コロナ失業や収入減により、ローンの支払いに困窮する人がかつてないほど増えている。ローン返済が滞れば、これまでの日常は瞬く間に崩れ去る。新型コロナによって顕在化した「ローン破綻の落とし穴」はどこか? コロナ禍で銀行カードローンの返済に追われる人たちの姿を追った。

◆銀行カードローンの“借りやすさ”で地獄行き続出

 コロナに追い打ちをかけられてカードローンを焦げつかせる人も続出している。

「仕事柄、結構な額の経費を立て替えることがあって。口座はいつもスッカラカン。急な接待や生活費に困ったとき、仕方なくカードローンで借金をしていました」

 色とりどりのキャッシングカードを机に並べて、そう語るのは広告代理店に勤めていた赤田達也さん(仮名・38歳・未婚)。銀行3行、消費者金融2社からの負債総額は280万円まで膨れ上がり、月々の返済額は10万円。しかし「現状は利息の支払いもままならない」という。

コロナ直撃で勤め先が倒産

「会社の経営状況が悪かったところにコロナが直撃。6月で倒産し、今は無職です。倒産直前にも15万円ほど経費を立て替えてましたが、上司に『こんな状況で精算する気か?』と睨まれ、結局泣き寝入り。以前から、契約に繋がらなかった経費は上司の目を恐れて精算しないことが多々ありました」

 失職から3か月たつも仕事は見つからない。失業保険を家賃と利息の返済に回すと生活はギリギリで、食うに困ったときには1万~2万円を借りてしのぐ状態だ。

「とはいえ利息だけしか払ってないのでどのカードも枠がほぼパンパン。借りられなくなった後の生活は……自分でも想像できません」

 各社ともに融資枠ギリギリの赤田さん。

「銀行から一日に何度も電話がきますが、無視し続けています。最近は着信音を聞くだけで震える」

▼赤田さんのローン返済状況
年収750万円→0円 ローン残債280万円 月の返済10万円

◆下がり続けている借金のハードル

 コロナの影響により失業や収入が減った人に対して「優遇金利での新規貸し付け」を打ち出す銀行カードローンが増えている。困窮する人にとってはありがたい動きのようにも思えるが、元消費者金融社員で自身も多重債務で苦しんだ経験のあるシロウ氏は「近年の銀行カードローンの隆盛こそ、コロナ以上にローン破綻を増加させている元凶」だと語る。

「運営するサイト『借金道』で、これまで1000人以上から相談を受けてきましたが、相談者の7割以上が銀行カードローンで借金をしています。テレビCMや広告を見ない日はないし、今やスマホだけで審査から融資までが完結。『大手銀行がやっている』という安心感もありますよね。

 つまり、圧倒的な借りやすさと安心感を掲げた銀行カードローンが増えたことで、『お金を借りる』ことへの心理的ハードルがかつてないほど下がっていたんです。気軽に借金する人が増えた分、今回のコロナのようなリスクに耐えきれずローン破綻する人が増えているのが実情です」

◆銀行の本音は…

 日銀と日本貸金業協会の統計から、銀行カードローンと消費者金融の貸付残高の推移を調査。’10年に改正された貸金業法により、グレーゾーン金利の撤廃、年収の3分の1までしか貸し付けできない「総量規制」が定められて以降、消費者金融の貸付残高は年々減る一方だが、貸金業法の対象外である銀行カードローンは年々増加し続けていることがわかった。

 総量規制の対象外であるため、銀行カードローンは多額の借金に膨れ上がるケースも少なくない。都内の銀行員はこう明かす。

「金利0%台の住宅ローンに比べて、カードローンは3~15%。利ザヤが大きいから銀行は次々と審査を通して『もっと借りてくれ』というのが本音。こうした状態が金融庁に問題視されて自主基準を設けた銀行は増えたけど、それでも大きな“稼ぎ口”になっていることには変わりない」

 失業にはいたらなくても、コロナによって残業代やボーナスカット、収入減で計算がくるう人もいるだろう。

「年末には冬のボーナスを返済のアテにしていたカードローン債務者の破綻が増えることは想像に難くありません」(シロウ氏)

 お金を借りることは悪ではない。しかし、行きすぎた“簡便さ”の誘惑に負けてしまった分だけ、コロナ禍では仇となってしまうのだ。

◆ほかにも、ローン地獄に陥った人々が…

自動車ローンを組むも直後に失業

年収0円 37歳 無職 未婚

ローン残債150万円/月の返済額6万円

「2年前、外車をディーラー系の自動車ローン(8年払い)で購入。当時の年収は700万円あったが、コロナで勤め先が倒産。泣く泣く売ったが過去に事故歴があり車の価値が半減。150万円以上のローンだけが残った」

▼2月に新規出店するもコロナ直撃で即赤字

年収400万円 39歳 飲食店経営 未婚

ローン残債600万円/月の返済額15万円

「2月に焼き鳥店をオープン。公的機関からの融資では足りず事業者金融で600万円の事業ローンを組んだ。しかし開業直後のコロナ流行で客足は伸びず、返済は給付金頼み。給付金が底を突いたら利子さえ払えなくなる」

【「借金道」管理人・シロウ氏】
借金情報サイト「借金道」を長く運営。これまで1000人以上の相談を受けてきた。元消費者金融社員でもあり借金のプロとしてメディア出演も多数こなす

<取材・文/週刊SPA!編集部>

―[[ローン破綻]の現実]―


赤田達也さん(仮名・38歳)無職/未婚