「年収1000万円以上」というと、「高給取り」「社会的に成功している」「リッチな暮らしができそう」というイメージを抱く人も多いのではないでしょうか。平均的な年収が450万円に満たない現代では、年収1000万円、年収2000万円という暮らしは間違いなく勝ち組だといえるかもしれません。実際そのような年収に届くと、どのような生活ができるのでしょうか。手取り額や生活を、さまざまなデータから垣間見てみましょう。

年収1000万円・2000万円の人はどのくらい存在する?

まずは、年収1000万円・2000万円に達している人がどのくらい存在するのか、国税庁令元年分民間給与実態統計調査」より給与所得者の割合を抜粋してみます。

100~400万円以下:46.1%
400~700万円以下:31.2%
700~1000万円以下:9.2%
1000~2000万円以下:4.3%
2000万円以上:0.5%

年収400万円に満たない層が最も多く、給与が上がるにつれて割合もどんどん減っていくのが分かります。年収1000万円を超えているのは、全体の4.8%しか存在しないのです。また、このデータによると1人当たりの平均給与は436万円(男性540万円/女性296万円)であるそう。いかに年収1000万円、2000万円というのが高い目標であるのかが分かりますね。

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年収1000万円と2000万円だと手取り額や生活の違いは

「近所のママ友が、夫は1000万円プレーヤーだと自慢している。でも近所の激安スーパーでバッタリ出くわして、気まずそうにしていた。年収1000万円ってそんなに余裕ないの?」(Fさん・33歳)
「土地持ちの知人が、いつも質素な服を着ているのが気になる。年収数千万いっているのに、ぜんぜんそんなふうには見えない」(Yさん・58歳)

年収が高くなるほど、累進課税で手取り額に影響が出てしまうもの。気になる実際の手取り額は、年収1000万円が700~780万円(月収約60万円)、年収2000万円だと1250~1350万円程度(月収約110万円)になるといわれています。もちろんこれは家族構成や居住地域などによっても変わりますが、年収に1000万円ほどの差があっても、手取りでは550~570万円前後の差に縮まってしまうのですね。また、年収2000万円以上になるとサラリーマンでも確定申告が必要になります。そのため金銭感覚に厳しい目をもち、節度を保った生活を送る人も少なくないようです。

その手取りから可能になるライフスタイルはどんなものでしょうか。まず一般的に、家賃の適正は年収の25%だといわれます。それに照らし合わせてみると、年収1000万円世帯は約21万円、2000万円世帯では約42万円です。一例ですが、都内一等地で20万円前後の賃貸ではワンルーム・1LDK程度になり、ファミリー層には手狭です。少し郊外に拠点を移すか、築年数の古い物件を選ぶ必要が生まれ、いわゆる「高級タワーマンション住まい」という優雅な生活ではちょっと背伸びした印象に。一方、2000万円世帯ではデザイナーズマンションの3LDKなども選択肢に入ってきます。やはり年収1000万円~2000万円の差は、住環境をはじめとしたライフスタイルに大きな影響を与えそうですね。

一般家庭と比べ、生活水準はどのくらい違うの?

総務省家計調査 家計収支の概況(二人以上の世帯)」によると、二人以上世帯の消費支出の平均は1ヶ月293,379円。月収60~110万円ともなると、かなり余裕のある生活が送れそうな印象ではないでしょうか。
では、一般家庭と比較したとき、高所得世帯とはどのくらい生活水準の差があるのかみていきましょう。総務省統計局「家計調査 貯蓄・負債編」のデータから、1ヶ月の収入と支出を平均的な年収の家庭と比べてみます。

【年収1000~1250万円世帯】※すべて平均
消費支出:423,606円
食料費:93,587円
外食:21,854円
教育:26,582円
教養娯楽:49,048円

【年収400~450万円世帯】※すべて平均
※()内は1000~1250万円世帯との比較
消費支出:259,574円(61.2%)
食料費:70,265円(75.0%)
外食:9,818円(44.9%)
教育:5,259円(19.7%)
教養娯楽:24,612円(50.1%)

高年収世帯と一般家庭を比較すると、外食や教養娯楽、教育費などに出費を割く余裕がみられるようです。同様に、1000万円世帯から2000万円世帯に年収がアップした際も、これらの出費が増えるものと予想されます。とくに教育面での差は大きく、授業料・補習教育ともに高年収世帯のほうが出費も多く、私立への進学や塾などにお金をかけている様子がみてとれるのではないでしょうか。

夢はあるけれど…身の丈にあった生活を

誰しもが憧れる、年収1000万円・年収2000万円といった高給取りの生活。しかし一方で、年収1000万円に達すると児童手当や高校無償化といった制度の対象外になってしまうなど、支援を受けられないケースも多々出てきます。とくに年収1000万円ラインは支援制度面から損をしやすいともいわれ、メリットばかりというわけでもないようです。

もちろん、年収が高くなれば生活に余裕が生まれ、住まいや教育にもお金をかけやすくなるでしょう。しかし1000万円世帯が2000万円同様の暮らしをしていたら生活が破綻してしまうように、どんな年収であれ身の丈にあった生活が大切です。夢の高給取りを目指しつつ、しっかり足元は固めておきましょう。

【参照】
国税庁令和元年分民間給与実態統計調査
総務省統計局「家計調査 家計収支の概況(二人以上の世帯)
総務省統計局「家計調査 貯蓄・負債編 -2019年(令和元年)平均結果-(二人以上の世帯)」1世帯当たり1か月間の収入と支出 7-1貯蓄・純貯蓄・負債現在高階級,年間収入階級別