手島千尋アナウンサーパーソナリティを務めるTOKYO FMの番組「防災FRONT LINE」。11月14日(土)の放送では、東北大学 災害科学国際研究所 所長の今村文彦さんに「黒い津波の脅威」について伺いました。


※写真はイメージです



津波防災の日が制定されている11月は“津波”について考えていきます。

津波と聞くと、東日本大震災の被害を思い出す方が多いかと思いますが、この東日本大震災のときに記録され報告された“黒い津波”を知っていますか?

今村さんは、「津波というのは、発生初期の段階ではブルーの綺麗な海水なんです。しかし、沿岸部に近づいて、特に都市化した臨海域に行きますと、なんと(津波の)色が黒くなっていました。この黒い原因は“泥”や“ヘドロ”。海水に泥などの重い物質が含まれますので、波自体がとても密度が高く重くなり、粘性と言ってドロドロした性質になりました。そうすると、先端が壁のようになり波の力が増大してしまいます」と解説します。

「津波のパワーは大きく、水面だけでなく海底から動かす力が強いため、長年沈殿したヘドロを巻き上げて混ざってしまうんです。そうして生じた“黒い津波”は、海水よりも1.3~1.5倍の威力になります。黒い津波であれば、1メートルぐらいであっても家の壁を壊す力があると言われています」

また、“黒い津波”は人体にも影響を及ぼすと今村さんは指摘します。

「“黒い津波”が引いた後に、残された泥や有害物質が乾燥し粉塵となって、まわりに長時間影響するんですね。マスクを着用するなどの対応しないと、この粉塵を吸い込み肺にも入り、炎症などを起こしてしました。これを“津波肺=肺炎”と言い、このような状況を起こさないことが大切です」

その“津波肺”になってしまう原因は、大きく分けて2つあることが分かってきました。

「1つは、先ほど述べたように(津波の)水が引いてから乾燥して粉塵を吸い込んでしまい、肺のなかで炎症する。もう1つは、残念ながら津波によって飲み込まれ漂流しているあいだに、その“黒い津波”の水自体を飲み込んでしまって、肺や気管のなかに入ってしまう。そうすると、同様に炎症を起こしてしまうわけです。これは東日本大震災のときに、実際に報告されています」

“黒い津波”が発生する恐れのある場所は全国に存在します。首都直下地震南海トラフ地震など、関東でも大きな地震が起きれば都市部の港湾地帯や工業地帯などでも発生する可能性があります。

日頃の備えに加えて、知識を蓄えることも防災の備えへとつながります。

<番組概要>
番組名:防災FRONT LINE
放送日時:毎週土曜 8:25~8:30
パーソナリティ:手島千尋
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/bousai/
海水の約1.5倍の破壊力…「黒い津波」の脅威を専門家が解説