Twitterへ投稿されたある漫画が、11月27日(記事執筆時点)で2.8万以上のリツイートと、6.7万件以上のいいねを獲得している。投稿されたツイートに「見た目で悩んでる女の子の漫画を描きました」と書かれている通り、漫画では主人公のミツが美人の友人サキに対するコンプレックスを内心で爆発させる姿が描かれている。

 漫画を投稿したツイートには、「私の話かと思った」、「しんどくなった」、「男の自分としてもつらい」などミツに対する共感の声が集まっている。今回は容姿にコンプレックスを抱く人間の心情を的確に綴ったこの漫画の作者、イララモモイさん(@iroiro_kangae)を直撃取材。作品が誕生したきっかけや、作品に込めた想いについて伺った。

コンプレックスによる「つらい」体験を知ってもらいたい



 イララモモイさんは現在大学生で、大学院の合格発表までの現実逃避として漫画を描いたという。多くの人の共感を呼んだ話題の漫画は、実体験と空想が織り交ざって生み出されたのだそうだ。

「この漫画は私自身の体験や、SNSを含めた周囲の女の子の言動を観察し、『本当に容姿にコンプレックスがあって苦しんでいる女の子はここまで思い詰めてしまうのでは?』と想像したことがベースになっています。

 容姿に悩む人たちは直接的な罵倒の言葉だけでなく、もっと繊細なポイントで傷ついてしまうんです。それをわかりやすく拾い上げて、多くの人に知ってもらいたいと考えたことが、この漫画を描いたきっかけのひとつですね」(イララモモイさん、以下同)

◆誰にとってもありふれた体験

 読者の反響を呼んでいることについて「素直に嬉しかった」と話すイララモモイさん。その理由について、イララモモイさん自身は“あるある”な体験を描いたからだと分析する。

「漫画のなかでミツが体験したことは言ってしまえばありふれていて、ハッキリと『つらい』とも言いづらいものです。そういった体験が『なぜつらいのか』を明確に言語化することを心がけて描いていたので、読んでいただいた人の似たような体験にフィットしたからこそ多くの人の目に触れられたのかな、と今となっては思います」

 また、イララモモイさんは決して美人を悪人に描きたかったわけではないとも話す。

「サキは結果としてミツの“推し”を奪い傷つけていますが悪意はないですし、サキを妬みながらも利用しているミツの生き方も、これまで虐げられてきた経験則なのだと思います。

 誰が悪いかではなく、容姿によって考え方や物事への向き合い方、受ける待遇に差が出てしまう社会そのものに違和感を覚えてほしいと思い、少しもやもやしラストにしたんです」

◆“推し”をテーマにした漫画も反響

 イララモモイさんはほかにも、11月9日に“推し”をテーマにした執筆途中の漫画を投稿しており、こちらにも共感の感想が寄せられている。

「大学の“推し”について研究している後輩を通じて私も“推し”という概念に興味を抱き、周囲の女の子を観察しつつ描いてみました。最近は恋愛感情と“推し”の境目が曖昧になっているようで、漫画で描いた“マーキング推し”だけでなくさまざまな“推し”の形があってとても面白い言葉なんですよね」

◆“リアルな人間”を描くことへのこだわり

 現在は学業で多忙なようだが、今後も漫画を描いていきたいとイララモモイさんは語る。

「“推し”の漫画だけでなく、新しく中学校を舞台にしたお話を構想しています。“リアルな人間”を描いた作品が好きなので自分もそういった作品を生み出したいですね。とはいえ、まだまだ力不足なので自分が描いていて楽しいものを、マイペースに描いていければと思います」

――言葉にするには難しい繊細な心模様を、漫画という形で発信しているイララモモイさん。これからも私たちのなかにあるもどかしい気持ちを浄化してくれるような、素晴らしい作品を生み出していってほしい限りだ。<取材・文/OIK志野(A4studio)>

画像は、イララモモイさんのTwitter(@iroiro_kangae)より