ネット上で漫画や小説などの「二次創作」をめぐる議論が活発化している。

「二次創作をやめてくれと、ファンに言えない」匿名クリエイターの叫び

議論の発端となったのは、2020年11月22日に「はてな匿名ダイアリー」に投稿されたクリエイターを自称する投稿者からの「ファン活動としての二次創作を許容しなければならない空気感と文化を破壊したい」という1本の日記である。

二次創作が嫌いだ」という一文から始まるその投稿では、今や読者にとって二次創作が大きな意味をもつことを認めつつ、「今、日本で創作を行っている個人クリエイターは、二次創作活動を認めることを強制されている。それが、すごく嫌だ。」と持論を展開。

二次創作について「すごくセンシティブな空気が出来上がっている」ため、「漫画内で二次創作を否定するような意見を表明することも、最早できない。...(中略)...『二次創作に対して何かを言わない事が正解』になってしまっている。」として、クリエイター側から見た二次創作へのわだかまりを吐露している。

賛否両論を呼んだ投稿だけに現在は削除されているが、ウェブ上のアーカイブがなお拡散している。

二次創作とは、既存の作品を下地として創作した作品・表現のことである。ファンアートや漫画、小説、グッズなどその表現は多岐にわたり、コミックマーケットなどのイベントをはじめとして、一大シーンとして成立しているものでもある。

二次創作、「見つけたら嬉しくていそいそと買いに行く派」

この匿名投稿を受け、ネット上では二次創作についての意見を投稿する人が増加している。

二次創作されて嫌な理由をちゃんと理解しないで一方的に責めないで欲しい」「人気のある作品になればその分多くの人の目に止まって、二次創作も多種多様になっていくし、それを見て原作と違う解釈が広がって行く可能性を考えると、嫌って言う人も居て当たり前よなぁ」と投稿者の意見に理解を示す人も多い。

一方で、匿名ダイアリーでの意見表明に対し「嫌なら匿名で言ってないで、出版社もしくは作家自身が言えばいいのに」「二次創作が嫌なら、匿名はてなとかnoteでネチネチ書かないで、きちんと出版社を通してルール化すべきだと思う」など、クリエイターとして自身の作品についてのみ意見を表明するべきだとする意見も散見される。

作品によっては、二次創作が拡散に一役買っているものもあるだけに、「作家さんと出版社と開発者とゲーム会社、それぞれで思惑違いそうだなと思った」「出版社は二次創作オタクも客や作家として歓迎、という利害対立が見える」と、作品に携わる立場によって二次創作に対する意見も変わるのではとする声もある。

なお、「二次創作」がトレンド入りしたこともあり、ツイッター上では有名漫画家・作家も相次いでこの件に言及している。

GS美神 極楽大作戦!!」「絶対可憐チルドレン」などで知られる椎名高志氏は、自身の描いた他作品の二次創作を投稿したうえで、

「少なくとも私は、他人のキャラや世界に浸って、『こうあって欲しい』『こんな場面が見たい』を妄想すんのが出発点だったし今も好きだな。『キャラ解釈』『権利侵害』はまた別の話だし、二次創作は尊重すべきとか以前に、架空の物語を愛する同士として、みんなでうつつを抜かしたいと思うよ」

といった連続ツイートを。

ゆうべはお楽しみでしたね」などを連載中の金田一蓮十郎氏は、「二次創作、自分の作品では滅多に見かけないから見つけたら嬉しくていそいそと買いに行く派です。もちろん名乗りませんよ。何冊かある私の作品の同人誌はどれもありがたくて宝物。でもまあ人それぞれだからね。みんな同じこと考えたり思ったりしなくていいんですよ」。

「創作ガイドライン」設ける作品も

また、小説「キノの旅」などの時雨沢恵一氏は、

二次創作がトレンドに入っていて何かと思いましたが、私は自作『キノの旅』が、例えキャラが崩壊した作品として生まれ変わっても特に違和感や嫌悪感はありませんし、むしろ自分で超やりたかったのでやってしまいました。そう、『学園キノ』です。楽しいよ読んで。自然な宣伝」

と、自ら手掛けた「キノの旅スピンオフ作品の「学園キノ」を紹介した。

なお、2010年代以降に入ってからは「艦隊これくしょん」「東方Project」「Fate/GrandOrder」など、二次創作について公式側が「創作ガイドライン」を設け、ガイドライン内の二次創作については公式としてそれを認める作品も増えつつある。

二次創作をめぐり議論