高校の同級生だった鈴木鉄平さんと山代徹さんが立ち上げた、旅する八百屋「青果ミコト屋」。「ミコト屋号」という古いキャンピングカーで東奔西走、日本中の畑を巡り、旅先で出会った野菜とそこにまつわるストーリーを全国の食卓に届けている。

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今年で10周年を迎えるミコト屋が新たな挑戦を始めようとしている。それは、ミコト屋初の実店舗となる八百屋と出荷場、そして旬の青果とフードロスを活かしたアイスクリーム屋を併設する旅の拠点「Micotoya House」を作ることだ。

種の蒔き方や、畝の立て方、剪定の仕方などの技術的な違い、そして経験やこだわり、信念といったパーソナリティまで、農家の数だけ生産方法も違ってくる。ミコト屋は、旅をして農家の方たちと直接会うこと(=「FarmTrip」)で、ひとつの野菜にまつわるストーリーを知り、消費者に届けている。それこそが生産者と消費者を繋ぐ“八百屋”の役割であり、責任であると考えているためである。

こうした「FarmTrip」の活動が、いまのミコト屋を形成する大きな要素となっているのは間違いない。それと同時に、土地に根を張る“拠点”を作ることへの憧れも生まれてきたという。それは、地域の風土を体現するような野菜を育てる農家、料理やお酒を通じて地域の生産者との密なコミュニケーションのハブとなるような居酒屋、土地の素材や土地の味をとことん活かすビストロなど、素晴らしい拠点の数々を自分たちの目で見てきたからだ。

ミコト屋の拠点となる「Micotoya House」は、全国の農家から届く野菜の選別梱包、出荷・配達、販売を行う場所となる。昔ながらの町の八百屋さんのような、人との繋がりや人情、コミュニケーションを大切にして、地域のハブとなる八百屋を目指すという。

そして今回の試みの中でも大きなチャレンジとなるのが、八百屋と同じ敷地内の一画にアイスクリーム工房「KIKI NATURAL ICECREAM」を併設すること。なぜミコト屋がアイスクリームも作るのか、それは八百屋の宿命である野菜や果物の売れ残り、規格外ゆえに出荷もされず畑に放置される野菜と向き合い、救うためである。

ミコト屋が伝えたい自然栽培や種採り、フードロスといったテーマは“野菜”を通してだと少し堅苦しくなってしまう。そこで、ハッピーでポジティブなイメージのあるアイスクリームを介することで、多くの人に気負うことなくカジュアルにメッセージを届けようと考えているのだ。

自己資金とDIYアイスクリーム工房作るつもりであったが、製造設備費が莫大で想定を大きく上回った。そこでこの活動に共感していただいた人に少しでも力を借りたいと始めたのが、クラウドファンディングだ。2020年11月現在、「READYFOR」でプロジェクトの支援を募集しており、リターンにはアイスクリームチケットや野菜セット、ミコト屋オリジナルグッズなどが用意されている。

ミコト屋の新たな挑戦は、日本各地の農家や私たち消費者の食生活にも関わってくるだろう。八百屋という仕事に対して真剣に向き合い、野菜を愛する彼らの活動を応援していきたい。

関連リンク
「Micotoya House」クラウドファンディングページ
https://readyfor.jp/projects/micotoya

textコバヤシユウタ(編集部)
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掲載:M-ON! Press