独創的な料理を続々と開発している野島慎一郎氏
『週刊プレイボーイ』で「激ウマ!! バカレシピ研究所」を連載中のB級フード研究家・野島慎一郎(のじま・しんいちろう)さん。
今回の"バカレシピ"は、赤いきつねとどん兵衛の粉末スープを交換した「スワッピングどん兵衛」!
* * *
【今回の食材】
・マルちゃん 赤いきつねうどん 1個 ・日清のどん兵衛 きつねうどん 1個
野島 今回のテーマはカップうどん。赤いきつねとどん兵衛を使ったバカレシピに挑戦します。
助手 おお、ついにカップうどん界の両巨頭が登場ッスね! 赤いきつねとどん兵衛って、どっちのほうがウマいんだろ?
野島 どちらがウマいかなんて考えること自体がやぼですよ。僕はこれまで4000万杯くらいずつ食べてきましたが、絶対に優劣は決められないもの。
助手 しょうもないウソを挟むな! で、何を作るんスか?
(1)入れ替え! 赤いきつねとどん兵衛きつねうどんから粉末スープを取り出し、どん兵衛のスープを赤いきつねに、赤いきつねのスープをどん兵衛に入れる。うっかり間違いやすいので注意!
野島 うむ。これはパートナーとの関係に飽きを感じ始めた熟年夫婦に着想を得たのですが、赤いきつねとどん兵衛の粉末スープを交換して食べることで、マンネリを打破して新しい刺激を受けられるのではないかと。
助手 赤いきつねにどん兵衛のスープを入れて、どん兵衛に赤いきつねのスープを入れるってことッスな。ありそうでなかったバカ発想! でもスープをスワッピングしただけで違いを感じられるものなんスか?
(2)注ぐ! 粉末スープを入れ替えたらあとは熱湯を注いでいつもどおりに作るだけ。応用編としてスープではなくお揚げや七味唐辛子などのかやくを入れ替えるスワッピングも可能
野島 それを試してみるのがわれわれの役目。早速やってみましょう。どん兵衛のスープを赤いきつねの容器に入れてと......。
助手 開封したらどっちも茶色い粉末だから、うっかり間違えちゃいそうッスね。
(3)完成!「スワッピングどん兵衛」
(4)食べる! つゆを飲めばそれぞれ赤いきつねの味、どん兵衛の味がそのままなのに、麺やお揚げを食べると感覚がまひ! 普段からカップうどんを食べている人ほど違和感に気づけるはずだ
野島 よしできた。それぞれを食べ比べてみましょうか。
助手 ブハッ! どっちもウマいんだけど、いつもと味が違うかといえば違う気もするし、まったく一緒な気も......。とりあえず頭が混乱する!!
野島 どれどれ......おおっ、全然違うじゃないか! この味の違いに気づかないなんて、助手くんはまだまだカップうどんビギナーだな。それぞれ4000万杯ずつ食べて精進しなさい!
助手 食わねえよ! っていうか、そんなに違うッスか!?
(5)研究! 「どん兵衛のつゆで食べるどん兵衛のお揚げ」と「赤いきつねのつゆで食べるどん兵衛のお揚げ」はどちらがウマいかと追求しながら食べ、カップうどんの奥深さを楽しもう
野島 違う違う。赤いきつねやどん兵衛は東日本と西日本でつゆの味が違うんですが、これはまるで新しい地域向けのカップうどんが開発されたかのようですよ。普段からよく食べている人ほど味に感動できるはず!
助手 確かに。きつねをスープ内で絞ると味変しておもろいっスね。それこそ、西日本版どん兵衛のスープで北海道限定版赤いきつねを作ったり、違う地域のカップうどんで組み合わせるのもアリっスね。まあ、僕にはとうてい理解できない世界だけど!
野島 それはいいですね! そしたらさらに着色料も使って、「赤いどん兵衛」と「緑の赤いきつね」を作るのもアリかも。可能性は無限大ですね!
助手 これ以上、混乱させるなって!
●野島慎一郎(のじま・しんいちろう)
ライター、マンガ家、B級フード研究家。独創的な料理を続々と開発している。著書『世界一美味しい「どん二郎」の作り方』(宝島社)。YouTube『のじまちゃんねる』
撮影/下城英悟
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