その国や地域のおいしいものを食べることと、あとはショッピングでしょうか。海外に行ったら、記念にその国のスノードームを買うことにしているんです。自宅の玄関には、これまでに訪れたさまざまな国のスノードームが並んでいます。

――イレイナの日記のように、訪れた場所を思い出せるものになっているんですね。イレイナにとっての「ニケの冒険譚」のように、幼いころ読んで印象に残った本はありましたか?

ChouCho 「エルマーのぼうけん」は夢中になって読んでいましたね。挿絵のかわいらしさはもちろん、エルマーがオレンジを食べたあとの皮を竜が食べていたりして、竜はそういうものを食べるんだなぁとか、そんなところも印象に残っています(笑)。

――ありがとうございます。それでは最後にメッセージをお願いします。

ChouCho イレイナは銀髪のロングヘアーというルックスもさることながら、ひたむきでありつつちゃっかりしたところもある内面も魅力的で、とても好きなキャラクターになりました。「魔女の旅々」は世界観もキャラクターも魅力的で「灰色のサーガ」は曲も歌詞もすんなりと書けました。素敵な作品との出会いのおかげで、良い曲が生まれたと思っています。

「灰色のサーガ」のような民族音楽調の曲はとても好きなジャンルですので、こうして携われて嬉しいです。アニメと共に、「灰色のサーガ」も何度も繰り返し聴いていただけたらそれ以上の喜びはありません。 

次回の「魔女の旅々リレーインタビューは、窪岡俊之監督にお話をうかがいます!(WebNewtype)

「魔女の旅々」のEDテーマ『灰色のサーガ』を歌うChouChoさん