事故によっておばあちゃんはぐれたひとりの少女が、再会を願いながら世界中を大冒険! 地図をパズルのように組み替えると、実際の地形も変化するという不思議な力を持った少女・カート。さまざまな島を巡り、たくさんの人たちと出会い、困っている人を助け、ときには助けられて……出会いと別れ、再会をくりかえして成長していく少女のパズルアドベンチャーゲームが登場。絵本のように優しくて暖かい、そして力強さと生命力を感じる本作の奥深さと、解けたときの爽快感が格別なパズルが織り成す絶妙な調和を紹介するよ。



文 / 大部美智子

◆世界を変える不思議な力

おばあちゃん飛行船で暮らしているカート。ある日、おばあちゃん不思議なことを見せてくれた。それは四角く切り取られた地図の欠片を地図から離すと、現実世界の地形も同じように変化するという魔法のような力。カートはその不思議な力と地図に興味津々で、おばあちゃんの目を盗んで嵐の描かれた地図の欠片を飛行船が描かれた地図にくっつけてしまった。すると飛行船は突如として嵐のなかに! 強風にあおられて飛行船は大きく揺れ、カートバラバラになった地図の欠片は飛行船から吹き飛ばされてしまうのだった。

飛行船から飛ばされたカートは、目が覚めると見知らぬ島にいた。ここから、おばあちゃんと再会するためのカートの大冒険が幕を開ける。私がプレイしているのはNintendo Switch(TM)版なので、移動はLスティックで行う。Xボタンで地図画面を開き、カートが持っている地図をL・Rボタンで回転したり、ほかの位置に移動することができる。

地図の欠片を入手したら、まずは新しいエリアをくまなく探索。新しい欠片が入手できるかもしれないし、そこで暮らす人がいるかもしれない。おばあちゃんの元へ帰る手がかりを探すのだ。島の住民に話しかけるとさまざまなことが聞けるのだが、「ここから東の海岸に人がいる」と言われて地図を開いてみてもそこは草原だったりする。そういうときは住民の言葉を元に、東側に海岸ができるように地図を操作! 動かしたい欠片を選択したら右に動かしたり左に動かしたり、ときにはL・Rボタンで回転させたり……このパズルのような操作で歩ける場所を増やしたり、入手した情報のつじつまを合わせながら冒険を進めていく。
住民やオブジェクトの情報を元にこの“パズル”を解いていくことが、カートの冒険の醍醐味なのだ。ときには地図の欠片を大きく動かして正解を探す必要があったり、頭を使わないと解けなかったりとしだいに難度は増していく。解かない限り物語は進行しないので、気合いを入れて解くしかない。素朴な疑問だけれど、住民は地形が変わることを不思議に思わないのだろうか。それともカートの持つ力はそういった疑問すら抱かせないほど強力な、世界の理を覆してしまうようなものだろうか……。



行く先々で地図を操作する必要が出てくるが、進行内容に適した地図を配置するとピコーンという小気味いい音が鳴り、場合によっては新しい地図の欠片が出現したり人が現れたりと変化する。パズルを解くと言うより、なぞなぞを解くと言ったほうがニュアンスは近いかもしれない。このパズルが手を変え品を変え、物語が続く限り絶えず登場する。これが非常に頭を使う。わからないときは本当に解けないのだけれど、解けた瞬間のカタルシスと言ったら最高なのだ! カートの冒険の行方も気になるけれど、このパズルが楽しくてグングン物語を進めてしまう。

今度成人祝いをする少女シーアナンは、島から出たくなくて家を飛び出してしまった。成人となる15歳で故郷を離れ、しかも二度と家族や友人に会えないとなるとその気持ちは痛いほどわかる。おばあちゃんと離れ離れになって初めて降り立った島だけれど、なかなかにヘビーな状況が渦巻いていた。しかし個性的な住民たちや優しい印象のグラフィック、ゆるやかな音楽、かわいらしいオブジェクトの数々に囲まれているからか、不思議と重い雰囲気にはならず穏やかに時間が過ぎていく。もちろん要所要所ではパズルと格闘することになるのだが。

こうしてカートとシーアナンはつぎの島へと旅立つのだった。たどり着くのはどんな島なんだろう、はたしておばあちゃんと再会するための手がかりはあるのか……不安とちょっぴりの希望を持ってふたりは冒険に出る。このあとシーアナンといっしょに新しい島へ着くけれど、シーアナンは“最初にたどりついた島に住まなくてはいけない”という掟があるので基本的には別行動。なので地図のパズルはこれまでどおり、カートひとりで解くことになる。

カートのまえに立ちはだかる難問パズル

冒険の途中、ときどきおばあちゃん飛行船から落としてくれた紙飛行機の手紙が届く。行方不明の孫娘を探すおばあちゃんの気持ちを考えると胸が張り裂けそう……。それでもおばあちゃんは気丈に、優しく愛情いっぱいの手紙を地上に向かって落としてくれるのだ。手紙を見たカートはきっとうれしかっただろうな、おばあちゃんへの手がかりを探すなかで大きな希望になっただろうな……と思うと胸が痛い。早くふたりが再会できますようにと気合いを入れて物語を進めていくけれど……パズルがとてもむずしい。

カートはさまざまな特色を持った島を訪れることになる。シーアナンと出会った島は15歳で旅立たなくてはいけない伝統を持った島で、つぎに訪れた島はいろいろな種類の植物が育つ島。冒険を進めるごとにさまざまなドラマがあり、それに連れてパズルがむずかしくなっていくのだ。ふたつ目の島でカートは、ひつじを逃がしてしまった少年にお願いされてひつじを探しにいく。ひつじマシュマロみたいな味がする白い花のスノーフラワー近くにいるけれど、最後の1匹が見つからない。どうやらスノーフラワーの中心にいるみたいだけど……? 

冒険の途中、川に流されて大きな森がある島へきたカート。ここは動物たちをパートナーに持つ人々が暮らす島。森には深い霧が立ち込めることがあるけれど、住民たちはパートナーである動物たちの導きで迷わずに歩けるのだ。正しい方向に進まないといつまでたっても目的地に着けないというおそろしい森。しかしパートナーの動物がいないカートは、地図の欠片を組み合わせてどの方向にどのぐらいの距離を進めばいいのか自力で判明させなければいけない。右を見ても左を見ても木が生えているだけの森で、いったいどうしたら進むべき方向がわかるのだ……!?

私はこの森で1時間以上さまよった。びっくりするぐらいパズルが解けなくて“遭難”の2文字が頭をよぎったほど。ほかに抜け道がないかと探したりもしたけれどそれもなかった。なんて硬派な作り……! これまでのパズルは序の口だったのだ。森、こわい。ほかのプレイヤーはすんなりと解けるのだろうか。きっと私が苦戦した難関を軽々とクリアできる人がいれば、私が解けたパズルで苦戦する人もいるのだろう……。本当にさまざまな種類のパズルがつぎつぎと立ちはだかってくるのだ。この森に限らず、『Carto』のパズルを解くヒントをあえて書くとすれば“自分のなかの常識を捨てる”こと。これに尽きる

このあともカートは、いろいろな難所を訪れてはパズルを解いて進んでいく。たくさんの人と出会い、別れ、そしてときには再会しながら先へ進み、少しずつだけれど確実におばあちゃんに近づいていく。

おばあちゃんとの再会を見届けてから原稿に挑みたかったけれど、パズルという大きく分厚い壁が立ちはだかっていて、まだ氷山で立ち止まっている……。早くふたりを再会させてあげたいのに!

ミミズの力を借りて踏破する洞窟、地図が回転できない場所、地上の地図を変えると地下の地図が連動して動く火山、複数の地図の欠片がくっついていて同時に動かさなければいけない氷山などなど、カートの進む道は厳しくて険しいのだ……。そのぶん、解けたときのスッキリ感は格別だけれど。

行く先々で会った人々やだんだんと知ることになっていく文化やルールなど、この世界の豊富な知識を知るにつれて「もしかすると、住んでいる島は違うけれどみんな同じ一族かもしれないな」なんて想像が浮かんできて、おばあちゃん探しはそっちのけで世界観について深く考え込んでしまったりする。情報量が本当に多く、それらひとつひとつを考察しているだけでもおもしろいのだ。
この記事を読んで『Carto』に少しでも興味を持ったそこのあなた、どうかカートおばあちゃんを会わせてあげて~!

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地図の欠片で世界を変える!『Carto』不思議な力を持った少女の出会いと別れと再会の大冒険は、WHAT's IN? tokyoへ。
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掲載:M-ON! Press