船越英一郎主演の「赤ひげ」シリーズの第3弾となる「赤ひげ3」(毎週金曜夜8:00-8:45NHK BSプレミアムほか)。

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同作は、山本周五郎の没後50周年を機に「赤ひげ診療譚」を原作に制作された「赤ひげ」(2017年、NHK BSプレミアム)シリーズの第3弾。江戸時代の小石川養生所を舞台に、謎めいた医師“赤ひげ”こと新出去定(船越)と青年医師との交流や貧しい患者や市井の人々の姿を描き、好評を博している。

中でも、シリーズ3作品を通し赤ひげの“右腕”として活躍しているのが中村蒼演じる保本登だ。これまでのシリーズでは、去定とぶつかることも多く、青年医師らしい熱い印象であった保本だが、今シリーズでは往診を任されるなど一人前の医師に。つぐみ(優希美青)という女性見習い医師も加わり、頼りになる医師へと成長していった。

また、「赤ひげ3」では保本と妻のまさを(奈緒)の “夫婦の絆”を感じられる場面が多く、まさをの一言で保本や小石川養生所の問題が解決に導かれることも多い。11月13日(金)放送の第4話でもまさをと保本の会話に注目だ。

そんな保本を演じる中村にWEBザテレビジョンでは、インタビューを実施。シリーズを通しての保本の成長や、共演する奈緒の印象などを聞いた。

中村蒼インタビュー

――今回で、シリーズ3作品目になりますが、保本を演じられて中村さんご自身はどのような変化を感じていますか?

保本さんがあたふたすることなく、冷静に患者さんと向き合っている姿を演じていると、もう新人というのは似合わないくらいの医者になったのではないかと思いました。そういう部分がシリーズを通して段々備わってきているのかなと感じています。

これまでは、すぐ行動に移して、患者さんを助けに行こうとしたりする姿が印象的でした。それはそれですごく優しくて熱い人間だと思うのですが、往診を担当することになって、養生所の様子は他の医者たちに任せて、冷静さをもって、まずはじっくり考える。自分の中で整理して順序だてて患者さんと向き合えるようになったのは大きい成長だなと思います。

また、保本さんはこのシリーズでは、患者さんのメンタルの部分と触れ合うことが多くなっていて、けがを治すというよりは、一緒に話して一緒に悩んで、心のケアをするようにまでなっています。そういうところが今回は今までより、演じていても難しいところでした。

中村蒼「僕自身も演じていていい関係だなと感じました」

――今回、新たにつぐみという新しい仲間が加わりますが、皆さんがとても温かく迎えている姿が印象的でした。中村さんは小石川養生所の雰囲気をどのように感じられていますか?

保本さんも含めて、小石川養生所のメンバーは、去定先生のことを本当に尊敬しています。考え方とか、患者さんに対するアプローチの仕方とか。そんな中で、つぐみさんが女性医師として入ることになった時は、最初はもちろん驚きましたが、誰も反対はしない。優しく迎えていて、ほんと柔軟性のある養生所だなと思います。つぐみさんや患者さんを温かく迎えて、今までもずっと一緒にいたかのようにコミュニケーションをとれるというのが、小石川養生所のいいところかなと思います。

――保本から見たつぐみはどのような存在ですか?

保本さんは、最初はやはり、つぐみさんに対して「自分もこうだったよ」とか、アドバイスしようとするのですが…。誰よりも医学の知識がある方なので、むしろすごい…と感心しています。僕たち3人が何とかたどり着いたところをあっという間に抜き去って、飛び級してしまったので(笑)。

つぐみさんと去定先生の関係性が今回のシリーズの見どころでもあると思うのですが、それを保本さんは、気にしつつ、あまり口を出したりせず、温かく見守るという。そういう関係ですね。

――保本が「去定先生に似てきたね」と言われるシーンがありますが、中村さんはどのように感じられましたか?

やはり尊敬している先生に似てきたねと言われるのは、うれしかったです。保本さん自身が、去定先生の苦手だった部分と似てきていると言われることもあって…。親子っぽいなと言いますか、『昔は父親のことが嫌いだったけど、それが今は自分もその父親に似てきている』というような、どこかくすぐったい気持ちで、保本さんもうれしいのではないかと思います。僕自身も演じていていい関係だなと感じました。

中村蒼「生きる意味など命の大切さを感じていただけたら」

――まさをとの“夫婦愛”が感じられるシーンも印象的ですが、演じられてみていかかでしょうか。

まさをさんとのシーンは、妻の偉大さを感じました。小石川養生所の問題を保本さんと一緒に悩んでくれて、まさをさんの一言でなにか新しいことが発見できるというシーンがたくさんあるので、妻の支えの偉大さを感じることができました。

シリーズを通しては、今回がより夫婦の絆を強く感じました。2人の気持ちががすれ違うような場面もあるのですが、そういうことがあったからこそ、患者さんの問題も解決できたこともあるのかな?と思います。

――まさをを演じられている奈緒さんの印象はいかがでしょうか。

シリーズ1作品目の頃から、その雰囲気や立ち振る舞いがその時代の女性に似合っていて、当時はお芝居のご経験が少ないと伺っていましたが、そんな雰囲気は全く感じられませんでした。

奈緒さんは「いまだに、赤ひげは一番緊張する現場です」とおっしゃっていましたが、妻のあたたかい、懐の深いところを演じられていて、頼りになります。

――最後に改めて、「赤ひげ」シリーズのファンの皆様に一言お願いいたします。

“無知と貧困”というのをずっとテーマに作品を作ってきて、それは終わることもなく、今も治療を満足に受けられない方もいらっしゃると思います。去定先生は、人生も導いてくださる人なので、そんな先生に皆さんも生きる意味など命の大切さを感じていただけたらうれしいです。

■第4回「女房の手」あらすじ

赤ひげ(船越)やつぐみ(優希)とともに働くお常(山野海)の母親・やす(山口果林)が病に亡くなる。夫の職人・藤吉(石橋蓮司)は、家事一切を妻に任せてきた仕事の虫。妻が亡くなっても悲しみをみせず無愛想なままだ。だが藤吉は妻を亡くしてから食事をしようとせず、倒れて養生所に入所してくる。藤吉の頑なな心の奥にある思いとは…。

中村蒼演じる青年医師・保本登(第2話場面写真)/(C)NHK