出産予定日よりも4か月半(18週)早く誕生し「世界で最も未熟な双子(The world’s most premature twins)」としてギネス世界記録に登録された米アイオワ州の双子が、11月24日に2歳の誕生日を迎えた。双子の母親は「この子たちの成長が、同じように小さく生まれてきた家族の希望となれば…」と『USA TODAY』『Waterloo-Cedar Falls Courier』などのインタビューに応えた。

アイオワアイオワ大学ステッド・ファミリー・チルドレンズ病院で2018年11月24日、一卵性双生児のカンブリーちゃん(Kambry)とキーリー・エウォルトちゃん(Keeley Ewoldt)が誕生した。2人は母親のジェイドさん(Jade)が妊娠22週と1日(155日)の時に誕生し、カンブリーちゃんは体重379グラム、キーリーちゃんは490グラムでその身長は1ドル札ほどしかなかった。

同病院の新生児治療室医長ジョナサンクレイン氏(Jonathan Klein)は「米国では母親が妊娠22週で誕生した赤ちゃんの生存率は14%にすぎません」と明かし、2人の誕生後の様子についてこう語った。

「誕生した時の2人は瞼がしっかり形成されておらず、皮膚は触ると裂けてしまうほど繊細でした。誕生後はカンブリーちゃんの体重が330グラムにまで減少し、キーリーちゃんは心臓の手術を行いましたが、2人とも何とか持ち直してくれました。新生児集中治療室では当時、2人の脳の発達の妨げにならないように光や音などを最小限にして監視を続け、約5か月後に退院となりました。困難を乗り越えた2人は、我々医療チームの誇りだと思っています。」

実はジェイドさん、妊娠16週の時に医師から「お腹の中の双子は胎盤が1つしかないことで起こる『双胎間輸血症候群TTTS)』のため、血流が不均衡で危険である」と告知され、妊娠17週でTTTSを治療する手術を受けていた。TTTSの胎児が誕生前に亡くなることは珍しくなく、手術しないと胎児の命が危険となるためだ。クレイン医師は「この手術を受けた後は、10週間以内に赤ちゃんが誕生するケースがほとんどで、ジェイドさんの場合は手術から約1か月での分娩となりました」と当時を振り返る。

こうして双子が誕生してからのジェイドさんは、毎日往復2時間をかけて病院と自宅を行き来していたそうで「2人が入院していた間は、家に連れて帰れない切なさと不安でいっぱいでした。それでも自宅には長男コイ(Koy、7)と長女コリンズ(Kollins、5)が待っており、2人には頭を切り替えて接していました。あの頃は本当につらく、自分でもよくやってこられたと思っています」と語っている。

ただ退院後も全てが順調というわけにはいかず、2人は慢性肺疾患の一つである気管支肺異形成症(BPD)のため鼻カニューレ(鼻の下にあてがったチューブ)による酸素投与が欠かせなかった。またちょっとした風邪でも重症化してしまうことが多く、昨年は6度も入院したそうだ。

それでも11月初め、2人は生まれて初めて酸素投与から解放された。また誕生日3週間前の身体測定では、カンブリーちゃんは身長が約79センチで体重が8.5キロ、キーリーちゃんは身長が約80センチで体重が8.6キロにまで成長している。これは2歳の平均値よりは少しだけ下回るが、2人は確実に大きくなっているようだ。

24日に2歳になった2人について、ジェイドさんは「カンブリーはどちらかというと男の子っぽくやんちゃでキーリーはとても女の子らしく、性格が全く違うんですよ。2人とも『ベイビーシャーク』の歌や踊りが大好きで、絵を描くことが得意なようです。それに兄や姉が2人の面倒をよくみてくれていて助かっています」と明かし、こう続けた。

「2人が様々な困難を乗り越え、2歳を迎えられたということを誇りに思っています。2人の成長が、同じように超低出生体重児として誕生した子供たちの希望になってくれることを願っています。」

画像は『USA TODAY 2020年11月23日付「Beating the odds: The world’s most premature twins to celebrate 2nd birthday」(Jade Ewoldt/Special To The Register)』『Waterloo-Cedar Falls Courier 2020年11月23日付「Dysart ‘miracle’ twins home for Mother’s Day」(Photo courtesy of Jade Ewoldt)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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