トヨタの商用バン「プロボックス」などをベースに、その印象をガラリと変えるような「SUV風」カスタムカーを販売する例が増加。プロボックスじゃ物足りない、という声も出ており、さらに意外なクルマの「SUV風」も登場しています。

やはりプロボックスはプロボックスなのか…?

クルマのカスタムといえば、エアロパーツを取り付けたり、エンジンやマフラーを換装したり、車高を下げたりする「走り」重視のスタイルが長らく主流を占めていましたが、2020年現在、別の潮流も生まれつつあります。

それは、タイヤをやや大きくして車高を「上げる」スタイルのカスタムです。もともとオフロード走行を想定したSUVやRV車では一般的なカスタムですが、これを、全く違うジャンルのクルマに適用し、「SUV風」に仕立てるというもの。カーショップが中古車を活用し、このようなコンプリートカスタム車を販売するケースも増えています。

その代表的な種車のひとつが、トヨタの姉妹商用バン「プロボックス」「サクシード」。オフロードタイヤを履かせて車高を上げたり、塗装をマット調にしたり、ルーフキャリアなどの装飾を施したりして、商用車のイメージを一変。まさに“アウトドアギア”といったスタイルの提案が、全国のショップで行われています。

プロボックスのコンプリートカスタム車を販売するカージャパン ギネス仙台市若林区)によると、コロナ禍でアウトドアなスタイルが注目されていることもあり、引き合いが増えているといいます。その一方で、「プロボックスじゃちょっと……」という声も出てきたとか。5ナンバーサイズの商用車は元来、装備も簡素であるうえ、車内空間も狭いと感じる人がいるそうです。

そこで、プロボックスサクシード以外の車種で、同じように印象をガラッと変えるようなカスタムも出てきました。

そう来たか! ワイルドになった「HV代表」

カージャパン ギネスプロボックス以外でSUV風カスタムを展開する種車として、白羽の矢を立てたもののひとつが、「プリウス」のステーションワゴンモデル「プリウスα」です。全体をアースカラーと一部マットブラックで再塗装し、オフロードタイヤを履かせてリフトアップ、ルーフキャリアのほか、ボンネットにバグガードまで装着しています。

他店でもプリウスαのほか、本家プリウスを活用したコンプリートカスタム車まで展開しているのが、中古車サイトなどで見られます。ベース車にプリウスαを選んだ理由をカージャパン ギネスに聞いたところ、「積載量があり、スタイリングのバランスもよいため」だからとのこと。なお、流通している数は少ないものの、αには3列7人乗りモデルもあり、こちらでもカスタム可能だそうです。

カージャパン ギネスでは、このプリウスαのコンプリートカスタムを、2011(平成23)年から12年前後の年式、走行距離6~8万kmの中古車で、169万円から展開しています。カスタム代金を考慮すると、種車の価格を抑えめにする必要があるといいますが、「プリウスαは丈夫ですから、全然走りますよ」ということです。

ちなみに、このようなスタイルのカスタムには、やはり車種により向き不向きがあるのだとか。ステーションワゴンスタイルでも、低重心のクルマ、たとえば4代目「オデッセイ」などには、リフトアップカスタムはそぐわないそうです。

プロボックスのSUV風カスタム車(画像:カージャパン ギネス)。