イギリスでガソリン車、ディーゼル車の販売を2030年までに禁止に

 イギリスでは地球温暖化対策を強化している。日本でも今月19日に気候非常事態宣言が国会採択され、世界的に脱炭素社会を目指す取り組みが行われている。

 イギリス政府は17日、これまでの計画を5年前倒しして2030年までにガソリン車とディーゼル車の販売を禁止すると発表した。また、2035年までにはハイブリッド車の販売も禁止するという。

 環境に極力負担をかけない事業や雇用創出などの「グリーン産業革命」を掲げ、規制強化を加速するイギリス。その尚早ともいえる計画変更を巡り、国内外で反響が巻き起こっている。

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排出量削減のためイギリスが自動車の規制を発表

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 今月17日、イギリス政府がすべてのガソリン車とディーゼル車の販売を2030年までに禁止すると発表した。

 こうした規制はイギリスがかねてから述べていた排出量削減に向けた取り組みの一環だが、今回の発表では禁止措置の前倒しのほか、ハイブリッド車2035年までに販売禁止にすることが明らかになった。

電気自動車の普及を推し進めるイギリス政府

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 ガソリン車やディーゼル車が多くを占めるイギリスの自動車市場において、電気自動車が占める割合は依然として少ない。

 イギリスの今年の新車販売だけみても、ガソリン車やディーゼル車がおよそ70%を占め、年々需要が増えているといわれる電気自動車は5%程度だという。

 しかし政府は、その中間といえるハイブリッド車も遠からず禁止にし、電気自動車の促進計画を推し進めるようだ。

 それを裏付けるように、政府は来年から電気自動車向けの充電インフラの拡充に約5億ポンド(約687億円)の資金を予定している。

今後は電気自動車のみ?エコカーもダメ?とまどう人々

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 以前から環境団体による訴訟問題を抱えていたイギリス政府は、2017年の裁判で高等裁判所に大気汚染防止計画の発表を命じられ、同年7月に包括的な大気浄化計画を発表。その際に2040年までにガソリン車とディーゼル車の新規販売を全面禁止する意向を明かしていた。

 たが今回は、その期限の前倒しと対象ではなかったはずのハイブリッド車の禁止が焦点になっている。

 この変更措置について、現地ではさまざまな反応が巻き起こっている。二酸化炭素の排出量削減に貢献してる車種でも禁止になるのかどうかなど、車の利用者にとって最大の関心事になっているのだ。

 なおメディアによると、現時点で2035年になっても生産可能とみられるのは、テスラのモデル3と日産リーフ、そして限られた水素自動車だけだという。

 たったそれだけ?と聞きたくなるような選択肢にもかかわらず、政府の決定はゆるぎないもののようだ。

 

グリーン産業革命を掲げるイギリスに新たな道?


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 この変更についてボリス・ジョンソン首相は次のように述べている。

今年は期待どおりにはならなかったが、全国的なレベルアップという野心的な計画は今後も変わらない。

私の10カ条計画が、2050年までのゼロ・エミッションとともに数十万のグリーンジョブ(環境への負荷を抑えた持続可能な仕事や環境保全に役立つ仕事)を創出し、それをサポートして保護するだろう。

私たちのグリーン産業革命は、北東部やスコットランド風力発電とミッドランドで製造された電気自動車で推進し、ウェールズの最新技術で進歩する。その先にはより豊かでグリーンな未来があるだろう。

 こうした期限の変更は自動車メーカーにとってやっかいなものになるが、イギリスの企業にとっては新たな道が開けた可能性もあり、大きな転換点になるかもしれない。

 とはいえ脱炭素の条件を満たす自動車の数は限られており、その大部分にはコストがかかる。イギリスにおける新型電気自動車の市場にはギャップが生じることになりそうだ。

References:unilad / autoexpress / theguardianなど /written by D/ edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52296672.html
 

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