最近ネットではカナダのある町の標識が話題になっている。当局が掲げているその標識は「ヘラジカに車を舐めさせないでください」というもの。
ええ~?それってどういう意味?と、とまどう人もいそうだが、なんとその地域に暮らすヘラジカたちは自動車を見かけると舐めにやってくるのだという。
ヘラジカの好物が車だとは知らなかったが、それにはこんな理由があるようだ。
―あわせて読みたい―
山を守ってくれてありがとう。山火事で消火活動をしていた消防士らに近づき、キスをして回るヘラジカ(アメリカ)
車?食います。サファリパークで車をガブつくライオンのガオォー(南アフリカ)
サファリパークでキリンが観光客の車の窓を粉砕!大惨事となったその理由は?(イギリス)
オオカミを導入してから25年。イエローストーン公園の生態系が安定したことを確認(アメリカ)
巨大みがすぎる。現世に存在する12の巨大生物
事故防止のため。車を舐めるヘラジカを禁止する標識
「ヘラジカに車を舐めさせないでください」ーカナダ当局が地元のドライバーに向けて掲げているその標識は非常に重要な指示だ。
この標識は高山に位置するアルバータ州ジャスパーの町に掲示されている。
Oh hi, moose. We have strict instructions about your snack habits. #jasper #Alberta 🇨🇦 pic.twitter.com/xSNo7YBrXS
— Carolyn Campbell (@_CLCampbell) November 15, 2020
では一体なぜヘラジカは車を舐めにくるのか?車が好物というわけではなく、車についた道路凍結防止用の塩が目当てなのだ。
ミネラル分が不足しがちな冬、ヘラジカたちは車についた塩でそれを補うことを学んでしまったようだ。
だがヘラジカは3メートル前後ほどの巨大動物だ。そんなヘラジカたちに寄ってたかって近づいてこられたらたまったものではない。これは危険な事故を未然にふせぐための呼びかけなのだ。
塩に夢中のヘラジカ。放置が事故のリスクに
「ヘラジカたちは塩に夢中です。塩は彼らにとって欠かせないミネラルの一つですから」
そう語るのはアルバータ州にあるジャスパー国立公園の広報担当スティーブ・ヤングさんだ。
「通常ヘラジカは公園にある塩湖から塩を摂取しますが、彼らは近ごろ道路から車に飛び散った塩を摂取できることに気づきました」
野生のヘラジカスポットとして有名なジャスパー国立公園では、道路わきに駐車する車が特に多く、この辺を訪れて車を舐めるヘラジカに遭遇した人もけっこういるようだ。
カナダのアルバータ州で人が乗る車を舐めるヘラジカ
Moose licks car - Close encounter - Alberta Canada
だがこれは、ひとたび動けば危険な自動車に野生動物が接近する機会を与える行為であり、深刻な事態につながるという。
ヘラジカに好きなだけ車を舐めさせてしまうと、彼らはすっかり安心して車のまわりにいることに慣れてしまう。それが事故のリスクにつながるのだ。
ヘラジカと人間双方にとって悲惨な結果に
ヤングさんは、わざわざ塩湖に行かずとも車を舐めさえすればいいと知ったヘラジカが招く致命的な事故を危惧しており、車とヘラジカは安全な距離を保つべきと主張する。
塩欲しさのあまり、車に平気で近寄るヘラジカが事故を引き起こせば、彼らとドライバー双方にとって悲惨な結果になり得るからだ。
「ヘラジカと車の組み合わせはまずいです。もし車がヘラジカをひいたら、足をすくわれたヘラジカがフロントガラスを突き破ってきますから」
ヘラジカは脅威を感じると突進する
またヤングさんによると近年この地域のヘラジカは増加傾向にあるという。
「最近ヘラジカの個体数が増えてますが、オオカミの数は減少しています。つまり捕食者が減った結果ヘラジカが増えてるんです。またこの状況は、人々がヘラジカに敬意を払って彼らにスペースを与える必要があることを示唆しています」
さらにヤングさんらはもう1つ、重要な警告を発し続けている。それは車の中にとどまってヘラジカを含む野生動物とのかかわりを避けることだ。
たいていの動物は人間が近づいただけで逃げる。なのになぜ外に出てはいけないのか?と思う人もいるかもしれないが、なんとヘラジカは脅威を感じると突進してくるという。
また他の動物も必ず逃げるとは限らないため、もっとそばで見たいから、などと考えなしにどんどん近づくのはやめたほうがいいようだ。
リスと一緒でも油断は禁物。車で去るのが一番
こうした事情から、カナダの国立公園は野生生物に餌をやったり、気を引いたり、邪魔する行為を禁じており、違反者は最高25,000ドル(約261万円)の罰金を科せられる。
なおヘラジカの体重は360~544kgもあるため、自動車もめちゃくちゃにされることがあるそうだ。なのでもしヘラジカの接近を避けたい場合は、車から降りずにその場を離れるのが一番だという。
ヘラジカの恐ろしさをよく知っているカナダ当局も、たとえヘラジカとリスが一緒に現れようとも、ヘラジカが寄ってきそうな場合は車で去るようアドバイスしている。
References:upi / edition / boingboingなど /written by D/ edited by parumo
全文をカラパイアで読む:http://karapaia.com/archives/52296847.html
こちらもオススメ!
―動物・鳥類についての記事―
散歩に出かけた猫、背中にオポッサムの赤ちゃんをおんぶして家に連れ帰る(メキシコ)
お荷物お届けに伺いました!2匹の猫の配達員
ツリーを飾って一週間…愛猫がついにツリーに侵入したようだ。ツリーと一体化した猫への海外の反応
ワニの口をこじ開けて、愛犬を救った男性(アメリカ)
猫ってそういうとこあるから。シーツを敷くお手伝いしてるつもりが完全に飼い主の作業を増やしている猫(ポルトガル)
―動画の紹介記事―
お荷物お届けに伺いました!2匹の猫の配達員
ワニの口をこじ開けて、愛犬を救った男性(アメリカ)
猫ってそういうとこあるから。シーツを敷くお手伝いしてるつもりが完全に飼い主の作業を増やしている猫(ポルトガル)
音楽に合わせてピコン、ピコン。小首をかしげるマラミュートの子供たち
自然災害は万人を平等に飲み込んだ。ポンペイ遺跡で新たに発見された主人と奴隷の遺体(ヴェスビオ火山噴火)
カラパイアの公式アプリがついにリリース!サクサク見やすい、使いやすいよ! https://t.co/0PBhJB1jK7 pic.twitter.com/M1QblHgKJ7
— カラパイア (@karapaia) 2017年12月9日
コメント