三菱電機は、鉄道車両むけに高効率同期リラクタンスモーター(SynRM)と、それを可変速制御するインバーター制御技術を世界で初めて開発。

SynRM は Synchronous Reluctance Motor(シンクロナス リラクタンス モーター)の略。固定子の回転磁界と回転子鉄心内の磁気抵抗差によって生じる磁極との相互作用により、トルクを発生させるモーター。

この SynRM で、世界最大級となる最大出力450kWの高出力・変速駆動の実証に成功。三菱電機は今後、これらの開発成果を自社製品に適用し、鉄道車両のさらなる省エネルギー化をめざす。

まずは東京メトロ車両に試験搭載。2021年3月ごろから夜間走行試験で性能を評価していく。また、SynRM を自社製品ラインアップに加え、最新のインバーターシステムとあわせて、最適なシステムを提案していく構え。

独自の電磁界解析技術、既存高効率誘導モーター比で損失50%削減

三菱電機は独自の電磁界解析技術を活用し、モーター内の回転子鉄心構造の最適化などで、世界最大級となる最大出力450kW級(定格200kW級)の鉄道車両用 SynRM を開発。

既存高効率誘導モーター比で50%の損失削減に成功。

また、SynRM の高トルク・中高速域での高効率特性を生かし、鉄道車両として必要とされる広い速度範囲での高効率運転を実現する。

(定格:規定する条件下で、温度上昇限度を超えることなく連続して運転できる機械的出力)

(既存高効率誘導モーター:固定子の回転磁界と、その回転磁界によって回転子導体に誘導電流が流れることで発生する磁束との相互作用でトルクを発生させるモーター)

最適なインバーター制御技術も開発

さらに三菱電機は、新開発した鉄道車両用 SynRM に最適なインバーター制御技術を開発。

SynRM の可変速トルク制御を実現し、最大450kWまで安定した出力が得られることを実証。SynRMが持つ高効率な特長を最大限に発揮するインバーター変調方式を開発し、省エネルギー化を前進させた。