福田雄一が監督を務める映画「新解釈・三國志」が12月11日(金)より公開される。豪華俳優が集結し演技という名の刃で斬り合い笑いを生み出す“福田ワールド”はまさに戦場。そこで劉備と孔明として、12年ぶりに一戦を交えた大泉洋ムロツヨシ。2人が本作の魅力を語り明かします!

【写真を見る】ムロツヨシが大泉洋の受け身技術を絶賛!大泉「みんな好き勝手に言ってくるから、処理せざるを得ない(笑)」

■大泉さんの受け身の技術が素晴らしい(ムロ)

大泉「僕が衝撃を受けたのは、孔明の登場シーンでした。孔明は希代の天才軍師と言われているのに、あの軽さはムロくんにしか出せないよね」

ムロ「ありがとうございます(笑)」

大泉「あり得ないぐらいにひょうひょうとしているのがおかしくて。福田組に慣れているのもあってアドリブ量がハンパないわけですよ。僕は大体台本通りでしたけど、ムロくんはほぼアドリブだからね(笑)」

ムロ「僕も台本通りですよ!」

大泉「いや、福田さんも悪いんだよ。福田さんの台本は緩くて、どうぞお好きに的なとこがあるから(笑)」

ムロ「確かにそれはありますね。でも、僕は福田さんの台本にちょっと肉づけしただけで(笑)。それこそ僕は大泉さんに影響されているところが多々あるんですが、今回改めて思ったのは大泉さんの受け皿の大きさ。いろんなところから言葉が飛んできても、全てに対して見事にリアクションされますし、その処理能力の高さはさすがだなと思いました」

大泉「みんな好き勝手に言ってくるから、処理せざるを得ないんでね(笑)」

ムロ「その受け身の技術が素晴らしくて、大泉さんを追い掛けてきたかいがあったなと思いました。そもそも僕が注目されるきっかけを作ってくださったのも大泉さんでしたから」

大泉「そうなの? でもムロくんのサクセスストーリーはすごいじゃない。早めにつぶしとけば良かった(笑)」

山田孝之くんは延々としゃべってたよね(笑)(大泉)

2人が演じる劉備と孔明をはじめ、登場する歴史上の偉人たちは全員が“福田ワールド”に包まれている。

大泉「元々の『三國志』ファンの人に怒られるんじゃないかと思うけど、全て福田さんのせいですから(笑)。でも、“赤壁の戦い”のシーンなんかはものすごい迫力だよね」

ムロ「僕も驚きました。エキストラも相当な数だったし、かなりお金がかかっていて、大作感がすごい!」

大泉「ただ、そういうお金がかかっていそうなシーンには、福田さんはあまり興味がなさそうだった。それこそ、どうでもいいようなシーンでテンションが上がってたよね(笑)」

ムロ「確かに(笑)。あと、今回の映画で完全にフルスイングしていたのは、(黄巾役の)山田孝之。彼は福田組では自分からふざける役が少ないから、飛ばしてましたね(笑)」

大泉「劇中で山田くんが出てくるのは1シーンぐらいしかないんだけど、撮影だけはものすごく長かった。彼は延々としゃべってたよね(笑)」

ムロ「相手が大泉さんということで、受け皿が大きいところにボールを投げ込むのが楽しかったんだと思いますよ。でも、(孫権役の)岡田健史くんなんかは、どこまでやっていいのか迷っていて、その姿がかわいかった。しかも、福田さんも余計なことを言わずに3回ぐらいやらせて、迷わせたまま終わるという(笑)」

大泉「確かに『自分で好き勝手にどうぞ』と言われたら、戸惑うかもね。しかも、周りにいるのは好き勝手にやっている人ばかりだから(笑)」

ムロ「僕や佐藤二朗さんなんかは福田組の常連と言われてますけど、だからこそ手の内を見透かされている気がして怖いんですよね」

大泉「そうね、それは怖いかもね」

ムロ「かといって事前に準備していっても福田さんにバレるし、もはや福田組の現場は恐怖でしかない(笑)」

大泉「役者たるもの準備していくものだけど、本番でいきなりやらなきゃいけないなんて、地獄だね(笑)」

ムロ「だから、本番でやったことを覚えてないんですよ。さっき別の取材で『ムロさんのあのときのセリフが好きでした』と言っていただいたんですけど、全く記憶になくて」

大泉「この間、ラジオで佐藤二朗さんに会ったけど、この映画に出たことすら覚えてないって言ってたよ。もう末期症状だね(笑)」

■やっぱり劉備が一番いいね

個性的なキャラが多数登場する中で、自身が演じた劉備、孔明以外では演じるなら?

ムロ「僕は映画本編を見ていていいなと思ったのは、矢本悠馬が演じた黄蓋ですね。実はこの映画の中では彼が一番冷静なキャラクターなんですよね。『勇者ヨシヒコ』シリーズでいうメレブ的な役割で、かつて僕がよくやっていた役の立ち位置に近いというか」

大泉「周瑜役の賀来賢人なんて、ずっと叫んでたし、関羽(橋本さとし)と張飛(高橋努)も殺陣が大変そうだったしね。趙雲(岩田剛典)はイケメンじゃないとできないしなぁ。そう考えると曹操(小栗旬)がいいかも。でも、あれも小栗旬がやっているからカッコいいだけで、僕がやったらどうなんだろうね」

ムロ「孔明はどうなんですか?」

大泉「君の見ちゃうと大変そうだな~。あんなにひょこひょこ出てこれないもん。やっぱり劉備が一番いいね」

劇中でのやりとりはもちろん、取材でも絶妙のコンビネーションを見せてくれた2人。最後にもし次に共演するなら、どんな役を演じたい?

大泉「ヘアスタイルも似ているし、キャラクターも似ているから、兄弟かなぁ。年齢的に俺が兄だと思っていたけど、今日の姿を見たらムロくんが兄貴でもいいかもね。そのヒゲと白髪はどうしちゃったの?」

ムロ「いや、次の役作りもあって。でも、この白髪は本物ですよ(笑)」

大泉「この間までもっとポップな感じだったのに、一気に“性格俳優感”を出してきたね。何かキャンプをやってる人みたいな感じだし(笑)」

ムロ「何を言ってるんですか。性格俳優“感”とか言わないで(笑)」

大泉「ムロくんはもっとポップでいてよ。フワちゃんから『大泉洋ムロツヨシの類似タレント』と言われてるんだから(笑)、頼みますよ!」

取材・文=馬場英美

映画「新解釈・三國志」で12年ぶりに共演した大泉洋&ムロツヨシ/撮影=諸井純二/スタイリスト=勝見宜人(Koa Hole inc.)(大泉)、森川 雅代(FACTORY1994)(ムロ)/ヘア&メーク=西岡達也(Leinwand)(大泉)、池田真希(ムロ)