森七菜

 多摩市民などからなる実行員会が表彰する『第12回TAMA映画賞』の授賞式が29日、東京都府中市の森芸術劇場どりーむホールで行われ、「最優秀新進女優賞」を受賞した森七菜は「栄えある賞を頂き本当に嬉しく思います」と喜んだ。

 本年度最も飛躍した女優、もしくは顕著な活躍をした新人女優を表彰する「最優秀新進女優賞」。森は『ラストレター』『青くて痛くて脆い』『地獄少女』『最初の晩餐』での演技が評価され、受賞となった。

 笑顔を浮かべ、喜びを言葉で表現する森。出演した『レストレター』では未咲の妹・裕里の少女時代と娘の娘の二役を演じた。初めての2役で「難しさもあった」ものの、裕里を演じた松たか子をまねることを意識しながらも「感情で動く」ところも入れて演じ切った。

 錚々たる俳優陣のなかでも臆することなくアドリブを入れたという。そんな姿に岩井俊二監督からは「その余裕が凄い」と称えられたが、「一番最初にやってみたら(岩井監督に)怒られなかったので、楽しいことを自分から出来たらいいなと」とほほ笑んだ。

 自粛期間中は我慢していた夜食のカップ麺も食べたという森。コロナ太りは「大丈夫じゃないです、ウフフ」。

 コロナ禍で仕事がいくつか中止になったようで「悔しい気持ちもしました」。それでも「マイナス部分に引っ張られても良くないので、カップ麺もそういう仕事(女優など)をしていない子だったら食べているよな、と思い、違う人の人生を生きているような感覚で過ごしていました」と振り返った。

 改め、「初めてドラマ、映画の主演をやらせて頂き、それで私を始めて知って頂く方もいたと思います。きっと『なんだこの小娘はいきなり現れて』とハテナに思う方もいらっしゃると思う。でも来年はハテナビックリマークに変えて『なるほど、だからか』と思ってもらえるように努める1年にしたいです」と抱負を明かした。

 ちなみに、その『ラストレター』は最優秀作品賞に輝き、授賞式の終盤には、共演の福山雅治と岩井監督とで再びステージ中央に立った森だが、岩井監督は森の印象を「子リスみたいで、スリリングだった」とたとえていた。

 『第12回TAMA映画賞』は、多摩市及び近郊の市民からなる実行委員が「明日への元気を与えてくれる・夢をみせてくれる活力溢れる“いきのいい”作品・監督・俳優を、映画ファンの立場から感謝をこめて表彰するもの。

 ほかの受賞者は以下の通り。

各賞と登壇者

▽最優秀作品賞
◎…『海辺の映画館-キネマの玉手箱
大林恭子プロデューサー、奥山知由プロデュサー、常盤貴子、厚木拓郎、細山田隆人、細田善彦、吉田玲
◎…ラストレター
岩井俊二監督、福山雅治森七菜

▽特別賞
◎…『アルプススタンドのはしの方』
城定秀夫監督、小野莉奈、西本まりん、中村守里、目次立樹
◎…『音楽』
岩井澤健治監督

▽最優秀男優賞
◎…福山雅治(『ラストレター』『マチネの終わりに』)
◎…濱田岳(『喜劇愛妻物語』『グッドバイ嘘からはじまる人生喜劇』『コンフィデンスマンJPプリンセス編』ほか)

▽最優秀女優賞
◎…水川あさみ(『喜劇愛妻物語』『グッドバイ嘘からはじまる人生喜劇』『ミッドナイトスワン』)
◎…長澤まさみ(『MOTHER マザー』『コンフィデンスマンJPプリンセス編』/大森立嗣監督代理出席

▽最優秀新進監督賞
◎…HIKARI監督(『37セカンズ』)/リモート出席
◎…ふくだももこ監督(『君が世界のはじまり』)

▽最優秀新進男優賞
◎…宮沢氷魚(『his』)
◎…北村匠海(『サヨナラまでの30分』『思い、思われ、ふり、ふられ』『影踏み』ほか)/VTR

▽最優秀新進女優賞
◎…松本穂香(『君が世界のはじまり』『わたしは光をにぎっている』『酔うと化け物になる父がつらい』『his』ほか)
◎…森七菜(『ラストレター』『青くて痛くて脆い』『地獄少女』『最初の晩餐』)