歴史的大ヒットを記録している『劇場版「鬼滅の刃無限列車編』。本作で描かれるのはテレビアニメ「鬼滅の刃」の最終話から繋がる物語。テレビアニメから引き続き、主人公の竈門炭治郎とその妹の竈門禰豆子(※)、“鬼殺隊”の同期である我妻善逸嘴平伊之助らが登場。また、鬼殺隊最強の剣士 “柱”のひとり、煉獄杏寿郎(※)が任務に同行し、敵として立ちはだかる“下弦の壱”魘夢との戦いが繰り広げられていく。

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ロングインタビューの後編となる今回も、闇を往く無限列車のなかで鬼と立ち向かう、炭治郎役の花江夏樹禰豆子役の鬼頭明里、善逸役の下野紘、伊之助役の松岡禎丞にそれぞれのキャラクターの好きなところや、テレビアニメから戦ってきたなかで印象的だった鬼についてたっぷりと語ってもらった。

<前編はこちら>

■「伊之助の変化を親になったような気持ちで見ています(笑)」(花江)

――皆さんお互いに、キャラクターの好きなところを教えていただきたいと思います。いま座っている順番で、指名制でいきたいと思います。

4人「いいですね、おもしろそう!」

――花江さんは伊之助、松岡さんは善逸、下野さんは禰豆子、鬼頭さんは炭治郎への想いを語っていただきます!ではまずは花江さんからお願いします。

花江「まずは猪突猛進なところですね。善逸と違ったおもしろさというのかな。コミカルな部分もあり、常識を知らないところがあるのですが、それが素だったりするところは彼の良さでもあり、心地よく感じます」

下野「はっきり言ったねぇ(笑)」

花江「そんな伊之助に対して炭治郎が違った角度でツッコミをする。そこのやりとりがほんわかしていていいなと思っています。人と触れ合うことで人としての気持ちに目覚めていく、やさしくなれる気持ちを覚えていく、そういう変化を親になったような気持ちで見ています。そう、親目線ですね(笑)」

松岡「(笑)」

花江「あとは、やっぱり強いので、頼りになる部分が多くてかっこいいなと思います。それに猪の被り物をとったら、とんでもない美少年。そのギャップはたまらなくいいですよね。そうですね、あとは…」

鬼頭「まだあるんだ(笑)」

花江「こんなところにしておきますか?」

――では、次は松岡さんお願いします。

松岡「禰豆子はですね…」

下野「あれ?善逸の好きなところを言うんじゃないの?」

鬼頭「飛ばした〜!」

下野「ないんだ(泣)」

花江「アハハハ」

松岡「あ、ごめんなさい(笑)。善逸のことは最初から好きでした。善逸って誰よりも危機管理能力に長けているんです」

下野「(笑)」

松岡「これって人間が生きていくうえで、大事な能力なんです。那田蜘蛛山の戦いでも、怖いとか行きたくないとか気持ち悪いとか、散々ゴネてなかなか進まないのだけど、あれって、人間が本能的に感じる恐怖なんですよね。恐怖って回避にも繋がるじゃないですか。そういった意味もあいまって、一見情けないように描かれているけれど、誰よりも命というものを重要視しているって感じました。だから本来持っている人間味のようなものがすごく伝わってきて、好きなんですよね」

下野「でも、結局女の子を追いかけて普通に入っていったけれどね(笑)」

花江「(笑)」

松岡「どこまでもブレないところが好きです」

下野「(笑)。確かにブレないよね〜」

松岡「(テレビアニメ立志編の舞台である)那田蜘蛛山に禰豆子ちゃんを持っていった、炭治郎はとんでもないって騒いでいたけど」

下野「そうそう、『持っていった』ってね。炭治郎禰豆子はずっと一緒にいるんだよ。善逸よりずっと長く一緒にいるんだよってツッコミたくなる(笑)」

松岡「潜在的な強さではなく、自分の持てる最大の力で戦いに向かっていく姿勢が好きです。そういう部分に僕の厨二心がくすぐられます」

■「禰豆子は、世の中の可愛いという要素をすべて詰め込んだ女の子」(下野)

――なるほどです。では次に、下野さんお願いいたします。

下野「お待たせいたしました。任せてください!禰豆子の好きなところ、まずは可愛いですよね。にじみでるというのかな。見た目だけじゃない可愛さがあります。鬼になってしゃべれないというのもあるけれど、奥ゆかしさも感じるし、なによりお兄ちゃん思いというのかな。世の中の可愛いという要素をすべて詰め込んだ女の子だと思います。そして強い。ただ可愛いだけじゃなくて、強くもある禰豆子を守れることに誇りを持っています。強いけれどやっぱり守ってあげなくちゃいけないという存在。善逸からしたら唯一無二の大切な存在なんです」

――愛が爆発していますね。

下野「真面目に語ると、人間を守るという暗示をかけられているとはいえ、家族の大切さみたいなものはずっと忘れずに鬼と戦い続けている。もちろん、助けてくれるお兄ちゃんの存在もあるけれど、本人にも人間を助けたいという気持ちがあるからこそ、鬼と戦い続けられる。あとはなにより、やっぱり可愛い」

鬼頭「あ、戻ってる(笑)」

下野「可愛くて強い。本当にすごいなって思います」

――自分が演じるキャラクターをこんな風に褒められるというのは、どんな気持ちですか?

鬼頭「照れますね(笑)」

下野「なので、これからも守り続けていきたいと思います!」

花江「宣言してる(笑)」

――応援します(笑)。では、次は鬼頭さんお願いします!

鬼頭「炭治郎の魅力はやっぱり心の優しさですよね。敵にさえも優しい心を向けられるのは、私自身も尊敬します。炭治郎がすごく真っ直ぐで一生懸命努力するキャラクターだから、原作でもアニメでもファンの方たちが物語を追いたくなるし、応援したくなるのだと思います。最初からそんなに強いわけじゃなかったけれど、妹を人間に戻すために努力する。“努力する才能”があるキャラクターだと思います」

■「あんな仕打ちをされたら、そりゃ鬼にもなりますわって思いました」(松岡)

――テレビアニメからさまざまな鬼と戦ってきたみなさんですが、印象的だった鬼を教えてください。

下野「今度は早い者勝ちかな?」

鬼頭「じゃ、私から!」

下野「よし、いこう!」

鬼頭「“蜘蛛の鬼の兄”です」

鬼頭「テレビアニメでご飯を食べているシーンが衝撃的で、ビジュアルなどがすごく印象に残っています。会いたくないって感じの鬼です」

花江「僕は手鬼ですかね。最初に炭治郎の前に試練のような形で立ちはだかる。初めて人間のときの回想が入る鬼なので、ここで『鬼滅の刃』という作品のテーマの一つが描かれていると感じました。この作品はこういう方向性でいくんだなというのが伝わってきましたね。あとは、やっぱり見た目かな。気持ち悪い姿の鬼だけど、本当は人間だった。どうしてあんな姿になっちゃったのかというのが丁寧に描かれているし、そこに優しさを向けてあげられる炭治郎の姿に感銘を受けました」

松岡「僕は響凱です。伊之助が出てきた回というのもあるけれど、響凱が人間だった頃の話を知って、あんな仕打ちをされたらそりゃ鬼にもなりますわって思いました。あのときが『鬼滅の刃』の初収録だったのですが、すごい現場にきたぞという印象でした。炭治郎を見て、これが鬼と戦うお兄ちゃんかって、思いましたね」

鬼頭「え?駄洒落?」

花江「うまいね。“オニ”と戦う“オニ”いちゃん。これから使っていこう!」

下野「花江くんは最近、そういうノリが増えたよね(笑)。『鬼滅の刃』の取材のときは特にバンバン出てくるよね」

松岡「初登場回というのもあって、本当に印象的だったんです」

下野「いろんな鬼の話をしているけれど、せっかくなのでここで触れてあげたいと思います。累、(“元”十二鬼月ではありますが)響凱以外の下弦の鬼です」

松岡「あーー」

下野「だって、登場シーンが少ないんだもん。基本的に鬼たちは自信に満ちていたり、攻撃的だったりするのに、こんなに怯えます?っていうくらい怯えている。なんなら、響凱たちよりも強い鬼たちなのに、あれだけ怯えて、あんな一瞬で終わってしまう、なんて悲しい存在なんだろうって思いますね。今回の劇場版で戦う鬼は魘夢だけど、ちょっとほかの下弦の鬼とは違う次元の存在なのかなと思いますね。そういうのも全部含めて、累と魘夢以外の下弦の鬼が印象的です」

花江「全部出てきた(笑)」

――うまくまとめていただき、ありがとうございました(笑)

取材・文/タナカシノブ

禰豆子の「禰」は「ネ+爾」が正しい表記

煉獄杏寿郎の「煉」の漢字は「火+東」が正式表記

「鬼滅の刃」鉄板トリオ&禰豆子を演じた4人にロングインタビュー/[c]吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable