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公道を走れるスーパー・トロフェオ・エボ?

text&photo:Kazuhide Ueno(上野和秀)

これまで様々なパフォーマンスモデルを送り出してきたランボルギーニ・ウラカンに、走りを突きつめた辛口モデルが追加された。

欧州時間の11月18日午後4時に、ウェブでワールドローンチされた「ウラカンSTO」である。

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日本上陸したランボルギーニ・ウラカンSTO

それからわずか37時間後に、世界に先駆けて日本のメディアに披露された。これは日本のマーケットが、ランボルギーニにとって極めて重要な存在であることを意味する。

ウラカンSTOは、デイトナ24時間レース3連覇を遂げた純レーシングマシンのウラカンGT3、ワンメイクレース用に作られたウラカン・スーパー・トロフェオ・エボで得られたレース・テクノロジーをもとに開発されたRWDのロードカーだ。

モデル名の「STO」は「スーパー・トロフェオ・オモロガータ」の略。

ワンメイクレース用のスーパー・トロフェオを、公道走行用に公認を取得したという意味となる。

そのスタイルは、大きく張り出した前後フェンダーにより、特別なウラカンであることを主張する。

レーシングモデル直系で、公道走行可能

ウラカンの高性能版は数多く登場しているが、レーシングモデル直系となる公道用モデルは初となる。

その開発に際しては、ランボルギーニ・スクアドラ・コルセの伝統を受け継ぎ、スーパー・トロフェオと同じフィーリングと高揚感を届ける仕立てとされた。

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ランボルギーニ・ウラカンSTOのリアセクション。

エアロダイナミクス性能の向上と軽量化、そして絶妙なバランスとレーシーな味付けにより、日常的な走りの中でもレース・ドライバーさながらのエモーションを体感できるスーパースポーツを目指したという。

具体的には、空気の流れを最適化するため、レース用車両が培ってきたテクノロジーを活用。

ウラカンSTOのフロント部分はボンネット、フェンダーバンパーを一体にした「コファンゴ」と呼ばれる一体式カウルが目を引く。

この方式は、往年のミウラやレーシングマシンで採用されていた。

コファンゴの前面から取り入れた空気は、ラジエーターを冷却したのち、カウル上面に抜ける構造でダウンフォースも発生させる。あわせてフェンダー上に設けられたアウトレット・ルーバーはホイールハウス内の熱気を抜くことにより、ダウンフォースを増出。

コファンゴの下には、アンダーボディとリアディフューザーへ流気を導くスプリッターが備わる。

あわせてフェンダーの峰に気流を整えるフィンが備わるのは、スーパー・トロフェオ・エボ譲りだ。

エアロダイナミクス 徹底的に追及

リアフェンダーもスーパー・トロフェオ・エボのデザインを受け継ぎ、上面のNACAダクトはエンジンのインテークに導かれる。

ルーフにはエンジン・コンパートメントを冷却するエアスクープが備わる。

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メディア向けの実車公開は、世界に先駆けて日本で行われた。

エンジンカウルには、F1マシン、LMPマシン、スーパー・トロフェオ・エボにも採用されているシャークフィンが採用された。コーナリング時にヨー安定性を高めることができる。

リアウイングはSTO専用タイプで、シングルスロットで2枚の翼面で構成される。

前部/後部の翼面の間隔を変えることにより強いダウンフォースが得られるもので、セッティングにより空力バランスを最大13%も変えることが可能。

ドライビングスタイルに適応させたダウンフォースが得られる。

これらの空力性能を突きつめた結果、280km/h時に420kgのダウンフォースを発生させ、ウラカン・ペルフォルマンテに比べると53%増大したことになる

また、ドラッグ最適化により全体的な空力効率は37%も向上した。

軽量化 1339kgで640psのパワー

注目したいのは、航空宇宙業界で活用されるカーボンファイバーのサンドイッチ構造をリアフェンダーに採用したこと。これにより、剛性を確保したうえでカーボンファイバーの使用量を25%削減。

このほかウインド・スクリーンはウラカン・ペルフォルマンテに比べ20%軽量なものが使用され、マグネシウム製ホイールの採用により乾燥重量は1339kgまで削減。

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フロント部分はボンネット、フェンダーバンパーが一体式となるカウル。ミウラのように前ヒンジで開く。

軽量モデルとしておなじみのウラカン・ペルフォルマンテから、さらに43kgも削られている。

ミドに搭載されるV型10気筒5204ccユニットは、ウラカンEVO譲りの640psを発揮するタイプだ。

ここに7速LDFデュアルクラッチ・トランスミッションが組合せられる。

さらに、ワイド化されたトレッドと、サスアーム・ブッシュの硬度を高め、専用アンチロールバーを組み込むことにより、レーシングカーのエモーションを体感できる走りを実現。

ブレーキはレースからフィードバックされたブレンボ製のCCM-Rを採用する。従来のCCBに較べ4倍の熱伝導率を備え、ストレス耐性は60%高くなり、最大制動力は25%、減速性能は7%向上している。

タイヤは、これまでピレリが主に使われていたが、専用開発されたブリヂストンのポテンザ・スポーツを採用。公道用とサーキット用の2種が用意されるという。

特別仕上げのインテリア

ウラカンSTOのインテリアは機能を突きつめ、カーボンファイバー製のパーツが多用され軽量化に貢献。スポーツシートもカーボンファイバー製とされた。

トリムは、ランボルギーニカーボンスキンが使用されたアルカンターラ仕上げとされ、ドア内張もカーボン製とされ、オープナーはベルトという徹底ぶり。

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ランボルギーニ・ウラカンSTOの内装。

センターコンソールにはタッチスクリーン式のモニターが備わる。

ここに、ドライビングモードやタイヤ空気圧、LVDI(ランボルギーニ・ディナミカ・ヴェイコロ・インテグラータ)の作動状況が表示される。

このほか常時接続のコネクテッド・テレメトリー・システムでは、サーキット走行時のデータのモニタリングと保存を行い、ランボルギーニUNICAアプリでデータを分析できる。

ウラカンSTOのドライブモードは、「STO」「Trofeo」「Pioggia」の3モードを用意。

STOはデフォルトのモードで、公道での使用に合わせサスペンションマイルドに。

Trofeoはスポーツ・サーキット用で、全システムが最速ラップタイムを出せるように最適化ESCを切るとLVDIの制御が変わりトルク・ベクタリングとパフォーマンス・トラクション・コントロールが行われる。

Pioggiaはイタリア語で雨を意味するもので、レインモードとなる。ウェット状態のアスファルト路面向けに最適化され、確実な走りを提供する。

走りに拘るランボルギーニ・ファンにとっては注目の1台。日本価格は4125万円で、2021年春以降のデリバリーを予定していると発表された。

ランボルギーニ・ウラカンSTO  スペック

車両価格:4125万円
全長×全幅×全高:4549×1945×1220mm
ホイールベース:2620mm
車両重量:1339kg
0-100km/h加速:3.0秒
最高速度:300km/h
エンジン種類:V10 DOHC
排気量:5204cc
最高出力:640ps/8000rpm
最大トルク:57.6kg-m/6500rpm
トランスミッション:7速LDFデュアルクラッチ
駆動方式:MR
前後重量配分:41:59
燃料タンク:80L

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モデル名には、「スーパー・トロフェオ・オモロガータ」の頭文字をとったSTOがつく。

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