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ZE1型リーフのバッテリー容量

text:Kaoru Kobayashi(小林薫)

3年前、バッテリー劣化の改善を期待し、最新のリーフZE1型40kWhに、発売と同時に乗り換え。

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2011年から、24kWh、30kWhと乗り継ぎ、40kWhは3台目のリーフ。そして、この秋、最初の車検となるが、バッテリー性能は、期待以上に進化していた。

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2011年秋に購入した初代リーフ24kWhは、すぐに劣化が進みました。

遠出の時、たびたび追加充電が必要となり、対応に苦慮することになりました。

また、2台目30kWhは、2年たった頃、なぜか急に劣化が始まり、期待外れとなりました。

しかし、ZE1型40kWhの最新バッテリーの性能は、これまでの体験からすると、信じられないような改善がありました!

ここ数年、9月に甲府の自宅から軽井沢・万座方面に出かけています。標高1800mの万座までは、約170kmありますが、今年もバッテリー性能の劣化は感じませんでした。

実際の走行時の消費電力から計算すると、容量低下はありましたが、とても少なかったです。運転の慣れもあるでしょうが、期待以上の状況に、驚いています。

バッテリー劣化の問題は、リーフユーザーや中古車検討者にとって最大の関心事です。発売時の試乗などでは、クルマの評論家でも当然わかりません。

温度管理システムのないEVは、どのような劣化性能なのか……。実際に何年か乗って、初めてその実態を知ることになります。

バッテリー容量を示す表示は、コンソール画面にあります。しかし、表示がリニアでないので、目安位にしかなりません。

そこで購入時と比較し、3年後のバッテリー容量がどの程度減ったかを推測する必要があります。測定器などを使わない方法で推測した結果、この3年間の容量低下は、5~6%ほどでした。

初代リーフでは、数年でバッテリー容量が3割近くも低下しました。もともと多くない容量だったので、遠出の時のみならず、日常でも不便を強いられました。

それに比べ、リーフZE1型40kWhのバッテリー性能は、素晴らしいものとなっています。

日産リーフに9年乗って思うこと……

3台目リーフの、ここまでの走行距離は24,649km。
この3年間の充電回数は、200V普通充電159回、100V普通充電14回、急速充電78回となっています。

充電方法も含め、かなり丁寧に乗ってもバッテリーの劣化は進みます。

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走行距離の多いパワーユーザーや、真夏に高速道路を連続運転する可能性のある人は、バッテリーの温度管理システムを搭載したEVを選択する方が良さそうです。

そうすれば、劣化に対する心配は減ります。ただし、一般的なユーザーにとっては、本体価格や車両重量は増え、必ずしもコストパフォーマンスが良いとは言えません。

温度管理システムがないと、バッテリー劣化による容量低下は進みます。

しかし、最初のバッテリー容量が40kWh以上あり、その容量低下が少なければ、遠出に対しても問題は感じません。

また、日常使用が中心なら、40-50kWh位が現状では良いと考えらます。家庭での8時間の夜間充電で、ちょうど50%前後充電でき、使用勝手が良いです。

真夏は、急速充電や高速道路の連続走行で、バッテリー温度は上昇します。しかし、慣れてくるとある程度予測できるようになり、このような状況を避けて遠出するようになりました。

また、エアコンは、真冬もそれなりに電気を必要としますが、真夏の炎天下の方がより消費量は多く、電費は悪くなります。

月数回の遠出も、1日の走行距離は、多くて200kmなので問題はありません。季節の良い時期は、目的地が同じ位の標高なら、満充電で250km位走行できます。

残量20%までとすると、実用上200kmとなります。真夏や真冬などでは、それより50km減が目安です。

1日の走行距離が多いユーザーは、容量が62kWhのタイプの方が利便性は良さそうです。近年、充電スポットは増えており、遠出した時の電欠不安はほとんどありません。

また、残りの走行距離も、しばらく乗ると容易に予測できるようになりました。

リーフが新発売されてから10年経ち、バッテリーもずいぶん改良されてきました。やっと実用レベルになったと感じられ、今後のさらなる進化も期待できそうです!

日産リーフの次に選ぶクルマは?

新車発表会の試乗会で、その加速性能にとりつかれ、リーフでの日常生活が始まりました。

それから9年、魅力的なEVライフを過ごすことができていますが、解消されない問題もあります。

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遠出の時、充電に必要な時間は、事前にわかることなので大丈夫。しかし、充電の順番待ちは、予測が難しく、時間がない時は、辛い状況となります。

9年間乗っても残る不安は、到着して知る充電設備の使用不可です。設備の故障や施錠などで使えなかった経験があり、無事に充電が始まるとホッとします。

通常のガソリン車では、このように何か不安をもたらすことはないと思います。

また、自宅での夜間充電についても、きちんと実行されているかの心配は、多少どうしてもあります。したがって、遠出の朝は、起きてすぐに確認することになります。充電されていなかったことは、これまで一度もありませんが……。

これらの不安点などは、バッテリーの改良が進み、容量などが増えても、なくならないと思います。

これの解決策の1つは、レンジエクステンドEVにすることではないでしょうか。

特に、発電用ロータリーエンジンは、軽量/コンパクト/静かさで、EVには特に魅力的。リーフの次のクルマとして最有力です。若い時、ロータリーエンジンは憧れでした!

EVの普及が遅いのは、集合住宅の駐車場で、夜間充電することが難しいのも大きな理由です。

この問題は、近くのディーラーで無料充電できても、なかなか解決されてきていません。しかし、レンジエクステンドEVなら、これも解消できそうです。

今後、各メーカーから、いろいろなEVの発売が予定されています。どのようなEVが登場するのか、わくわくする気持ちで、待ちたいと思っています。

バッテリー容量低下の推測方法は?

バッテリー容量低下の推測方法は、3つあります。
・充電終了時に表示される走行可能距離から
・実際の走行実績からの消費電力による計算
・夜間200V普通充電による増加割合から

まず、一番簡単な方法は、充電終了時の走行可能距離による推測です。ただし、この数値は、直前の走行実績によって変わります。

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したがって遠出から帰った時の値は、使わずに、日常での充電完了時の数値だけで計算します。同じライフスタイルなら、ほとんど同じ状況下での比較になります。

その結果、購入時の平均値は、約280km。3年後の今の平均値は、約266kmで、約95%の数値になっていました。

ただし、100%まで充電していない時は、100%まで充電した場合の値に補正しています。

実際にどの程度電気を使ったかを計測し、それから全体のバッテリー容量を計算する方法もあります。走行距離を電費で割ると、消費した電気量がわかります。

それと残量表示で何パーセント減ったかの数値もわかります。この2つから、全体のバッテリー容量を推測できます。

甲府の自宅から標高1000mの御坂トンネルの入口までは、約23km。そこまでの走行実績を、購入時から記録しています。購入直後のデータは、電費3.7km/kWhで、約17%消費。

このデータからのバッテリー容量の予測は、約36.6kWhとなります。

また、3年後の今のデータは、電費3.7km/kWhで、約18%消費。このデータからは、約34.5kWhとなり、購入時との比較では、約94%になっていました。

また、自宅での普通充電時間によっても推測できます。バッテリーの容量が減れば、当然充電時間は短くて済みます。ただ、この方法では、充電電流が一定であることが前提です。

100%に近づくと、その電流を制御していると思われるので、90%以下の範囲の充電の時の値を使用します。そうすれば、ある程度の精度で予測できます。

自宅での夜間200V充電は、契約上8時間の料金が安価です。なので、普段残量が20%前後になると、8時間充電しています。購入時、その充電で約61%増えていました。

3年後の今は、平均65%の増加となっています。バッテリー容量が減ると、同じ充電時間なら、その割合は増えます。この数値からバッテリー容量は、約94%になったと推測できます。


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