コロナ禍で洗車やカーコーティングの需要が高まっているようです。カーコーティングでは新たな顧客ほど、10万円を超えるような高い商品を選ぶ傾向も。背景には何があるのでしょうか。

過去にも「リーマン」のとき業績アップ コロナ禍はそれ以上!

コロナ禍で「洗車」の需要が高まっているようです。「オートバックス」を展開するオートバックスセブンによると、セルフ洗車のグッズが売れているだけでなく、カーコーティングの施工件数も、2020年9月から10月にかけては前年比1.4倍ほど伸びているといいます。

こうしたなか業績が絶好調なのが、手洗い洗車やカーコーティングなどを全国で展開するKeePer技研(愛知県大府市)です。11月10日(火)に発表された第一四半期(6~9月)の連結決算は、純利益で前年同期比144.4%増と、過去最高益を大幅に更新しました。

続く10月、11月においても、さらに好調に推移しているとのこと。同社の谷 好通会長によると、「全国で必死に人を集めている」という状況で、嬉しい悲鳴が起きているといいます。なぜコロナ禍で洗車やカーコーティングが好調なのか、谷会長に話を聞きました。

――なぜコロナ禍で業績が伸びたのでしょうか? これは予想していたことなのでしょうか?

実は私どもが過去に最も業績が伸びたのは、リーマンショック(2008年)の後でした。新車の買い控えが起こり、いまのクルマをきれいにして、気分を一新しようという需要があったのです。今回も同じことが起こるだろうとは思っていました。

4月は私どもも休業し、5月、6月は新車の買い控えが起きたと思われますが、それ以降も月を追うごとに業績が伸びています。つまり、既存のクルマだけでなく、新車のコーティングをされるお客様も増えたのです。ここまでの伸びは予想し得ませんでした。

――商品や地域などで傾向はありますか?

特に東京圏の伸びが大きく、埼玉や千葉では、売上が前年比200%という店舗も少なくありません。一方で、たとえばトヨタさんやホンダさんのお膝元といわれるような、クルマ好きが多く集まるはずの地域は、それほどでもないことからも、新しいお客様が増えていることが伺えます。そして、新しいお客様ほど値段の高いコーティングをお求めになります。

「一度施工したら次は5年後」とはならない?

――高級コーティングを選ぶのは、どのような人でしょうか?

コロナ禍の所得への影響は少なかったものの、食事にも遊びにも行けない、ではクルマをきれいにしよう、という方ではないでしょうか。また、お客様の年齢層も若くなってきています。当社の広報スタッフから働きかけ、ユーチューバーにずいぶん取り上げていただいたことなどが、功を奏しているのでしょう。

――今後もこの好調ぶりは続くのでしょうか?

1年後も同じ伸び率かといえば、そうとは思えませんが、仮に今のレベルが続くならば、カーコーティングが本当に文化として根付いたといえるのではないでしょうか。

一方で、現在の新しいお客様が今後、リピーターになるのも間違いないでしょう。5年持続する最高級コーティングの「EXキーパー」(クルマのサイズ、内容により施工価格およそ11万円から25万円程度)でも、定期的なメンテナンスの需要はあり、5年を待たずに再施工される方も少なくありません。

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Keeper技研のコーティングは、耐久年数の目安が1年の商品(サイズにより施工価格1万6600円から2万7000円)や、3年の商品(同4万7500円から6万7500円)もあります。いま伸びているという、前出の5年持つ最高級コーティングをした人は、しばらく来店しないという風にも考えられますが、そうでもないのだとか。

「『洗車だけしに来た』『フロントウィンドウだけ3か月に1回くらい改めてコーティングしてほしい』といってお越しになるお客様も多いです。洗ってくれ、とは言われたものの、『どこが汚れてるの!?』となることもありますよ」と谷会長。コーティングをしたことで顧客の意識が変わり、ちょっとの汚れでも気になるようになる、そうしてリピーターになる……というわけです。

こうした需要の背景についてオートバックスセブンは、「クルマをよく使うようになったことで、汚れに気づきやすくなった」のではないかといいます。「いままで週1くらいでクルマを使っていた人が、平日も乗るようになる一方で、休日は『出かけたくない、混む場所に行きたくない』――そこで休日に洗車するケースも増えたのではないでしょうか」とのこと。ちなみに、オートバックスでも10数万円の高級コーティングは好調だそうです。

コロナ禍、洗車やカーコーティングの需要が伸びている。写真はイメージ(画像:Bhakpong Rattanasaroj/123RF)。